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お店の予約を連絡なしでキャンセルしたら損害賠償責任が発生する?覚えておきたい予約客に課される法的責任

2022.04.28

飲食店や美容室などにとって、予約客に連絡なしでキャンセルされてしまうと、売上に大きな悪影響が生じてしまいます。

法的には、無連絡キャンセルには損害賠償責任が発生します。倫理的な観点に加えて、法的な観点からも、連絡せずに店舗の予約をキャンセルすることは避けるべきでしょう。

今回は、店舗の予約を連絡なしでキャンセルした場合に、客が店舗に対して負うべき法的責任をまとめました。

1. 無連絡キャンセルは「債務不履行」に当たる

利用予約をしたにもかかわらず、店舗に対して何の連絡もなく来店しない行為は、契約上の「債務不履行」に当たる可能性が高いです。

「来店しなければ契約などないはず」と思われるかもしれませんが、店舗の利用に関する契約は、多くの場合予約の時点で成立していると考えられます。

契約の成立要件である「申込み(店舗を利用したいです)」と「承諾(ぜひご来店ください)」の合致がありますし、店舗は客の来店に備えて準備を行う必要があるからです。

店舗の利用契約に基づき、客は来店したうえで、飲食などの購買活動を行う義務を負います(義務の具体的な内容は、契約によって異なります)。

店舗と客の合意によって契約を解約することはできますが、何の連絡もせずに来店しなかった場合には、店舗の利用契約は存続します。この場合、客が来店せずに購買活動を行わない行為は、契約違反を意味する「債務不履行」に当たる可能性が高いと考えられます。

2. 連絡したうえでの直前キャンセルは問題ない?

店舗に連絡さえすれば、ペナルティなしでいつでもキャンセルできるというわけではありません。

例えば、飲食店のコース料理の予約があり、店舗側では提供の準備が完了しているのに、予約時間の5分前に客がキャンセルの連絡をするようなケースを考えるとわかりやすいでしょう。この場合、店舗は損害を被る一方で、客が全く責任を負わないとするのはあまりにも不合理です。

たとえ店舗に連絡したとしても、予約時間の直前でキャンセルする行為は、無連絡キャンセルと同様に「債務不履行」に該当する可能性があります。

キャンセル連絡をどの程度前もって行うべきかについては、店舗の利用契約に定めがあればそれに従い、定めがなければ社会通念によって判断されることになるでしょう。

3. 無連絡・直前キャンセルの損害賠償額の決まり方

無連絡または直前で客が店舗の利用をキャンセルした場合、店舗は客に対して、債務不履行に基づく損害賠償を請求できます。損害賠償額の決定に関する考え方は、以下のとおりです。

3-1. 違約金の合意があればそれに従う

店舗の利用を申し込む際に、店舗側がキャンセルに関する違約金(キャンセル料)を提示する場合があります。

(例)
2日前:代金の20%
前日:代金の50%
当日:代金の100%

一般的に、客が利用申込みを行った時点で、店舗側の違約金に関する提示を承諾したものとみなされ、違約金について店舗と客の間の合意が成立します。

「契約自由の原則」により、損害賠償の精算方法は、当事者が合意によって自由に定めることが可能です。したがって、店舗と客の間で違約金に関する合意がある場合には、その内容に従って客の損害賠償責任が発生します。

3-2. 違約金の合意がない場合、逸失利益が損害賠償の対象

店舗側が特に違約金の提示を行わなかった場合、違約金に関する合意は存在しません。この場合、民法の原則に従って客の損害賠償責任が発生します。

民法上、債務不履行に基づく損害賠償の対象には、無駄になってしまった店舗側の支出(積極損害)だけでなく、客から受け取るはずだった代金(逸失利益、消極損害)も含まれると解されています。

店舗の利用キャンセルに関する債務不履行の場合、客が来店したら支払ったであろうと見込まれる代金相当額を、店舗は客に対して請求できると考えられます。

メニューを決めたうえで予約した場合には、原則として、そのメニューの代金相当額が損害賠償の対象です。これに対して、飲食店の席のみの予約など、メニューを決めずに予約した場合には、標準的・平均的な利用額の損害賠償責任が認められることになるでしょう。

4. 無連絡キャンセルは「偽計業務妨害罪」にも当たり得る

当初から来店する気がないにもかかわらず、予約をしたうえで無連絡キャンセルをした場合、店舗側の業務を妨害する目的が認められ、「偽計業務妨害罪」が成立する可能性があります(刑法233条)。

偽計業務妨害罪の法定刑は、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

5. まとめ

店舗の利用予約は単なる「約束」ではなく、法律上の「契約」です。

軽い気持ちで無連絡キャンセルまたは直前キャンセルをすると、思わぬ形で法的な責任を負う可能性があります。予約の際には来店日時のスケジュールを確保するとともに、万が一都合が悪くなった場合には、速やかに店舗へ連絡しましょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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