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湿度によって体感温度はどのように変化するのでしょうか?湿度と体感温度の関係とともに、湿度や温度の目安になる指標を紹介します。室内を適正な湿度と温度に保つ方法にも触れるので、より快適に過ごすための参考にしましょう。
「湿度」と「体感温度」とは?
何となく理解していても、『湿度』と『体感温度』について説明できない人もいるのではないでしょうか?まず、それぞれの言葉の意味を正しく理解しましょう。
「湿度」は2種類ある
『湿度』とは、空気の湿り具合や空気中の水蒸気量を指します。湿度には『相対湿度』と『絶対湿度』の2種類があり、天気予報で耳にするのは『相対湿度』です。
空気中に含むことができる水蒸気の最大量(飽和水蒸気量)は気温によって決まっており、そのうちの何%含んでいるかを示すのが、『相対湿度』です。つまり、空気中の水蒸気の割合を示しています。
一方、『絶対湿度』は、1立方メートルの空気中に含有される水蒸気の量を指します。
「体感温度」は人が感じる暑さや寒さのこと
『体感温度』は、測定された気温とは異なり、人それぞれが感じる暑さや寒さを数値化したものです。気温・湿度・風速・熱放射・気流など、さまざまな影響を受け、中でも湿度によって大きく変わります。
代謝量・着衣量・健康状態・性別・年齢などが、影響することも珍しくありません。例えば、一般的に男女では筋肉量に違いがあり、基礎代謝量に差があるため、体感温度にも差があるといわれています。
湿度と体感温度の関係
体感温度は、さまざまな条件が関係していますが、中でも影響が大きいのが『湿度』です。どのような関わりがあるのか紹介します。快適とされる湿度と温度についても確認しましょう。
湿度によって体感温度が変わる
同じ気温でも、湿度によって体感温度が変わります。例えば、梅雨時で気温が28℃、湿度が80%でともに高いと、ジメジメして蒸し暑く感じます。一方、同じ気温でも湿度が50%と低いときは、カラっとした暑さで涼しく感じやすいでしょう。
冬場はもともと湿度が低くなるため、気温が上がっても寒く感じますが、加湿すると同じ温度でも温かく感じます。
これは、高湿度のときは汗が蒸発しにくく、体温が下がりづらいことで、暑く感じるためです。逆に低湿度では、汗が蒸発しやすいため、涼しく感じます。
快適に過ごせる湿度と温度の目安
高温多湿な気候の日本では、温度と湿度の両方を適正に保つことで、過ごしやすくなります。快適な温度は、夏場が25~28℃で冬場は18~22℃です。湿度は、夏場が40~60%で、冬場は55~65%です。
安全衛生情報センターが定める『事務所衛生基準規則』では、事務室の気温を18℃以上28℃以下、湿度を40%以上70%以下にすることが推奨されています。
省エネや省CO2対策として環境省が推し進めている『クールビズ』では、『28℃』を適正な室温の目安としています。環境省では『ウォームビズ』にも取り組んでおり、暖房使用時は『20℃』が目安です。
参考:事務所衛生基準規則 第2章事務室の環境管理(第2条-第12条)|安全衛生情報センター
参考:クールビズ/COOLBIZ|COOL CHOICE未来のために、いま選ぼう|環境省
湿度や体感温度の目安になる指標
気温だけでは、その日の寒暖の程度が分かりにくいこともあるでしょう。湿度や体感温度の目安となる指標を紹介します。日々の服装選びやスケジュールに役立てましょう。
体感温度を数値化した「体感温度指数」
日本気象協会では、毎日の『体感温度指数』を公表しています。気温だけでなく、湿度や風速などを基に体感温度を数値化したものです。
例えば、『指数10』は防寒着が必要な寒さと予測されているため、コートやダウンジャケットなどが必要でしょう。『指数50』は、肌寒さを感じると予測されているので、薄手のジャケットなど羽織るものがあるとよいかもしれません。
