飼っているうさぎがたまにくしゃみをしていたり、くしゃみをしていても鼻水が出ていない、その他に体調が悪そうな様子がなかったりすると、病院へ連れていくべきか迷う人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、うさぎはどのような原因でくしゃみをしているのか、どのような症状が出たら病院へ行くべきなのかなどについて、日本動物医療センターグループ本院院長の有藤翔平先生にお話を聞きました。
日本動物医療センターグループ本院院長 有藤翔平先生
うさぎがたまにくしゃみをするけど病院へ行くべき?
飼っているうさぎがくしゃみをしているとき、病院へ行くべきかどうか迷うことはありませんか?
様々な原因でくしゃみをしていることが考えられますが、もしかしたらそれは鼻風邪の総称“スナッフル”という感染症かもしれません。悪化してしまうと、最悪の場合は肺炎などを起こしてしまう可能性もあります。
病院へ行くべきかどうか迷う症状かもしれませんが、最悪の事態を避けるためにも早めに受診した方が良いでしょう。
“スナッフル”の主な症状ってなに?
“スナッフル”の初期症状は、サラッとした水溶性の透明な鼻水、くしゃみや涙・目ヤニです。
その後、副鼻腔炎にまで進行すると鼻水がネバついてきます。この時、呼吸した時に“ズーズー”とした音が聞こえるときがあります。これを“スナッフリングノイズ”と呼びます。
このような症状が続いてしまうと、先ほどお話ししたように最悪の場合、肺炎を起こしてしまい呼吸困難によって死に至る可能性もあります。
どうして“スナッフル”になってしまうの?
スナッフルは“パスツレラ菌”という細菌に感染することによって発症します。
健康なうさぎの鼻腔内にもパスツレラ菌がいます。特に症状を出さない場合もありますが、ストレスがきっかけとなりスナッフルが発症すると言われています。
どのようにして治療をするの?
主に抗生剤などによる治療が行われます。ですが、うさぎはナイーブな性格なので、ストレスを感じると免疫力が低下し、感染に対する免疫力も弱くなってしまいます。なので、まずはうさぎの免疫力を回復させてストレスのかからない状態を維持することが最も重要です。
“スナッフル”にならないための予防法
予防法として、飼育環境を見直すことを行いましょう。うさぎの最適な飼育環境は、室温23℃で湿度は約50~60%です。また、空気の入れ替えを行うことも大切です。
日光浴は、殺菌作用があって抵抗力をつけるためにも効果的ですが、うさぎは暑さに弱い動物なので、ケージ内には太陽の光が当たらないスペースを作るようにしましょう。
うさぎの体調不良のサインを見逃さないようにしよう!
うさぎに鼻水などの症状が出ると、鼻の不快感によって前肢で鼻をこするため、鼻周辺や前肢の内側部分が汚れてガサガサすることがあります。
また、普段と比べてご飯の進み方が遅い、便がいつもより小さい・あるいは形が違うなども、うさぎの体調不良のサインの一つです。なので、普段からうさぎの様子を観察してあげましょう。
うさぎを多頭飼育している人の注意点
スナッフルは感染力のある病気なので、うさぎを多頭飼育している人は、うさぎ同士触れ合うことがないように部屋を離すようにしましょう。
また、スナッフルの原因であるパスツレラ菌は、免疫力の弱い小さなお子さんや、年配の人にも感染の可能性があります。なので、うさぎだけが予防するだけではなく、私たち人間も手洗いや消毒などで感染予防をしましょう。
取材協力/日本動物医療センターグループ本院
住所:東京都渋谷区本町6-22-3
03-3378-3366(受付:9:00〜20:00。救急は24時間対応)
https://jamc.co.jp/rabbit_colum/1822-2/
※データは2022年4月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※詳しくはお近くの動物病院などに問い合わせることをおすすめします。
文/山田ナナ