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相席居酒屋での男女の価格差は不当な差別に当たらないのか?

2022.05.07

男女間の出会いの場を提供する「相席居酒屋」では、男性が比較的高額の料金を支払う一方で、女性は無料または低額の料金負担とされているケースが多いです。

このような男女間での取扱いの違いには、何か法律上の問題はないのでしょうか?

今回は、男女間での取扱いの違いが違憲・違法となるかどうかについて、相席居酒屋などの例を挙げながらまとめました。

1. 相席居酒屋のよくある料金体系

相席居酒屋では、男女の間で利用料金の差を設けているケースが大半です。多くの場合、男性の利用料金が比較的高額に設定される一方で、女性の利用料金は無料または低額に設定されています。

相席居酒屋が男女間で料金差を設けているのは、「出会いの場」に対するニーズに男女間の違いがあるためと考えられます。簡単に言えば、男女で同じ料金を設定すると、男性利用客よりも女性利用客が圧倒的に少なくなってしまうと予想されるからです。

「出会いの場」である以上、その場にいる男女の人数は、ある程度釣り合っていなければなりません。そのため、女性の利用料金を無料または安く設定することで、女性利用客の集客促進を図っているものと思われます。

2. 相席居酒屋の男女価格差は、法律上問題ないのか?

「男女平等」の重要性が社会的に広く認識される中で、相席居酒屋における男女の価格差には問題があるようにも思われます。

しかし法律上は、相席居酒屋が男女の価格差を設けることには、特に問題がないと考えられます。

2-1. 相席居酒屋には「営業の自由」が認められている

店舗には、商品やサービスを提供する顧客を選ぶ自由があります。また、個々の顧客に対して、どのような価格で商品やサービスの提供をオファーするかについても、店舗側の自由です。

これらの自由は、日本国憲法22条1項により「営業の自由」として保障されています。相席居酒屋も営業の自由により、自らの判断で自由に顧客を選び、かつサービスを提供する価格を決めることができます。

したがって、相席居酒屋が男女の価格差を設けているとしても、基本的には違法というわけではありません。

2-2. 営業の自由と「法の下の平等」との関係性

日本国憲法14条1項では、全国民が性別等による差別を受けない「法の下の平等」が定められています。

相席居酒屋の営業の自由も、法の下の平等によって制約を受けそうに思えますが、男女の価格差を設けることについては、以下の理由から特に問題ないと考えられます。

①相席居酒屋の運営者は私人である(公的機関等ではない)

日本国憲法は本来、公権力を行使する国・自治体・公的機関などに適用されるものです。

相席居酒屋の運営者は私人であるため、日本国憲法における法の下の平等の適用を直接受けることはありません。

②男女の価格差を設定することに経済的な合理性がある

私人による行為であっても、著しく不合理な男女差別に当たる場合には、公序良俗(民法90条)や不法行為(民法709条)との関係で違法となることがあります。

しかし、相席居酒屋における男女の価格差には、男女間のニーズの違いに応じた経済的な合理性があるため、公序良俗違反や不法行為には当たらないと考えられます。

3. 男女差別が違憲・違法となる場合とは?

相席居酒屋の例では、男女差が違法となる可能性は低いですが、場面が変われば違憲・違法な男女差別と評価されることもあり得ます。

男女差別が違憲・違法となる場合の例は、以下のとおりです。

3-1. 公的機関による不当な男女差別

国・自治体・公的機関など、日本国憲法が直接適用される主体による男女差別については、合憲性が厳しく審査されます。

これらの主体が、公的サービスの提供等に関して男女の価格差を設けた場合、高度の必要性・合理性が認められない限り、違憲と評価される可能性が高いでしょう。

3-2. 法律の明文で禁止されている男女差別

法律の明文で男女差別が禁止されている場合、公的機関等ではない私人の行為であっても、男女差別が違法となる可能性があります。

(例)
①労働基準法4条
労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをすることが禁止されています。

②男女雇用機会均等法5条、6条
募集・採用についての性差別や、労働条件・解雇等についての性差別が禁止されています。

3-3. 公の性質を有する私的団体による男女差別

私的団体による行為であっても、その団体が公の性質を有する場合には、公序良俗(民法90条)や不法行為(民法709条)との関係で、男女差別が違法となる可能性があります。

たとえば、私立大学が事前告知をせずに男女間の得点調整を行っていた事件では、裁判所は得点調整に関する大学側の事前説明義務を認め、受験者に対する受験料の返還を命じました(東京地裁令和2年3月6日判決)。

その理由の一つとして、裁判所は、私立大学であっても公の性質を有するため(教育基本法6条1項参照)、入学者の選抜に関して憲法等の趣旨を尊重する義務を負うことを挙げています。

3-4. 相手の人格権を侵害する男女差別

男女の性差に関連付けた侮辱的な言動など、何ら合理的な理由のない男女差別については、相手の人格権を侵害するものとして、「不法行為」に該当する可能性があります(民法709条)。

不法行為が成立する場合、被害者は加害者に対して、慰謝料などの損害賠償を請求できます。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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