「安かろう悪かろう」「安物買いの銭失い」なんていう言葉が当たり前のように使われていたのも、今は昔。「えっ、こんな値段でいいの?」と驚くような、安くて高品質な商品が市場には溢れている。
その筆頭といえるのが、100円均一でおなじみの「ダイソー」。トレンドやニーズを的確にとらえた商品ラインナップで、私たち消費者の生活を支えてくれているのは、皆さんご存じの通り。
そんなダイソーで近年注目を集めているのが「100円じゃない」商品。200~1000円まで、100円刻みでラインアップされているアイテムが、「100円じゃなくてもハイクオリティで安い!」と評判なのだ。
なぜ100円均一ショップなのに、100円じゃない商品を販売しているのか?その値段はどうやって決めているのか?今後、「100円じゃない」商品に力を入れていくのか?など、素朴な疑問をぶつけてみた。
市場価格の1/3でできそうなら前向きに検討
教えてくれたのは、株式会社大創産業 商品本部本部長の平本良弘さんだ。
――500円商品など、100円じゃない商品もハイクオリティと話題ですが、100円均一ショップであるダイソーさんが、どういう理由で100円以外の商品を作っているのでしょうか。
平本さん(以下敬称略)「100円以外の商品は、全体の商品数でいったら本当にわずかなんですよ。
例えば、100円の容器を販売していたら、お客様からその倍のサイズの容器が欲しいというニーズがあった。100円では難しいが200円ならできるな、という考え方です。なので、基本は100円の商品にあって、お客様のニーズがあった場合に、サイズ違いやバリエーション違いとしてそれ以上の価格帯の商品を出しています」
――幅広い商品を展開するにあたり、商品化する・しないはどうやって決めていますか?
平本「大体イメージしているのは、市場価格の1/3くらいでできそうだったら、やろうかなという判断です。例えば、ダイソーでは100円のミラーもたくさんラインアップしていますが、お客様からライトのついた女優ミラーというのが欲しいというニーズがあって。それは100円では難しいけれど、500円ならできそうだと。市場だと、このコンパクトな女優ミラーは1000円よりもっと高いのが一般的なので、お得感があると思います」
――平本さんのおすすめの、これは特にバリューが高いと思う「100円じゃない」商品の自信作を教えてください。
平本「やっぱり電気小物ですかね。たとえばイヤホンだと…100円のも、相当音はいいんですよ。以前にまだ電気小物にそこまで力を入れていなかったときに、他社さんの100円のイヤホンにクオリティで負けたことがありまして。そこからまた100円のも良くなるよう改善していったので、同じ価格だったら、品質はうちのほうが良い。同じ品質だったら、うちのほうが安い。それを徹底して貫かないと、ダイソーで買う理由がないですよね。
そんな100円のイヤホンはあるものの、今度はお客様のニーズが変わってきました。携帯電話の挿すところ(イヤホンジャック)がなくなったり、マイクのニーズが出て来たり。マイク付きは300円ならできるかなとか、ワイヤレスなら1000円でできるかな、とかですね。
この完全ワイヤレスイヤホンは1000円ですが、同クオリティのものが市場では3000円以上します。最近、同業他社さんが1500円のものを発売されましたが、我々が1000円で出しているものとは中で使っているパーツが違っていて、中に入っている磁石とか充電の容量とか、音質を出すために使っている部材とか、グレードがちょっと低いんですね。
うちとしてはダイソーで買って損したと思われるような商品は出せないので、単純に1000円で完全ワイヤレスイヤホンを売る、ということだけでなく、どんなクオリティなのかということにまでこだわっています」
ハイクオリティに驚く、ダイソーのおすすめ「100円じゃない」商品5選
ダイソーで買ってよかった、という満足度を求めて、他には出せないクオリティを追求しているダイソー。100円商品が、市場では200~300円で売られているものと同等と仮定すると、500円商品は市場では1000~2000円、1000円商品は市場では2000~3000円と、差額が大きくなっていく。100円以上の商品が話題を集めているのも、この高コスパ感がわかりやすいからかもしれない。
お役立ち間違いなしの「100円じゃない」アイテムの中から、おすすめのものを5つピックアップした。
音がしない充電式ワイヤレスマウス 550円
充電式ワイヤレスマウス 550円
