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もしもフォロワー数の多いインフルエンサーがSNSで誹謗中傷を投稿した場合、法的責任は重くなる?

2022.05.08

インフルエンサーに対する誹謗中傷が社会問題化する一方で、インフルエンサー自身が他人に対して、誹謗中傷の投稿をしてしまうケースもあります。

インフルエンサーはフォロワー数が多いため、誹謗中傷をした場合に、被害者へ与える影響が大きくなりがちです。その分、インフルエンサー自身が負う法的責任も重くなりやすいので、SNS投稿時の内容・表現には細心の注意を払いましょう。

今回は、インフルエンサー自身による誹謗中傷について、法的な問題点をまとめました。

1. 誹謗中傷をした場合の法的責任

いわゆるインフルエンサーであるか否かにかかわらず、SNS上で誹謗中傷の投稿を行った場合、以下の法的責任が発生します。

1-1. 名誉毀損罪・侮辱罪・信用毀損罪

SNS上で誹謗中傷をした場合、名誉毀損罪・侮辱罪・信用毀損罪・業務妨害罪が成立し、刑事罰を受ける可能性があります。

①名誉毀損罪(刑法230条1項)

何らかの事実を摘示して、他人の社会的評価を下げるような投稿を行った場合に成立します。法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。

②侮辱罪(刑法231条)

事実を摘示せずに、他人の社会的評価を下げるような投稿を行った場合に成立します。法定刑は「拘留または科料」です。

③信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条)

虚偽の事実を摘示するなどして、他人の信用を毀損し、または業務を妨害した場合に成立します。法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

1-2. 民法上の不法行為(損害賠償責任)

SNS上での誹謗中傷により、他人に何らかの損害を与えた場合には「不法行為」が成立します(民法709条)。不法行為が成立する場合、投稿者は被害者に生じた損害を賠償しなければなりません。

不法行為に基づく損害賠償の金額に上限はなく、被害者が損害額を立証すれば、投稿者はその金額を支払う必要があります。

2. フォロワー数が多いと、誹謗中傷の責任も重くなりやすい

SNS上でのフォロワー数が多いインフルエンサーは、自ら誹謗中傷の投稿をした場合、一般の方よりも重い法的責任を負う可能性があります。

2-1. 犯罪の量刑|フォロワーが多いことは不利な事情となる

誹謗中傷によって犯罪の責任を問われた場合、刑事処分の内容は、犯罪行為の悪質性などによって左右されます。

SNS上での誹謗中傷の場合、同じ内容の投稿であっても、投稿者が誰であるかによって、被害者に与える損害や社会的影響の程度が異なります。

投稿者がインフルエンサーであれば、被害者に与える損害や社会的影響は大きいと評価され、重い犯罪の責任が認められる可能性が高いのです。

そのため、インフルエンサーが誹謗中傷の投稿を行った場合、一般の方であれば起訴に至らない内容でも起訴されたり、刑事裁判で重い判決を言い渡されたりすることがあり得るので注意が必要です。

2-2. 損害賠償の金額|フォロワーが多いことは増額事由となる

誹謗中傷投稿が不法行為に当たる場合、投稿者は被害者に生じた損害を賠償しなければなりません。

インフルエンサーが誹謗中傷の投稿を行うと、その内容は多くのフォロワーの目に触れるため、被害者が受ける損害は甚大です。

一般の方であれば数十万円程度の損害賠償にとどまるケースでも、インフルエンサーによる投稿であることを理由に、数百万円から数千万円の損害賠償を求められる可能性があります。

3. インフルエンサーがSNSトラブルを避けるための注意点

インフルエンサーは、SNS上で誹謗中傷に当たる投稿を行ってしまうと、一般の方よりも大きな法的責任を負う可能性が高いです。そのためSNSの運用には、特に細心の注意を払って取り組む必要があります。

3-1. 特定の個人・団体に言及したネガティブな投稿は避けるべき

特定の個人・団体に関するネガティブな投稿は、一部の例外はあるものの、違法な誹謗中傷に当たる可能性が高いです。そのため、個人名・団体名を挙げたうえでネガティブな投稿を行うことは、基本的に避けるべきでしょう。

なお、

「個人名・団体名の一部を伏字にしておけば大丈夫」

というのは誤解です。

伏字にしていたとしても、文脈から個人・団体を特定できる場合には、違法な誹謗中傷として犯罪や損害賠償責任の対象になり得るので注意しましょう。

3-2. 事務所などのチェックを受けることが望ましい

SNS投稿が違法な誹謗中傷に当たるかどうかを、インフルエンサーの方が自分だけでスクリーニングするのは困難な部分があります。

そのため、SNSに投稿を行う際には、事務所などの事前チェックを受けることが望ましいでしょう。

事務所に所属していない場合や、事務所にリーガルチェックができる人材がいない場合には、個人的に顧問弁護士等へ相談することも一つの選択肢です。

誹謗中傷の投稿一つで、インフルエンサーとしてのイメージが失墜してしまうことはよくありますので、十分に注意を払ってSNS運用を行ってください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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