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村上春樹が日本語訳を担当した絵本「おおきな木」のイラストが切手になった!

2022.04.27

絵本『おおきな木』のイラストがアメリカの切手に

鮮やかな緑色の表紙に描かれた大きな木の幹と、木から落ちてくるりんごに手を伸ばす、小さな男の子のイラストが印象的な『おおきな木』。子どもの頃に読んだ人も多いのではないだろうか。『おおきな木』はアメリカの作家Shel Silversteinが1964年に出版した絵本で、日本語訳を村上春樹さんが担当したことでも知られる。

『おおきな木』のイラストがアメリカの郵便局で、切手(フォーエバースタンプ)のデザインとして発売された。

アメリカの切手に採用された『おおきな木』

引用/cision The Giving Tree’ on a Forever Stamp

4月8日、アメリカの郵便局が『おおきな木』の表紙に描かれた、男の子と赤いりんごが印刷された切手を発売した。『おおきな木』は1930年生まれの作家Shel Silversteinの代表作で、アメリカでは1964年、日本では1976年に発売された。

『おおきな木』の切手は、Shel Silversteinが子どもの頃に通ったダーウィン小学校に捧げられたもので、発売日にはシカゴにあるダーウィン小学校で記念のセレモニーが開催された。約100人が集まったセレモニーでは、切手のデザインがお披露目されたほか、子どもたちによるShel Silversteinの詩の朗読が行われたとか。

『おおきな木』のほかに2022年に切手に採用されたのは、アフリカ系の彫刻家でスミソニアン美術館やメトロポリタン美術館に作品が展示されているEdmonia Lewisや、風景画家で彫刻家でもあるGeorge Morrison、元アメリカ大統領のGeorge Bushなど。

小学生のShel Silversteinはまじめなタイプではなく、むしろいたずらっ子であったという。また残された数々の作品から、児童文学作家の象徴として捉えられることの多いShel Silversteinはしかし、雑誌プレイボーイに寄稿したり、R指定されそうなロックバンド向けの歌詞を作るなど、もともとは子ども向けの作品を志向していたわけではないようだ。

Shel Silverstein著『おおきな木』について

Shel Silversteinは多才で、20世紀で最も創造的な作家として知られる。アメリカ郵便局の発表によると、Shel Silversteinの作品は47か国語以上に翻訳され、全世界でトータル2千万冊以上を売り上げており、現在でも世界中の人に親しまれているという。

『おおきな木』の出版は今から50年以上前の1964年。ひとりの小さな男の子と、すべてを与え続けたりんごの木の物語である。無償の愛を教えると言われるこの絵本は、ごくシンプルなモノクロのイラストとともに語られる。

日本で初めて出版したのは篠崎書林で、訳は本田錦一郎さんが担当した。これが絶版になったあと、2010年にはあすなろ書房から村上春樹さんの訳で発売されて話題になった。

本田訳と村上訳には少年の呼び方をはじめ、物語にくり返し出てくる「happy」の訳し方、りんごの木の気持ちに対する解釈の違いが表れており、さまざまな議論を呼んだ。

『おおきな木』は1990年代、中学3年生の英語の教科書 『New Horizon』 に使われていたことでも知られる。

Shel Silversteinのその他の作品

Shel Silversteinが残した子ども向けの作品には、『ぼくを探しに』『続ぼくを探しに  ビッグ・オーとの出会い』『めっけもののサイ』などがある。

『ぼくを探しに』シリーズも『おおきな木』と同じくシンプルなモノクロの線画で描かれている。絵本でありながら、実際には大人が読んでこそ、考えさせられるメッセージ性を持つ点もまた共通していると言えるだろう。

作家、イラストレーターとしてだけでなく、ミュージシャンや劇作家、詩人としても活躍したShel Silversteinは、1969年に「A Boy Named Sue」でグラミー賞を受賞。これはシンガーソングライターとしてのShel Silversteinに、ベスト・カントリーソング賞が贈られたものだ。

さらに1984年のグラミー賞では、子ども向けの最優秀レコーディング賞を受賞している。受賞作品は、『歩道の終るところ(Where the Sidewalk Ends)』である。『歩道の終るところ(Where the Sidewalk Ends)』はまたニューヨーク・タイムズが1974年、「今年最も優れた作品」に選出した。

また受賞は逃したものの、1986年には「A Light In The Attic (Album)」でグラミー賞にノミネートされた。

フォーエバースタンプとは

『おおきな木』が採用されたフォーエバースタンプは、郵便料金が変更されても追加の切手が必要なく、ほぼ無期限で使える国内便の切手のこと。日本の普通郵便に該当する。

アメリカでは2013年に46セントだった普通郵便の価格が2014年には49セントに変更され、2022年4月現在は58セントに上昇している。

フォーエバースタンプが初めて発行されたのは2007年である。初めてのフォーエバースタンプに採用されたのは、ペンシルベニア州フィラデルフィアにある自由の鐘。自由の鐘は1776年、アメリカが独立する際に鳴らされたもので、アメリカの自由の象徴とされている。

参考:

‘The Giving Tree’ on a Forever Stamp | Cision

‘The Giving Tree’ on a Forever Stamp | USPS

POSTAGE STAMPS | facts.usps.com

There’s a new stamp honoring Chicago-born children’s lit king Shel Silverstein | WBEZ CHICAGO

 Shel Silverstein | GRAMMY AWARDS

 

文/森野みどり

編集/inox.

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