USBレシーバーをパソコンにつなぐタイプのワイヤレスマウス。ちょっと安っぽい質感のマウスも多いなか、こちらは持ち歩きやすいフラットめな形状に、マットな質感が手にしっくりなじむ。
難しいことは何もなく、レシーバーをパソコンに挿入し、マウス裏側のスイッチをONにすると、すぐに使い始めることができる。
そしてこのマウスの最大の売り「カチカチ音がしない」は、本当だった。編集部に人が少ないとき、隙間時間にコワーキングスペースやカフェでちょっと作業をするとき、マウスのカチカチ音が鳴り響くのが気になっていたが、このマウスならその心配は不要! 持ち歩きのマウスをこれに変えよう、とすぐさま決意した。
レシーバーはマウス本体に収納可能で、家とオフィスなど、違うパソコンを使う場合でもレシーバーを紛失しづらい構造になっている。
付属のMicro USB Type-BとType-Aの充電ケーブルで充電できるので、乾電池などを使う必要がないのも推しポイントだ。
充電式ワイヤレスマウス
価格:550円(税込)
センサー方式:LED光学式
インターフェース:USB、無線2.4GHz
分解能:1000/12000/1600dpi
ステレオ使いを試すべし! Bluetooth スピーカー 1100円
Bluetooth Speaker 1100円
話題の商品、Bluetootスピーカーだ。手のひらに載せられるくらいのサイズ感で、しっかりしたボディが特徴的。
まずはシンプルにスマートフォンと接続して音楽を鳴らしてみると、その重低音までしっかり捉えた音に驚く。2000円程度のもっと小型のBluetoothスピーカーを買ったことがあるが、音の迫力が段違いだ。
スピーカーの上部には電源ボタン、再生ボタン、ボリュームボタンが並び、誰でもひとめでわかりやすい操作性だ。
後ろには充電用のMicro USB Type-B端子に加え、microSD、TFカードスロット、USBメモリーのスロットが並ぶ。パソコンやスマートフォンに接続せずとも、それらのメモリーに保存した音楽の再生も可能なのだ。スマートフォンを別の用途に使っているときなど、単体で音が鳴ってくれるほうが良い場合もある。
そしてこのスピーカーでイチオシしたいのが、2台でのステレオ使いである。Bluetootスピーカーは2台買えばステレオで使えるものが多いが、なかなか1万円や2万円するスピーカーを同じものを2台買う余裕はない。その点、このスピーカーならなら2台買っても2000円!
2台のスピーカーの繋ぎ方は、両方のスピーカーの電源を居れたら、片方のスピーカーの再生ボタンを2回クリックするだけ。するともう1台のスピーカーから短い音が鳴り、2台の接続が完了。
あとはスマートフォンなりパソコンのBluetoothから表示された1台に接続するだけで、ステレオで使う準備は完了だ。
さっそく接続してみると、あまりの豊かな音の広がりに、正直ベースで感動した。普段、5000円~20000円程度のBluetoothスピーカー3台を場所によって使い分けているのだが、いずれも1台での使用。契約しているYouTube Musicの音楽を流しただけなのに「ステレオ、すごっ!」とすっかり魅了されてしまった。
部屋の上のほうの角と角に、ダイソーのコーナー棚を設置して、このスピーカーをそれぞれ置いたら、音が降ってくるように楽しめるはず。2200円(税込)で、音楽ライフがぐっと楽しくなること請け合いだ。
ダイソー自信作!完全ワイヤレスイヤホン 1100円
完全ワイヤレスイヤホン(TW001) 1100円
左右のイヤホンがケーブルで繋がってなく、それぞれ独立して装着できるのが特徴の、完全ワイヤレスイヤホン。市販されているものは安くても3000円台から多く、それが1000円で買えるとは驚き。
ケースやプラスチック部分のややチープな質感は否めないものの、耳にピタっと納まる装着感はよく、イヤホンをケースから取り出すと、自動で電源がオンになるので、Bluetoothでのペアリングもラクラク。
音楽を聞いてみると、音質に特に問題はなく、しっかり明瞭に聞けることに驚いた。また、通話機能も備えているため、電話やオンライン会議などでの使用も可能。LINE通話も問題なく行うことができた。
また、イヤホン本体の操作ボタンで、楽曲の再生や着信の受信、曲の早送りや巻き戻しも可能。わかりやすい操作性は好印象だ。
近年、駅の落とし物でワイヤレスイヤホンが爆増しているという報道があったほど、愛用する人が多く、かつ落としてしまいやすいワイヤレスイヤホン。
外で頻繁に着け外しする人や、ものを無くしやすい人は、ぜひこのダイソーイヤホンをお試しあれ。想像以上のクオリティに驚くはず。
