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Galaxyから登場した注目のSIMフリーモデル「M23 5G」、その実力は?

2022.04.23

■連載/石野純也のガチレビュー

 スマホ黎明期からGalaxyシリーズを日本に投入し続けてきたサムスン電子だが、いずれもキャリアを通した端末として販売されていた。サムスン自身が展開するメーカーモデルはなく、GalaxyがMVNOなどを使うユーザーの選択肢から外れてしまっていたのも事実だ。そんな中、同社が満を持して日本市場に投入するメーカーモデルが、「Galaxy M23 5G」だ。

 これまで同社は、フラッグシップモデルの「Galaxy S」やフォルダブルモデルの「Galaxy Z」に加え、ミドルレンジのシリーズとなる「Galaxy A」を主に日本で展開してきた。Galaxy Mは、スペック的にはAシリーズに近いが、販路をオンラインに特化しているのが特徴だ。コストパフォーマンスの高さを売りにしたのが、Galaxy Mと言えるだろう。

 Galaxy M23 5Gも、約4万円とメーカーモデルの売れ筋と比べるとやや高めだが、チップセットにSnapdragon 750Gを採用するなど、性能のよさを全面的に訴求している。一方で、同機はサムスン初のメーカーモデルで、Galaxy Mシリーズ自体も日本初となるだけに、評価は定まっていない印象も受ける。そんなGalaxy M23 5Gを発売に先立ち、試用することができた。そのレビューをお届けしよう。

サムスン電子が初のメーカー版として発売するGalaxy M23 5G

 Galaxy M23 5Gの見た目は、どちらかと言うとGalaxy Aシリーズに近い。ディスプレイの上部に食い込むように配置された水滴型のインカメラや、背面と一体になっているカメラユニットが、その印象を強めている。本体の素材感は、フラッグシップモデルのGalaxy SやZほどの高級感はないが、きれいにまとめられている。側面のフレームは丸みを帯びているため、手に取ったときの当たりは柔らかい。

ディスプレイ上部にはベゼルが食い込む形で、インカメラが配置されている

フレームが丸みを帯びているため、手になじみやすい

 ディスプレイのサイズは6.6インチ。同時に発表されたフラッグシップモデルの「Galaxy S22」が6.1インチと比較的コンパクトで、手になじみやすいだけに、6.6インチは少々大きいようにも思えた。ディスプレイが液晶のため、ベゼルが有機ELを採用したGalaxyと比べると太いのも、サイズが大きいと感じた理由かもしれない。逆に、映像の迫力があり、写真や動画を見るにはいいデバイスだ。

液晶を採用していることもあって、ベゼルはやや厚めだ

 液晶を採用しているため、有機ELを搭載したフラッグシップモデルのGalaxyと比べてしまうと、コントラスト比は低く、黒の締まりが弱いが、品質が高いこともあってか、映像のクオリティは悪くない。色の出し方も有機ELを搭載したGalaxyに近く、ミドルレンジモデルとしては満足いく表示性能と言えそうだ。

黒の色が若干明るめに出ている印象だが、映像の見え方は有機ELモデルに近づくようチューニングされている

 液晶では珍しく、リフレッシュレートが120Hzに対応しているのもGalaxy M23 5Gの特徴。スクロール等の動きが滑らかで、スムーズな操作感を実現している。ただし、ホーム画面から「Google Discover」を呼び出すときなど、少し引っ掛かりを感じたところもあった。これは、リフレッシュレートというより、CPU、GPU、メモリなどでの処理や、ソフトウェアのチューニングが影響している可能性がある。

リフレッシュレートを120Hzに上げることが可能。有機ELモデルでは一般的になりつつあるが、液晶で120Hz対応は珍しい

 一方で、Snapdragon 750Gを採用しているため、処理能力自体は高く、「Geekbench 5」で取ったスコアを見ても、ミドルレンジモデルの中で上位に入る性能であることが分かる。アプリなどの起動も速く、スマホとして普通に使っているぶんには、十分満足できる端末と言えそうだ。個人的にはバイブレーションの振動がフラッグシップモデルと比べて粗めで、繊細な制御ができていないところが気になった。文字入力などに使うと反応が大きすぎて打ちやすさが損なわれる。こうした点は、価格なりのトレードオフと言えるだろう。

Geekbench 5で計測したスコア。ミドルレンジモデルの上位に入る性能だ

写真の仕上がりはGalaxy風、トリプルカメラで遊べる機能も搭載

 背面には、トリプルカメラを搭載する。メインカメラには5000万画素のセンサーを採用しており、ほか2つ、超広角カメラとマクロカメラになる。焦点距離の長い望遠カメラには非対応。そのため、被写体に寄った撮影をしようとすると、デジタルズームになってしまう。超広角カメラは800万画素、マクロカメラは200万画素と、画素数が抑えめになっている点にも注意したい。

