全国に5店舗のみのレアな塚田農場に行ってみた
塚田農場といえば、看板料理の「地鶏炭火焼」を思い浮かべ、宮崎をイメージする人が多いだろう。だが実は、「宮崎県日南市 塚田農場」「宮崎県日向市 塚田農場」「鹿児島県霧島市 塚田農場」「北海道シントク町 塚田農場」の4業態があるのをご存じだろうか(私は最近まで知らなかった)。
「鹿児島県霧島市 塚田農場」は、「大雑把に言って、宮崎と同じ九州」ということでまだ納得もいくが、いきなり「北海道シントク町」って。いくらなんでもワープしすぎではないだろうか。塚田農場の世界観が崩壊するのでは?と(全くの)他人事ながら心配になり、行ってみることにした。
調べてみると、「北海道シントク町 塚田農場」は5店舗しかない(「秋葉原万世橋店」「新宿西口店」「品川港南口店」「八重洲北口店(※休業中)」「エキニア横浜店」)。うち営業中は4店舗だから、かなりレア。日本橋で映画を観る予定があったので、その隣の駅の銀座線「神田」駅から徒歩で行ける「秋葉原万世橋店」を選んだ。
「北海道シントク町 塚田農場 秋葉原万世橋店」(東京都千代田区外神田1丁目16-1)は、秋葉原のシンボル・万世橋隣の商業施設「秋葉原トゥモロービル 」の5階にある。JR秋葉原駅電気街口から徒歩5分
外観・内観・ユニフォームも、脱・塚田農場のイメージ
レンガ造りや「十勝ジンギスカン」の旗で、入り口から早くも北海道感を放出している
土日祝日は16時オープン。オープン直後に行ったので上の写真撮影時は空いていたが、18時過ぎから一気にお客さんが入り、2/3ほどの席が埋まった。知る人ぞ知る店らしい。
塚田農場のユニフォームといえば作務衣と浴衣のイメージだったが、Tシャツとデニムのエプロン。十勝の広大な牧草地で藁ロールを転がしてそうな感じだ(※個人の感想です)。
オーダーは自分のスマホで。仮想店長さんがやさしく説明してくれる
オーダーシステムは、最近の繁盛店でよく見かけるスマホを使うタイプ。最初に席ごとのQRを読み込んで席を認識させた上で、注文サイトに飛ぶ仕組みになっている。塚田農場用に開発された、こだわりのシステムとのこと。
例えばドリンクなら、「まずはこれで乾杯!」から「今日の気分は?」「シメの1杯」と、カテゴリー分けされていて、しかもそれぞれのお酒に、店長さんらしきアイコン付きで説明が書かれている。忙しい時にスタッフを引き留めていろいろ聞くのも気がひけるが、これなら気が楽だ(ガラケーの方やスマホで注文は苦手!という方には、今までのようにスタッフが対応してくれるそうだ)。
お通しの自家製ポテチが絶品!
最初のドリンクといっしょに運ばれて来たお通しは、お店で揚げている「ポテチ」。
お通しの「ポテチ」(430円※税込み、以下同)。左は「自家製ビートジンジャーエール」(420円)、右は「とかちワイボール(赤)」(580円)
このポテチが、絶品だった!市販品より少し厚みがあり、塩だけでなくスパイスも利いていて、お酒が進む。
昨今の世情により同じものの製造がなくなってしまうそうで、こちらは在庫の終了次第、規格の異なるポテチに変わるそう。
お店オリジナルのドリンク「とかちワイボール(赤)」は、ハイボールならぬ、ワイン+炭酸の「ワイボール」。ワインがさっぱり飲めて、ほのかな甘みもあり、ぐいぐい進む。ビールはもちろん「サッポロ黒ラベル」。
紫色のジャガイモ「シャドウ・クイーン」を使い、十勝名産のチーズをたっぷりトッピングした色鮮やかなポテサラ。見た目からはわからないが、具にナッツとベーコンが入っていて、その食感がすごくいいアクセントになっている。トッピングのチーズ「グラナパダーノ」(イタリア)も美味しくて、残らないようかき集めてきれいに食べてしまった。
メニューを見た時から目が離せなかった「インカのめざめのポテトフライ」も、甘みが濃厚でしっとりしていて最高。ふと気がつくと、テーブルが芋だらけだが、しかたない。だってここは北海道だから。
看板商品の「地鶏炭火焼き」も、新得スタイル!