完全ワイヤレスイヤホン(TW001)
通信方式:Bluetooth標準規格 Ver5.0
出力:Bluetooth標準規格 Power Class2
通信距離:見通し距離 約10m
電池持続時間:連続再生時間 約4時間、充電ケース使用時 最大約10時間(イヤホン4時間+充電ケース6時間)
連続待ち受け:約70時間 ※使用条件により異なる
イヤホンバッテリーの容量:50mAh×2
充電ケースバッテリーの容量:300mAh
バッテリーの種類:リチウムイオンポリマー
充電時間:約1時間30分(イヤホン)、約4時間(イヤホン+充電ケース)
置くだけで充電!ワイヤレス・チャージャー 550円
ワイヤレス・チャージャー 550円(税込)
ケーブルの有無や端子の規格にとらわれず、置くだけで充電できるワイヤレス充電器。
近年発売されたスマートフォンは、ワイヤレス充電に対応されたものが増えてきている。ファストフードなどのテーブルにワイヤレス充電を備えた店舗も見られるので、その便利さを体感したことがある人も多いのではないだろうか。
市販のワイヤレス充電器は1500~5000円程度が主流だが、ダイソーで販売しているワイヤレス・チャージャーは550円(税込)。ワイヤレス充電を試してみたいという場合にもぴったりだ。
この商品の出力は5Wで、市販のワイヤレス充電器は10Wのものもあるが、iPhoneが充電できる最大W数は現在7.5W(推定値)とされているように、大きければ充電スピードが早いかというと、そうではない。端末との兼ね合いが重要になる。
iPhone12 Proをワイヤレス・チャージャーの上に置いてみたところ、すぐに充電が始まった。充電速度としては、ケーブルを使った急速充電よりは遅いのだが、これはワイヤレス充電器全体の傾向だ。
急いで充電がしたいときというより、仕事しているときに置きっぱなしにしておくと、いつの間にか充電され、電話がかかってきたときもケーブルの煩わしさがなく、すぐに対応できるのが良かった。
また近ごろはType-C端子で出力するものが増え、Type-Aのとライトニングケーブルを、Type-Cのライトニングケーブルを買い増したリ、ケーブルについて考えるのが少々面倒になってきた今日このごろ。
「置くだけ充電」なら、少なくともスマートフォンのケーブルには悩まされずに済むと思うと、机に設置しておきたい1台となった。
ワイヤレス・チャージャー
入力:DC5V/2A ※最大
出力:DC5V/1A(5W)※最大
本体寸法:H11×W92×D92mm
本体質量:約52g
切れ味に感動!ワンハンドスパイスミル 550円
ワンワンハンドスパイスミル 550円
粒タイプのブラックペッパーなどを粉状に挽く、スパイスミル。キッチンに備えているご家庭も多いと思うが、多くの場合は、片手で持って、もう片方の手でガリガリ回すようなタイプではないだろうか。
ダイソーで販売しているワンハンドスパイスミルは、その名の通り片手でプッシュすることで、粉状に挽けるアイテム。プッシュする逆側をくるくる回すと外すことができ、そこに挽きたいスパイスを入れる。
スパイスミルで一番大切なことは、いかにスムーズに挽けるかという点にあるが、両手を使るスパイスミルよりはるかに弱い力であるにも関わらず、面白いようにドンドン粗びきが完成した。
挽く細かさの調整はできないが、普段使っているスパイスミルでもいちいち調整したことがないことを思うと、さほど重要ではない機能かもしれない。
また、料理をしていると片手が汚れていることも多いので、片手でヒョイッとスパイスを挽けるのは、作業の流れがよりスムーズになるということも発見だ。ちなみに、岩塩には使わないようにとあるので、その点はご注意を。
ワンハンドスパイスミル
商品サイズ:2.7cm×2.7cm×15.1cm
材質:ステンレス鋼、AS樹脂
1000円出してもお得感しかない、ダイソーの「100円じゃない」アイテムたち。4月にオープンした「DAISOマロニエゲート銀座店」は、ダイソーのみならず、スタンダードプロダクツ バイ ダイソー、スリーピーという、大創産業が展開する3ブランドの旗艦店が集結した都心にしては大型の店舗だ。もちろん「100円じゃない」アイテムの品ぞろえも優秀なので、一度チェックしてみてはいかがだろう。
・DAISOマロニエゲート銀座店
住所:東京都中央区銀座3-2-1 マロニエゲート銀座2 6階
営業時間:11:00 ~21:00
休業日:なし ※マロニエゲート銀座に準じる
取材・文/安念美和子