『指数100』は、猛烈な暑さが予測されているので、薄着を心掛け、帽子や日傘などの日よけグッズがあるとよいでしょう。
熱中症予防に使われる「暑さ指数」
高温環境の指標としてアメリカで提案されたのが『暑さ指数(WBGT)』です。『気温』『湿度』『輻射(ふくしゃ)熱』を組み合わせて数値化されており、日常生活と運動中における熱中症予防に使われています。指数には『℃』が用いられていますが、気温とは異なる点に注意しましょう。
指数が『21~25℃』のときは、重労働や激しい運動時に熱中症になる危険性があります。『25~28℃』は、定期的に休憩や水分補給を取り入れることが勧められています。
『28℃以上』になると、どのようなシーンでも熱中症が起こる危険性があるため、厳重警戒が必要です。特に『31℃以上』の場合は、高齢者の外出や子どもの運動は中止との指針が示されています。
参考:暑さ指数(WBGT)について|環境省
参考:全国の暑さ指数(WBGT)|環境省
蒸し暑さを示す「不快指数」
アメリカで考案された『不快指数』は、蒸し暑さを示す指数です。気温と湿度を組み合わせた体感温度を数値化したものになります。
蒸し暑く不快に感じる人が増えるのが、不快指数『70』以上で、半数の人が不快に感じるのが、『75』以上です。ほとんどの人が不快に感じる目安は、『80』以上です。
ただし、体感には個人差がある上に、蒸し暑さは風速などさまざまな要素も大きく関わってくるため、指数が必ずしも体感と同じであるとは限りません。
湿度と温度を快適に保つ方法
心地よい湿度と温度に保つには、どうしたらよいのでしょうか?自宅で心地よく過ごすために、室内環境を整えましょう。
夏場は除湿する
湿度が高い日が多くジメジメしがちな夏場は、『除湿』をすることで涼しく感じられます。簡単な方法は、エアコンの除湿機能や除湿機を使用することです。
近年は、洗濯物の乾燥ができる除湿機もあり、除湿しつつ衣類などの乾燥ができるため、梅雨時や雨の日の部屋干しに便利です。
窓を開けて換気することでも除湿が可能です。空気の通り道を作ることが効率よく換気するポイントなので、窓を2カ所以上開けて行いましょう。
雨の日でも換気をするのがおすすめです。雨の日に窓を開けると、湿った空気が室内に入り込むと思い、避けている人もいるのではないでしょうか。しかし、換気をしないと湿気が室内にこもり、外よりも湿度が高くなっていることもあります。
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冬場は加湿する
冬場は、もともと湿度が低いですが、暖房を使うことでさらに低くなるため、『加湿』を心掛けましょう。加湿器を使えば、手軽に湿度を上げられます。
近年は、空気清浄ができるタイプやアロマオイルを使用できるタイプなど、多種多様な加湿器が販売されています。簡単に持ち運べるコンパクトサイズもあるので、好みや用途に合わせて選びましょう。
洗濯物を部屋干しするのも効果的です。洗濯物は多くの水分を含んでいるため、水蒸気によって湿度が上がります。
断熱・遮熱し、空気を循環させる
冷たい空気は下に、暖かい空気は上にとどまる性質があります。冷暖房の使用時は、扇風機やサーキュレーターを使用して、空気を循環させましょう。そうすることで室内温度を均一に保ちやすくなります。
冷房時は、エアコンを背にするように扇風機やサーキュレーターを置き、下から上に空気が流れるようにします。暖房時は、エアコンと対角線上に置き、上から下に空気が流れるようにしましょう。
また、除湿や加湿をしても、日光や窓の隙間からの風の影響によって、室内の温度・湿度が変わってしまうことが珍しくありません。カーテンやブラインドをうまく利用して、外からの影響を受けにくくするとよいでしょう。
構成/編集部