「塚田農場」といえば、看板商品である地鶏を使用した「地鶏炭火焼」ははずせない。こちらのお店では、北海道・十勝地方の地鶏「新得地鶏」を使っているとのこと。
キッチンで炎をあげながら焼けていく地鶏。たまらない香りがただよってくる
「新得地鶏」は十勝の広い土地でのびのびと平飼いし、通常のブロイラーの飼育期間である50日程度の2.5倍以上の日数をかけてしっかり育てているとのこと。さらに北海道で育つ新得地鶏ならではの旨味や味わいの特徴を最大限に引き出せるよう、通常の塚田農場の「地鶏炭火焼」とは微妙にレシピを変えているそうだ。
焼きたての熱々に、北海道名物の「山わさび」を、目の前でたっぷりとかけてくれる
「新得地鶏」は、他の地鶏同様にほどよい弾力もありつつ、より歯切れがいい印象。脂に旨みがあるのに嫌なクセがなく、後味がさっぱりしているように感じるのは、山わさび効果もあるのかもしれない。
十勝名産チーズを、十勝町民ワインで味わう幸せ
十勝ラクレットチーズ グリル野菜とソーセージ(Mサイズ)」(1080円)
たっぷりの野菜と特大のソーセージに、十勝自慢のラクレットチーズ「モールウォッシュ」をたっぷりからませて食べる。ジャガイモは、雪の冷気を活用して熟成させ糖度を高めた十勝の「雪室じゃがいも」で、紫色の「シャドウ・クイーン」と2色が味わえるのも嬉しい。
じつは、十勝は生乳生産量が日本一。国内の3分の2のナチュラルチーズが十勝で作られているという。3杯目のお酒は、「十勝町民ワイン」の白を頼んだ。同じ産地のせいか、このチーズにまたよく合うーー。
この日はほかに食べたいものがいろいろあってパスしたが、メニューには十勝産チーズのぐっとくる料理がたくさん!「とかち焼きチーズ3種盛り(1人前1280円、2人前から注文可)」「ラクレットチーズせんべい」(390円)「とうもろこしの鉄板チーズ焼き」(630円)などなど、チーズ好きにはたまらないラインナップだ。
「とかち焼きチーズ3種盛り(1人前1280円、2人前から注文可)」※リリース画像より転載
夫が頼んだノンアルコールドリンク「贅沢ハスカップソーダ」(480円)。底に沈みがちなハスカップを味わい尽くすべく、攪拌しながら飲む夫
メニューに迷ったら、スマホの仮想店長さんが相談にのってくれる
その後に頼んだ「スルメイカのぽっぽ焼き」は、パンパンに膨らんだ風船のようなアルミホイルで登場。
スルメイカも美味しかったが、この残った肝ソースを、お通しのポテチにディップして食べるのがまた最高。ぜひこのために、ポテチは残しておいて欲しいほど。
まだいける、どうしようと思って、スマホのメニューをチェック。
スマホの仮想店長さんの頼もしいアドバイスで、この2品を選んだ。
出て来た時は「間違えてデザートを頼んじゃったかな?」と思ったほどの美しさ。さっぱり、ほのかな辛みで口直しにぴったり。
どちらもお勧めだが、最大の衝撃が最後に待っていた。
シメの「ジンギスカン焼きそば」は、これだけを食べに来る価値あり!
シメは、白ご飯に北海道産バターと山わさびなどの具をトッピングする「山わさび飯」(530円)、「炭焼き豚丼」(780円)などにも心を魅かれて死ぬほど悩んだが、「ジンギスカン焼きそば」をチョイス。これが大正解だった。
カレーのようなスパイシーな風味があり、そう、ちょうどジンギスカンの味変で、たれにカレー粉を少し混ぜた時のあの味!聞けば北海道民に長年にわたって愛されて来た、ベル食品のジンギスカン専用「成吉思汗たれ」を使用しているそう。
この焼きそばを食べるためにだけ、再訪したいと思うほどの味だった。訪れる人は、これのためにお腹を少し余裕を持たせておいて欲しい。
滞在時間は1時間ちょっとだったが、軽く北海道旅行をした気分。そして、十勝の食の豊かさにあらためて感動した。試したいメニューがまだまだあり、掘れば掘るほどハマりそうな予感。
北海道に行きたいけどまだ旅行は心配、という方におススメしたい。
お会計の後に、お土産をくれるのはやっぱり「塚田」スタイル。ちなみにこの「北見オニオンスープ」、インスタントなのに美味で、いろんなお料理の隠し味にも使えておすすめ
取材・文/桑原恵美子
取材協力/株式会社エー・ピーホールディングス
編集/inox.