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弁護士が解説!初めて裁判を傍聴する時の手続きと注意点

2022.05.16

「裁判」は多くの方にとって縁遠いものに感じられるかもしれませんが、実は誰でも傍聴することができます。

これまで裁判傍聴をしたことがない方も、敷居はかなり低くなっていますので、平日時間がある時に一度傍聴してみてはいかがでしょうか。

今回は裁判傍聴について、傍聴時の手続きや事件の選び方、注意点などをまとめました。

1. 訴訟(裁判)は原則自由に傍聴できる

法律トラブルを裁判所の手続きで争う「訴訟」は、審理および判決を公開法廷で行うことが原則とされています(日本国憲法82条1項)。したがって、訴訟は原則として、誰でも自由に膨張できます。

なお、訴訟は「民事訴訟」「刑事訴訟」「行政訴訟」の3種類に大別されます。

①民事訴訟

市民(法人を含む)同士が、法律上の権利義務の存否などを争う訴訟です。

②刑事訴訟

検察官と被告人が、犯罪の成否および量刑を争う訴訟です。

③行政訴訟

国や地方公共団体などの行政庁と市民が、行政処分の有効性などを争う訴訟です。

2. 傍聴できない訴訟もある

ただし、すべての訴訟が傍聴できるわけではありません。具体的には、以下の訴訟については傍聴できない場合があります。

①傍聴希望者が多数の訴訟

裁判所の傍聴席数には限りがあるため、傍聴希望者が多数の場合には、抽選で当選した方にだけ傍聴券が交付されます。

②公序良俗を害するおそれがある場合

公の秩序または善良の風俗を害するおそれがあるとして、裁判官が全員一致で決定した場合には、訴訟の審理を公開しないことが認められています(日本国憲法82条2項本文)。

ただし、審理が非公開とされる場合でも、判決は必ず公開法廷で行われます。また、政治犯罪・出版に関する犯罪・国民の憲法上の権利が問題となっている訴訟の審理は、常に公開しなければなりません(同項但し書き)。

3. 裁判傍聴時の手続き

裁判傍聴をするためには、複雑な手続きは必要ありません。以下の基本的な流れだけを頭に入れて、直接裁判所に向かいましょう。

3-1. 事前予約は不要

裁判傍聴をするのに、事前予約をする必要はありません。裁判所へ直接足を運べば、すぐに裁判傍聴ができます。

なお、裁判が開催されているのは平日の日中のみです。

3-2. 手荷物検査

裁判所に到着したら、一般傍聴者の受付へと進みましょう。その場で手荷物検査を受けて、問題なければ裁判所の中に入れます。

裁判所の中には、以下の物を持ち込むことができませんので、裁判傍聴時の手荷物からは取り除いておきましょう。

・大きな物
・危険物
・棒
・旗
・プラカード
・ヘルメット
・ビラ
など

3-3. 事件を選んで法廷の傍聴席に座る

当日に開催されている裁判の内容と日時は、裁判所の入り口に掲示されている開廷表に記載されています。

事件の種類・内容も簡潔に記載されていますので、関心のある事件の開廷場所の法廷を確認してください。法廷には裁判の途中でも入室できますので、静かにドアを開けて傍聴席に座りましょう。

4. どんな事件を傍聴すればよい?

初めて裁判傍聴をする方は、どのような事件を傍聴すればよいのか戸惑ってしまうかもしれません。

実際に裁判所では、さまざまな事件の審理が行われています。以下は比較的件数の多い事件の一例です。

<民事訴訟>
・貸金返還請求事件
・損害賠償請求事件(交通事故など)
・不動産明渡請求事件
・遺留分侵害額請求事件(相続)
など

<刑事訴訟>
・窃盗事件
・傷害事件
・詐欺事件
・道路交通法違反事件
・大麻取締法違反事件
・覚醒剤取締法違反事件
など

基本的には、ご自身の関心に従って事件の種類を選べば問題ありません。

ただし、初めて裁判傍聴をする際には、地方裁判所で傍聴するのがよいでしょう。

高等裁判所や最高裁判所でも傍聴が可能ですが、実質的な審理が行われないケースが多く、よく分からずに終わってしまう可能性が高いからです。

地方裁判所はすべての都道府県にありますので、最寄りの地方裁判所へ足を運んでみましょう。

5. 裁判傍聴をする際の注意点

裁判傍聴時には、常識的な振る舞いを心がけていれば、注意すべきポイントはそれほど多くありません。念のため、メモ・写真・録音や服装に関する注意事項を押さえておきましょう。

5-1. メモはOK、写真・録音はNG

裁判傍聴中にメモを取ることは、制限なく認められています。

その一方で、写真の撮影や録音については、裁判所の許可がない限り認められない点に注意しましょう。

5-2. 服装に関する注意事項

裁判傍聴時の服装は原則として自由ですが、以下の服装については裁判所からやめるように指示されたり、傍聴を拒否されたりする可能性があるので注意が必要です。

・はちまき
・ゼッケン
・たすき
・リボン
・腕章
・政治的なメッセージが記載された服装
・彩色があまりにも派手な服装
・著しく露出が多い服装
など

裁判所の法廷には自由に出入りできるとはいえ、厳粛な手続きの場であることを踏まえて、落ち着いた服装で臨むのがよいでしょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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