背面には、3つのカメラを搭載する。メインカメラの画素数は5000万画素

 5000万画素のメインカメラは、5000万画素をそのまま使うのではなく、複数のピクセルを束ねて感度を上げているようだ。標準設定で撮影した写真は、4080×3060ドットで記録される。これは1200万画素に相当する。絵作りは、サムスン電子のこれまでのスマホに近く、発色をよくしており、彩度が高め。明かりの少ない室内で撮っても、比較的キレイな写真に仕上がる。

メインカメラで撮った写真。解像度は1200万画素相当になっている。絵作りの傾向は、フラッグシップモデルのGalaxyに近い印象だ

 複数枚の写真を合成して感度を上げる「ナイトモード」にも対応する。撮影時にHDRが効くため、明るい場所が白飛びしてしまったり、暗い場所がつぶれすぎてしまったりすることがなく、夜景を美しく撮影できる。こうした機能は、フラッグシップモデル譲り。約4万円の端末が搭載するカメラとしては、満足度は高めだ。また、5000万画素をそのまま使い、解像度の高い写真を撮ることもできる。

ナイトモードで撮った写真。看板などの明るいところや街灯が飛ばず、夜空もしっかり黒く写っている

 マクロカメラはあくまでオマケ程度と捉えておいた方がいいかもしれない。確かに被写体に寄って撮ることで、料理のディテールを拡大したり、細かな文字を写したりといったことはできるが、いかんせん画素数が小さいため、解像感が低い。レンズのF値も2.4とあまり明るくないのが難点だ。

マクロカメラで撮った写真。確かに被写体に寄りやすいが、解像感が高くないのが難点だ

 動画と複数枚の写真を自動的に生成する「シングルテイク」にも対応する。ソフトウェアで対応できるところは、積極的に取り入れている印象だ。逆に、フラッグシップモデルのGalaxyにない機能として注目したいのが、「ファン」モード。アプリメーカーのSnapchatが提供したフィルターが利用でき、エフェクトをかけた写真を撮影することが可能になる。性能面ではフラッグシップモデルより劣るものの、そのぶんを遊び心でカバーしていると言えそうだ。

Snapchatが提供するフィルターをかけられるファンモード

デュアルSIMの切り替えが簡単、対応周波数などには課題も

 日本で初のメーカーモデルとして発売されるGalaxy M23 5Gだが、同時に、デュアルSIMにも初めて対応した。対応バンドを見ると、各社の主要周波数帯やプラチナバンドはカバーしており、ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社で問題なく使えそうだ。ただし、5Gの対応バンドが少なく、n77とn78の2つしか利用できない。そのため、auやソフトバンクの4Gから周波数を転用した5Gにはほぼ非対応。これらに対応したキャリアモデルを使うのと比べると、5Gエリアが狭くなってしまう。

5Gに対応しており、n77とn78を利用できる。ただし、ドコモが採用するn79や、KDDI、ソフトバンクがエリアを拡大する際に活用している4Gを転用した周波数帯には非対応だ

 デュアルSIMの仕様としておもしろいのは、クイックパネルの上部に、どちらのSIMカードを使うかが表示されるところだ。通話、SMS、データ通信のそれぞれをすぐに切り替えることができるのが便利。通常の端末だと、設定アプリの中からSIMカードの項目を呼び出し、切り替えを行っていく必要があるが、Galaxy M23 5Gならクイックパネルを開くだけでよく、手軽だ。こうした点は、デュアルSIMの利用シーンをよく考えた仕様で、評価できる。

クイックパネルの上部から、どちらのSIMカードを使うかを簡単に切り替えることができる

 ただし、APNの設定には、もう少し工夫が必要だと感じた。国内で販売されているメーカー版の端末は、多くがMVNOのAPNをプリセットしており、SIMカードを挿すと自動的にそれが表示される。ドコモやドコモのMVNOのSIMカードなら、ドコモ回線を使う主要なMVNOのAPN一覧が表示されるといった形で、ユーザーはその中から自分が契約している会社を選ぶだけでいい。

OCNモバイルONEのSIMカードを挿したが、APN設定はドコモのものしか表示されず、手動での入力が必要になった

 これに対し、Galaxy M23 5GにOCNモバイルONEのSIMカードを挿してみたところ、ドコモのAPNしか表示されなかった。メーカー版の端末は、SIMカードを自由に組み合わせやすいのが魅力。必然的に、MVNOを利用するユーザーも多くなる。メーカー版の端末を販売するのが初めてなだけに、このあたりのノウハウがまだ不足しているような印象を受けた。

 基本性能は高く、約4万円と手に届きやすい価格のGalaxy M23 5Gだが、おサイフケータイや防水といった日本のユーザーが好む仕様に非対応な点も気になった。日本メーカーや中国メーカーの端末は、メーカー版でもこれらの仕様を満たしていることが増えているだけに、早くから日本市場に取り組んできたサムスンにはどうしても対応を期待してしまう。メーカーモデルの第一弾として投入されたGalaxy M23 5Gだが、その反響はぜひ次回以降の端末にも取り入れてほしい。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★
持ちやすさ     ★★★
ディスプレイ性能  ★★★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★★
音楽性能      ★★★
連携&ネットワーク ★★★
生体認証      ★★★★
決済機能      
バッテリーもち   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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