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子どもをグローバルで活躍できる人材に育てる「英語×STEAM教育」の始め方

2022.05.07

STEAM(スティーム)教育という言葉がだいぶ浸透してきて、子を育てる親としては、より総合的な学びをさせてあげたいと感じているのではないだろうか。

さらに、グローバルな観点を持つ必要もある昨今、早期から英語教育にも力を入れる方針の家庭も増えている。

総合的な学びと英語教育、どちらも子どもに学ばせたい家庭がぜひ知っておきたい教育手法が、英語教育をSTEAM教育とかけあわせたもの。どんな教育法なのかを探るとともに、そのメリットと「英語嫌い」にならないための方法もご紹介しよう。

そもそもSTEAM教育とは

STEAM教育とは、STEM(Science・Technology・Engineering・Mathematics)に「A」を加えた教育を指す。「A」の解釈はさまざまで、文部科学省は「STEAMのAの範囲を芸術、文化のみならず、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲(Liberal Arts)で定義し、推進することが重要である」としている。

AIやIoTなどの急速な技術の進展を背景に、激しく変化する現代社会においては、多様な課題が生じている。このような社会背景においては、「文系・理系といった枠にとらわれず、各教科等の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながらそれを統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成」が求められている。

STEAM教育は、文・理の枠にとらわれず、実社会で自ら問題を発見し、解決に活かしていくための教科横断的な教育、というところに特徴がある。

出典:文部科学省「STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進」

「英語×STEAM教育」とは?

0歳からの未就学児向け教育の研究・企画を行っている「STEAM English for kids」代表の小川みか氏は、英語教育とSTEAM教育を組み合わせた幼児教育のカリキュラムをパーソナルトレーニングとして親子に提供している。

英語教育とSTEAM教育を組み合わせた教育とはどのようなものなのか?その内容を教えてもらった。

【取材協力】

小川 みか氏
STEAM English for kids 代表

未就学児対象イベント運営3年間に1,000名以上の親子と交流。インターナショナルスクール講師・幼児教育サポートを経て「STEAM English for kids」を立ち上げる(名古屋市スタートアップ補助事業認定)
https://edforkids.connect-ed.biz/

「ここ数年、英語学習の中にSTEAM教育を取り入れたスクールが増えてきています。海外の英語講師のためのプログラムや英語教材、世界的に名の知れた幼児教育の中にもSTEAM教育が取り入れられています。導入背景はそれぞれのスクールなどで異なりますが、当社の場合は『世界のどこでも子どもたちが心豊かに強く生きる』ためのツールとして、英語教育のカリキュラムの中にSTEAM教育を取り入れています。

言葉の能力が大きく伸びる未就学児の時期に、それぞれの子どもの成長・年齢に適切な材料・語り掛け(インプット)を意識し、言語や論理的能力を発達させるのに役立つ個別最適な学びを提供できるようサポートしています。

『未就学児に英語でSTEAM教育』と聞くと、『母国語ではない英語を使いながら、親ですら、まだよく分かっていないSTEAMの分野を学ぶことなんてできるのか?』と思う方もいらっしゃると思います。それはもしかしたら、STEAM教育と聞くと、座学での『プログラミング』や『実験』などのイメージが強いからかもしれません。

しかし未就学児でも、日々の生活の中で経験する五感の体験から、STEAMの横断的学びを得ることができます。子どもの発達段階ごとの特徴から見ても、五感の体験からの学びはとても適していると考えます。

当社では、もともと子どもたちの知的好奇心を育む内容を、英語教育に組み込んでいました。そこから子どもたちそれぞれの興味を基盤とした内容にレッスンを改善していったら、自ずと、STEAM分野のコンテンツになっていったのです」

「英語×STEAM教育」の実践方法

英語×SETAM教育は、具体的にどのように実践するのか。学ぶ内容やアプローチには個人個人でさまざまな方法があることから、2人の子どもの教育事例を教えてもらった。

事例1「自分の楽器を作って数量を体感」

「当社のカリキュラムの中に『数量を体感し理解する』というものがあります。

音楽・リズムに対して非常に反応がよいお子さまを担当した際、音楽を通して数量を体感できないだろうかと考え、『自分の楽器(音の鳴るおもちゃ)を作ろう』というアクティビティを取り入れました。

空の500mlのペットボトルの中に、マカロニやストローなどを入れていき、『1個入れた場合の音は?5個入れた場合は?10個入れた場合は?』と英語で語りかけ、量によって音の鳴り響きが違うことを確かめてもらい、自分の好きな音はどのぐらいの量なのかを自分で探ってもらいます。

そして好きなだけペットボトルに材料を入れてもらいますが、入れすぎると、今度は音が鳴らなくなります。すると、今度は音が鳴るように数を調整するようになります。そして、入れる素材を変えて、素材によっても音が違うことを確認したり、それぞれ好きな音が鳴る数量を確認したりします。これにより、お子さまは、自分の楽器づくりを通して数量を体感することができました」

事例2「自分の家を作って数量を体感」

「ある2歳後半のお子さまも『数量を体感し理解する』のカリキュラムでアクティビティを行いました。当社の英語×STEAM教育では、お子さまの興味関心に合わせてアクティビティを変えます。このお子さまはブロック遊びが好きとのことで、当時とても熱中していたため、『自分の家を作ろう』というアクティビティを通して、数量を体感・理解できるようにしました。

材料は、ご自宅にある廃材、例えばティッシュペーパーの箱やトイレットペーパーの芯を利用して、横並びや縦並び、積み上げなど、好きなように組み合わせて自分の家を作ります。積み上げ作業の中で、このぐらいなら積み上げられる、並べていく中で、もう1つ、もう4つ欲しいなど、言葉には出しませんが、お子さまが自分で量を調整しながら作り上げます。これにより、お子さまは数量を体感しながら理解します」

