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文化庁も推進する「アート投資」は日本でどこまで浸透するか?

2022.05.18

2021年には、デジタルアート作品を「一点モノ」と証明するNFT(非代替性トークン)の取引が急拡大した。また、文化庁もアート市場の拡大に躍起となっている。

絵画や彫刻などの美術品を購入し、値上がり益を狙う「アート投資」の間口が広がっているが、それはなぜか。そもそもアート投資を行なうには、どこで、どのように始めればよいか。最新事情を整理した。

世界の美術品市場は米国・中国・英国で8割以上を占めている

2021年の世界の美術品市場を分析したレポート「The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2022」(以下、Art Market Report 2022)によれば、その市場規模は651億ドル(約8兆円)だ。そのうちの8割以上を米国・中国・英国の3国が占めている。

また、エートーキョー/芸術と創造が発表する「日本のアート産業市場調査2021」によれば日本の2021年の美術品市場は2186億円と、世界市場に対して約3%の規模でしかないことわがかる。

世界の美術品市場(2009年~2013年)
【引用元:Art Market Report 2022】

過去13年間、市場規模の推移は横ばい傾向だとわかる。2020年はコロナ禍によって市場が縮小したが、2021年になり、コロナ禍前の水準に回復したので、美術品市場の注目度は低くないともいえる。

2021年の美術品市場の国別の内訳
【引用元:Art Market Report 2022】
米国、中国、英国に続き、フランスやドイツなどヨーロッパ諸国が名を連ねる。日本での市場は「その他」で一括りにされるほど規模が小さい。

NFT市場は2021年に急拡大し約111億ドル(約1.3兆円)規模に
【引用元:Art Market Report 2022】

2021年の世界全体の市場規模(651億ドル)に対して約17%がNFT市場となっている。注目すべきは、2020年からの成長率で、1年間で市場が約372倍にも拡大した。社会のデジタル化の流れに沿って、美術品市場でもデジタル作品への投資は将来有望だ。

日本国内では画廊や百貨店での販売が市場の6割を占める

美術品の値上がり益を狙う場合、制作したアーティストの知名度向上を伴う場合がある。一方、世の中で流行っている美術品の傾向によって、有名アーティストの作品でも価格が下がることもザラにある。

株式や不動産投資に比べて、人間の感性に左右されやすいし、証券取引所のような大規模な流通市場があるわけでもない。さらに、ニセモノ(贋作)をつかむリスクや、購入した美術品の状態を良好に保ち盗難から守るコストがかかるなど、美術品投資には考慮すべき点が、他の投資に比べて多い。

考えるべき点が多い美術品は、どこで取引されているのだろう。「日本のアート産業市場調査2021」によれば、国内の画廊やアートギャラリーでの市場規模が一番高く、次いで国内の百貨店となっている。一般的に美術品の売買といえば、オークションを想像するかもしれないが、国内のオークション市場は、全体の約5%でしかない。

またインターネットサイトでの取引は全体の約6%でしかないが、国内のオンライン画廊には「tagboat」という日本での第一人者的な存在の画廊や、「WALLS TOKYO」という国内外の現代アート作品に特化し、海外アーティストの作品を日本語で購入できる画廊がある。また海外では、「Artling」という、富裕層が多いシンガポールが拠点の画廊や、「Artsy」というニューヨーク発で、数十万点以上の作品を扱いECサイトのように作品が購入できる画廊もある。

2021年の日本の美術品市場のチャネル別内訳。対面での取引が多く、作家(アーティスト)から直接購入する市場が約10%ある。
【引用元:日本のアート産業市場調査2021】

関税法が改正になり、世界から集まる美術品の消費税要件が緩和された

貿易で輸出入する貨物には、物に応じて関税や消費税がかかる。

アート作品を海外から輸入して日本で売買する場合、輸入した時点で価格の10%の消費税を支払う必要があり、多額の現金の準備を強いられてきた。

一方、空港や港湾の近くには「保税地域」という、税関での手続きが終わるまで輸入した貨物を保管できる場所がある。2020年10月と2021年2月に関税法の一部が改正になり、

保税地域で、アート作品のオークション実施が可能になった。

つまり、輸入したアート作品に対する消費税を支払う前に、販売が可能になった。これにより多額の現金準備や、販売したアート作品が海外に出ていくときの消費税還付手続きが不要になった。

この法改正は、日本のアート市場活性化の取り組みに他ならない。文化庁が2021年3月31日に公表した報告書では以下のように述べている。

・アート市場の活性化が、アートを取り巻く環境のみならず、社会的・経済的に有益であることが明らかになりつつある。
・世界第 3 位の我が国の経済規模からすると、アート市場は相対的に低い地位にとどまっている。
・アート購入者の増加には、アート購入の動機付けが必要であり、長期的には、自宅にアートを飾りたい個人への支援が、短期的には、企業等による購入増加が重要。
・グローバル化が進むアート市場において、アート・エコシステムの好循環を実現するためには、我が国におけるアートの国際的な拠点化が必要になる。

文化庁報告書「文化芸術立国の実現に向けて」。日本の市場低迷の状況やその解決策についてまとめられている。
【引用元:文化庁

日本初の保税地域オークションは羽田空港で

日本の保税地域での初オークションは2021年10月1日に羽田空港で行われた。また同と所では、2022年3月30日に、複数の海外のオークションハウスが参画したオークションが開催された。米国のアーティストAndy Warholが描いたハリウッド女優「エリザベス・テイラー」の肖像画である「Silver Liz」(下掲)が23億円もの額で落札された。Andy Warhol氏は、アート作品に加え映画製作なども手掛ける多彩な芸術家として知られる。

Andy Warhol作 Silver Liz(Ferus Type),1963
【引用元:artnet

アート投資がより一般的になる日は近い?

日本のアート市場が活性化すると、アート作品の本質的な価値が向上し、それが、社会的・経済的に有益なものとなっていく。そこに投資マネーが集まれば、価値の向上速度が高まり、出遅れている日本のアート市場が急拡大していくことになるだろう。

保税地域でのアートオークションの開催もさることながら、デジタルアート作品のNFT流通による市場拡大にも期待が持てる。

2022年4月から高校での金融教育が必須となったばかりの日本では、そもそも金融教育ですら出遅れているともいえる。

金融教育で知識を蓄えた日本人が、NISAやiDeCoで投資信託を積み立てるような感覚で、アート作品への投資を行ない、それにより主体的に資産形成に取り組める日が訪れるのはそう遠くないはずだ。

取材・文/DIME編集部

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