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「歯が痛いのでテレワークの途中で歯医者に行ってもいいですか?」は許容範囲か否か

2022.05.09

2020年以降テレワークを導入する会社が急速に増えてきましたが、企業の人事担当者は社員からこれまではなかった質問を受けることが増えたのではないでしょうか。テレワーク導入による企業側のメリットは、一般的にオフィスコストの削減や生産性の向上が挙げられますが、それだけではなく、これまで「通勤を前提とした雇用」であったため採用対象としていなかった人材を獲得できるようになった利点も挙げられます。

求職者からすれば、住んでいる地域に関わらず、自分に合った働きやすい会社を全国から選ぶことができるというわけです。今後、能力の高い人を採用して会社を成長させるためにも、テレワークの導入は必須となってくるでしょう。また、導入するだけではなく、ルールを明確にし、時には会社の魅力として発信することが人材獲得のカギになるでしょう。今回はそんなテレワークを生かすためのポイントについて解説したいと思います。

仕事中に中抜けして歯医者に行くのはNG?

テレワーク中は上司の目が届かないため自己判断で中抜けしているケースもあるようです。しかし、従業員は勤務時間中は誠実に働く義務があり、勝手に中抜けすることは認められません。したがって、従業員の勝手な中抜けを無断離脱として処分する会社もあります。しかし、在宅勤務が定着してきた昨今では、従業員の働きやすさに配慮して、一定のルールのもと、中抜けを認める会社も少なくありません。

例えば、中抜けした時間を「休憩時間として取り扱い、終業時刻を繰り下げる」「時間単位の年次有給休暇の申請を可能にした」といったルールを決めている会社もあります。ただし、これらは特別、法律で明確に定められているわけではないため、労働基準法に抵触しない範囲で、会社が独自にルールを決めているのです。「終業時刻を繰り下げた結果、深夜の未払い残業代が発生していた」とならないよう慎重にルールを策定しなければなりません。

その他、中抜けの回数を決めたり、1回あたりの時間に上限を設けたりする会社もあります。また、中抜けの理由を設けるのか?設けるのであればどこまで認めるか、事前に申請して承認制とするかなど決めるべきルールはたくさんあります。ある会社では、事前に理由と時間を上司に申請して許可をもらう、育児であれば1日の終わりに育児にかかった時間を申告させるといったルールを決めていました。自社がどこまでテレワーク中の労働時間を管理することができるのか、また、従業員の事情等も考慮してルールを決めていくとより効果的でしょう。

電気代は会社に負担してもらうことは可能なのか?

「在宅勤務になってから光熱費が高くなって困っている」

テレワークを始めて支出が増えたという従業員からの不満の声も聞こえます。電気代や水道代はもちろん、テレワークを導入したことによって新たに通信回線の契約をした方もいるでしょう。そういった声に会社はどこまで対応すべきでしょうか。

まず、原則として会社はテレワークにかかる費用を負担する義務はありません。厚生労働省のガイドラインでは「テレワークによって、従業員に過度の負担が生じることは望ましくない」という表記に留まり、費用の負担は求められていません。ただ、テレワークを実施した結果、オフィスの縮小や通勤定期代の廃止に伴い、コストカットできた分を新たな手当として従業員に還元している会社は多くあります。会社が負担する経費の額はこれまでと変えず、テレワークにかかる費用を補助することで従業員の満足度を上げているのです。

これは採用活動で自社の魅力の一つとして発信することもできます。会社が手当を支給するケースには、テレワークを1回やるごとに支払う、実施回数が一定以上の場合にのみ支払う、回数に関わらず毎月一定額を支払うなど様々なケースがあります。テレワークで削減されるコストや同業他社の支給状況、待遇の良さとしてアピールしたいかなど様々な観点から検討すると良いでしょう。

テレワークで評価しやすい制度は

テレワークでは管理者の目が行き届きにくくなり、労働時間や仕事の進捗管理が従来と比べて難しくなります。本当に仕事をしているのか分からないという疑念の声がある反面、プライベートと仕事の線引きが曖昧になったことで実は隠れて残業をしているというケースもあります。このような状況では単純に労働時間の長短では評価しづらく、成果や職務を中心にした評価の方がテレワークには馴染みやすいと言えます。

例えば、テレワークになったことで、オンとオフが切り替えられず仕事に集中できずまったく成果が上がらない人もいれば、家に子供がいながら仕事をすることを余儀なくされているがしっかりと成果をあげる人もいます。つまり、通勤していたころのように、労働時間や人物像を中心とした制度では機能しないケースが少なからずあるということです。今後は、個々の事情は様々ですが、目標の達成に向けて計画を作りながら、自律的に仕事を遂行し、着実に成果を出していく人が評価されやすいのではないでしょうか。  

さて、あなたの会社の評価制度はテレワークでも機能していますか。もし成果で評価しているのであれば、従業員に目標や計画を明確に伝えることが出来ていますでしょうか。成果で評価する場合、そもそも目標が不明確で、従業員との認識が合っていなければ、達成することは不可能です。まずは現状の制度がテレワークに対応できるものになっているのか今一度確認し、必要に応じて見直すことをお勧めします。

文/馬場順也

2016年4月に社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所に入所。2022年に社会保険労務士登録。『中小企業の支援をしたい』という想いから、新卒で金融機関に就職。そこで、一緒に仕事をした社会保険労務士の仕事に感銘を受け、もっと専門的な立場からの支援の必要性を感じ社労士の道を志す。労務相談やアウトソーシング業務を通してクライアントの企業理念やビジョンの達成をサポートすることを目標とする。また、採用定着士として企業の採用支援にも力を入れている。

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