「これらのアクティビティにおいては、お子さまに対してすべて英語で語りかけます。

このように、英語×STEAM教育では子どもが『目の前のことを実現するために何をすればよいのか?』『何がどれだけの量必要か?』といったことを体感できるような足場作りを、大人がサポートしていきます。

子どもは自分の疑問やアイディアを通じて物事を進行させる中で、実践的な学びを得ることができます。一つの物事に対して、子どもがそれぞれに感じる課題意識は一人一人異なります。その中で、自分の興味や得意分野を活かして、どのようにその課題を解決するのかというプロセスは、人それぞれ違っていいのです。そのプロセスを踏むことが、子どもの学びにつながります」

英語教育とSTEAM教育を組み合わせるメリット

英語教育とSTEAM教育を組み合わせることにより、どのような学習効果やメリットが生まれるのだろうか。

「STEAM教育は、自分自身が課題を見出すことを重視する方法であることから、それぞれの子どもの興味や強みが活きてきます。それは自発的・積極的な発話につながりやすいため、第二言語習得に良い影響を与えると考えます。

また、それぞれの好奇心や興味を通して英語を学ぶため、学ぶことを楽しむことができ、その結果、学ぶことが好きになるというメリットもあるのではないかと考えます。人は自分の好きなもの、興味のあるものは吸収しやすいものです」

「英語×STEAM教育」の学習効果を出すポイント

家庭で実践する際、学習効果を出すためにはどんなことを重視すればいいだろうか。

非効率的な学習は「無理にやらせない」こと

「効果的な学習とは何かを知るためには、まず非効率的な学習が何かを知っていただくことも重要かと思います。

例えば、未就学児が『やりたくない』と意思を示したときに、無理にやらせることはその代表です。この時期は、好奇心旺盛で、あらゆることへの興味や能力を大きく広げ、伸ばすことができるはずなのに、『やりたくない』という言葉が出るということは、何らかの重要なサインです。自分が受け入れられない学習は、お子さまも苦しいはずですし、非効率であるため、おすすめできません」

効果的な学習とは、「継続的な自学自習ができるようサポートする」こと

「では、『効果的』な学習とは何か。それは、『継続的な自学自習』ができるよう、ご家庭でサポートすることなのではないかと考えます。毎日、10分でもいいので、継続が大事です。

実際に、英語の発話が早かったお子さまのご家庭では、保護者がお子さまへの語りかけを熱心に継続していました。ここで言う英語の発話とは、単にABCの歌が歌えるということではなく、その英単語や英文がどういう意味を持っているかを理解し、声に出すことを指します。同じ語りかけでもどのような言葉で語りかけをすべきかも熟考し、工夫することが必要です。

また未就学児といっても、0歳から6歳までと幅広く、成長の過程でできることできないこと、その時期に得意なこと、まだ得意ではないことがあります。それを把握した上で、保護者がお子さまの成長・興味に適したサポートをしてあげられるといいのではと思います」

効率化のポイントはインプットとアウトプットの場を作ること

「効率を考慮する場合は、意図的なインプットが重要です。何をインプットさせるかは、よく考える必要があり、ここが重要といえます。そしてご自宅や学校・スクールなどでインプットしたものをアウトプットできる場を作ってあげることで、定着へとつながります。

例えば実際に外国に行ってみたり、日本でもインターナショナルスクールで短期間、一般向けに開講するスプリングスクールやサマースクールなどを利用してみたり、外国人のお友達と遊ぶ機会を持ったりするなど、子どもが必然的に英語の発話ができるような環境に身を置ける機会を増やしてあげられればよりいいですね」

「英語の無理な発話をさせない」ことで英語嫌いになるのを予防

早期から子どもに英語を教えることで、逆に英語嫌いにならないか不安になることもある。予防するためにはどうすればいいか、小川氏にアドバイスしてもらった。

「英語が嫌いになる理由はさまざまです。『英語の学習についていけない』『授業やレッスンがつまらない』『先生やお友達とのトラブル』など、お子さまによっても、多様なケースがあります。原因によって対策が変わってくるため、基本的にご家庭では、お子さまにとって何が嫌なのかを把握してあげることが必要と考えます。

ここでは、未就学児が英語を学ぶ際の初期段階のケースにおいて、どのご家庭でもできる簡単で大切な『英語嫌いにならない』対策をご紹介します。それは『英語の無理な発話をさせないこと』です。

第二言語習得においては『沈黙期(silent period)』と呼ばれる期間があります。これは発話していなくても、会話や質問などをしっかり聞いており、理解に集中し、言語を身につけている期間のことです。この期間があることを考慮しましょう。十分なインプットがなされていない段階で、強制的な発話を誘導されたら、誰でも心地いいものではありません。

母国語である日本語もそうですが、生まれてきてから発話できるようになるまで、ある程度、期間が必要です。第二言語も同様で、言語習得は時間がかかるものです。そのため、初めは自然と発話ができるようになるための足場作りをしてあげることが必要と考えます。焦ってしまうこともあるかもしれませんが、まずはたくさんのインプットをしてあげて、お子さまの成長を見守ってあげてください」

家庭で幼児期に何に触れさせ、何を学ばせるかは完全に保護者の判断にかかっている。英語とともに、これからの時代に即した力を身に付けさせたいと考える場合には、一つの方法として、「英語×STEAM教育」があることを知っておくと、より理想的な学びにつながるのではないだろうか。

取材・文/石原亜香利

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