仕事中、コンタクトレンズを長時間着用しているビジネスパーソンも多いのではないだろうか。テレワーク中も出社時と同様に、コンタクトレンズを着用している人もいるだろう。テレワークは長時間労働になりがちだが、長時間のコンタクトレンズ着用はどうしても不快感や目の乾燥など、ちょっとした目のトラブルが生じがちだ。
コンタクトレンズ装用の不快感を少しでもなくすにはどうすればいいか。対策として、眼科医の意見や市販のアイテムを利用する方法を紹介する。
コンタクトレンズ装用時の不快感TOP3は「目の乾燥」「目の異物感」「目の疲れ」
日本アルコンが2021年11月、20~34歳の女性約430名を対象に「コンタクトレンズの装用に関する実態調査」を実施した。
●約7割が「目の乾燥」で不快
94.6%がコンタクトレンズ装用時に何らかの不快感を経験したことがあると回答し、不快感の内容として「目の乾燥(76.5%)」「目の異物感(61.8%)」「目の疲れ(53.8%)」が上位となった。
●「目の前のことに集中できない」が約6割強
また、コンタクトレンズ装用時に生じた目の不快感によるストレスについて聞いたところ、「目の乾燥による目の前のことへの集中力の低下(67.7%)」や「人の顔や物が見えにくくなる(64.8%)」、「目の不快感が気になり会話や作業に集中できない(47.5%)」などを感じていることもわかった。仕事中であれば、仕事の集中力やパフォーマンスに影響が出ることは明らかだ。
●ほとんどが「その場しのぎの対処」
また、コンタクトレンズ装用時の不快感に対する対処法について尋ねると、「目薬を使う(77.2%)」がダントツトップで、次いで「コンタクトレンズを入れなおす(62.5%)」「目を閉じる・休める(53.4%)」と続く。
また65.7%の人が、目薬を差したり目のマッサージを行ったりといった目の不快感への対処をしたことにより化粧が崩れてしまい、「化粧直しが面倒だと感じる」と回答している。特に女性は目にマスカラやアイシャドウなどのメイクを施すことが多いことが要因と考えられる。コンタクトレンズへの不快感への対処が、新たな二次的ストレスを生み出していることがわかった。
●コンタクトレンズの銘柄変更経験者は約3割に留まる
コンタクトレンズ装用時の不快感の根本的な解決または緩和のために、コンタクトレンズの製品の銘柄の変更について、検討したことがある人は62.7%いた。しかし、実際に銘柄を変更したことがある人は35.2%にとどまった。
眼科医がアドバイス!コンタクト装用中の不快感を軽減する策とは?
コンタクトレンズを装用時に不快感が生じると、目の前の仕事や作業に集中できなくなることもある。軽減するには具体的にどのような対処をすればいいか。眼科医で、元町マリン眼科院長の蓮見由紀子氏にアドバイスしてもらった。
【取材協力】
元町マリン眼科 院長 蓮見由紀子氏
医学博士、日本眼科学会認定専門医
横浜市中区生まれ。2001年信州大学医学部卒業後、大学病院勤務や留学を経て、2016年に横須賀市の追浜駅前眼科の院長に就任し、日帰り白内障手術、眼瞼下垂手術など数多くの症例を執刀。院長として地域医療に密接に携わるクリニックの業務に生きがいを感じ、生まれ育った地元に貢献したいと強く思うようになり、2020年に元町マリン眼科開院。
どんな小さな悩みでも、気軽に相談できるような親しみやすいクリニックを目指し、病気に対する不安や困難を抱える患者様に寄り添う治療を心がけている。
https://www.marine-eye.net/
「コンタクトレンズを装用中に不快感があるのなら、まず眼科に目のチェックに行くことが大切です。ビジネスパーソンは毎日忙しいと思いますが、定期的に眼科にかかっていれば、病気が見つかりやすいため、なるべく受診することを考えましょう」
眼科受診を踏まえた上で、自分でできる対処法について、不快な症状である「乾燥」「異物感・ゴロゴロ・チクチク」「目の疲れ」「かすむ・ぼやける」それぞれについて教えてもらった。
●目の乾燥
「乾燥については、点眼して涙液を補充したり、温めて涙液の状態を改善するのがおすすめです。温めるとまぶたのふちにある『マイボーム腺』から目の油が分泌され、目を保護し、涙液中の油分の量が増えるといわれています。温めるには蒸しタオルを当てたり、市販の蒸気アイマスクを利用したりする方法があります。コンタクトレンズをしたまま、目を閉じて温めても問題ありません。また、コンタクトレンズを長時間つけないことも大切です。連続装用は10時間ほどを目安にしましょう」
●異物感・ゴロゴロ・チクチク
「異物感があるときに、痛かったらコンタクトレンズを外す、もしくはレンズを洗ってみてください。目薬をするのもいいです。それでも改善しなければ、病気が隠れている可能性もありますので、眼科を受診しましょう」
●目の疲れ
「疲れた場合は、疲れ目に効果のある目薬をする、コンタクトレンズを外す、目を休めるといった方法が考えられます」
●かすむ・ぼやける
「かすんだり、ぼやけたりして見えにくくなる原因はさまざまです。乾燥しているなら目薬、レンズが曇っているならレンズを洗う、ピントが合わない場合は度数を見直すなどが考えられます。もし、見にくい状態が長く続くようなら眼科へ相談しましょう」
その他、コンタクトレンズをつけている際に次のような症状が出たら、眼科に行くべき目安だという。
「充血している場合、目やにが出る場合、痛い場合などは、病気の恐れもありますので受診をおすすめします。アレルギー性結膜炎やコンタクトユーザーに多い角膜潰瘍などが起きている可能性もあります」
コンタクトレンズ装用時に不快を感じたら、まずは眼科受診を考え、軽度であれば目薬や温め、外すなどの対処を行おう。
市販のコンタクトレンズとレンズケア用品でコンタクト装用不快感を対策
コンタクトレンズ装用時の不快感を緩和するためには、市販の不快感緩和にアプローチしたコンタクトレンズやレンズケア用品を使用する方法もある。
●1日使い捨てコンタクトレンズ「プレシジョン ワン」
先のアンケート調査結果では「コンタクト装用の不快感は、銘柄の変更では解消できない」という認識を持っているユーザーが多いことがわかった。しかし技術革新により、こうした「コンタクト装用時の不快感」を低減できる製品も発売されている。その一つが、アルコンの1日使い捨てコンタクトレンズ「プレシジョン ワン」だ。
保水性の高い成分を含む「親水性ポリマー」でレンズ表面を覆うことで、レンズ表面の含水率を80%以上まで高めることに成功。
また、コンタクト装用時に発生する乾燥感や異物感などの不快感の原因の一つとなっていると考えられているものに「シェアストレス(Shear Stress)」がある。これはまばたきをすることによって眼の表面にかかる摩擦と圧力が合わさった力のことだ。同製品は、レンズ表面の高い柔軟性と潤滑性により、シェアストレスをほぼ裸眼と同等のレベルまで低減することで、コンタクト装用時の不快感を軽減する。
●コンタクトレンズケア用品「クリアデュー プロケアソリューション」
レンズの消毒・洗浄・すすぎ・保存が一本でできるオフテクスの「クリアデュー プロケアソリューション」はコンタクト装用時のゴロゴロ感、乾燥感をなんとかしたいという悩みにアプローチするソフトレンズ用ケア用品だ。
特徴は、うるおい成分として「機能性ヒアルロン酸」を配合(※粘稠化剤として)しているところ。「機能性ヒアルロン酸」とは保湿効果のあるヒアルロン酸の一部を改良し、レンズ表面に同成分が長く留まることでコンタクトレンズ装用時の乾燥感を軽減できるクリアデュー独自の成分。使用するたびにレンズに機能性ヒアルロン酸が蓄積し、レンズの保湿効果が高まる実証もされている。
また消毒成分を2種類配合しており、一本でできるケアの簡単さと高い消毒力の両立を実現した。
テレワーク中などに生じるコンタクトレンズの不快感は、仕事のパフォーマンスに影響してしまうものだ。眼科医からのアドバイスと共に、これらの市販品であらかじめしっかり対策をとることで、パフォーマンス維持・向上に務めよう。
【調査出典】
日本アルコン「コンタクトレンズの装用に関する実態調査」
取材・文/石原亜香利