調味料までスモークできるようになった！使ってわかったパナソニック「けむらん亭」最新モデルの〇と✕

家で手軽に燻製が食べられる、パナソニック「けむらん亭」。6年ぶりに新モデル「NF-RT1100」が登場しました。同モデルは煙が出ず、ほぼ匂わないことで人気のグリルですが、新モデルはどこが変わったのでしょうか。プロ家電レビュアーの石井さんに早速試していただきました！

「弱め」「強め」が選べるようになった

燻製はニオイが出るので、代表的なアウトドア系料理というイメージではないでしょうか。家の中で手軽にできる「けむらん亭」は、その名の通り「煙らない」スモーク＆ロースター。

14層の触媒フィルターと強制排気ファンでにおいを軽減、煙も約90％カットします。

パナソニック「けむらん亭」に6年ぶりの新モデルが登場

前モデルNF-RT1000と変わったところは、 燻製メニューが「弱め」と「強め」の2段階から選べるようになったこと。弱めの温度設定を設けたことで、従来は難しかった「塩」「粒こしょう」「みそ」「ごま」などの調味料の燻製もできます。燻製した調味料を料理に加えることで、燻製できる食材の種類が増えました。

燻製メニューは「弱め」と「強め」の2段階から選べるようになりました

スモークした塩と味噌で、生野菜が最高のつまみに

作り方は、燻製チップを「くんせい容器」の楕円のラインまでまんべんなく広げ、網の上に食材を置きます。アルミ箔を「くんせい容器」の上からかぶせてふたをして、「くんせい容器」のフチに沿ってしっかり巻き込みます。あとはコースを選んでスタートするだけ。

付属の「くんせい容器」と網。こちらを使ってスモークします

まんべんなく熱が当たるようなヒーターの形状になっています

塩と味噌をスモークしてみました。用意した燻製チップはさくらとウイスキーオーク。さくらは肉、魚などどんな食材にもよく合うチップです。ウイスキーオークは洋酒の芳醇な香りが特徴です。

今回用意した燻製チップはこの2種類。さくらチップとウイスキーオークです

今回、新たにスモークできるようになった「調味料」にも挑戦しました。8号（底面が直径約5cm）サイズのアルミカップに、塩やこしょう、ごまは5ｇ、味噌は30g入れて「弱め」で17分ほどスモークしました。今回は塩と味噌です。

チップを「くんせい容器」に12g入れます

食材を網に乗せ、アルミ箔をまいた「くんせい容器」を本体に入れます

「弱め」で17分ほどスモークしました

調理中、全く煙が出ていません。ニオイも「無臭」ではないのですが、ごくわずかです。これなら部屋でスモークしても安心です。

スモークが完了したら、くんせい容器を取り出してアルミ箔をはがします。このときに中に充満していた香りが外にふわっと広がります。煙が出てくることはありませんでした。

塩と味噌は少し色がついていました。味噌は表面に少しだけ焦げ目がついていました。花を近づけて嗅いでみると、ほんのりとスモークの香りがします。

塩は少し黄色っぽくなり、味噌は表面に焦げ目があります。いい香り！

個人的に「野菜のつまみ」が大好きなので、切ったたくあんを「強め」で20分ほどスモークしました。

「たくあん」もスモークしました

ほんのりといぶさされた塩と味噌をつけながら食べるきゅうりと大根は最高です。たくあんもスモークすると味に深みが出てきます。たくあんがちょっとした贅沢なつまみになるのは嬉しいですね。

ヘルシーなつまみです。塩も味噌も香りがよく、いくらでも食べられそう

定番のチーズや卵、かまぼこは手軽にできる

調理物に応じてくんせい網にアルミ箔を巻きます。水分や油が落ちやすい肉類やうずらの卵などは、アルミ箔をくんせい網の下側にあてて巻き付けます。編み目から落ちやすいチーズやナッツは逆にします。

スーパーでよく売っているチーズです

6パック入りのよくあるプロレセチーズをスモークしました。ほんのりスモークするなら「弱」、しっかりスモークするなら「強」で15～17分でセットします。今回は「強」で行いました。

チップはウイスキーオークを選び、しっかりアルミ箔でフタをしてからスタートします。

できあがった燻製はチーズが飴色に変わっています。チーズはやわらかくなっているので、アルミ箔ごと外して少し冷やしておくことにしました。

こんなに飴色になっていました。加熱してやわらかくなっていたので、冷ましておきます

醤油漬けにした卵やかまぼこもスモークしてみました。卵は「強め」で17分、かまぼこは「弱め」で15分ほどスモークしています。

卵はアルミ箔をくんせい網の下側にあてて巻き付けました

卵は文句なしの美味しさでした

かまぼこと笹かま。ちょっとぎゅうぎゅうにしすぎました。そのせいか、香りが薄かったかも……

どれもしっかり香りがついていて美味しいですね。大人も嬉しいのですが、子どもにも大好評でした。

使った後はアルミ箔を捨てればOK。ほとんどお手入れがいりません

ささみは生のままから調理できる

ささみは塩麹に漬け込み、10分ほどしてからキッチンペーパーで表面の水けを拭き取ってから弱めで20分スモークしました。いったん火を通す手間がなく、そのまま生で調理をスタートできるのでとてもラクです。

ふっくらとしたささみは中心まで火が通っており、スモークの味も楽しむことができました。なお、ささみだけではなく全般的に言えることですが、上手にスモークするコツは「しっかり水分をふきとっておくこと」です。表面が濡れた状態では、スモークがつきにくくなるようです。

生のままのささみ。塩麹に漬けておきました

あまり色はついていませんでしたが、香りはついています

幸せすぎるつまみが完成

魚を焼いても煙が出ない！グリルとしても優秀

けむらん亭は、グリルとしても使うことができます。一般的なグリルでは煙やニオイを出さずに調理可能です。

オートメニューは「生・姿焼き」「切身」「干物」「つけ焼き」「とり肉」「焼きいも」の6種類。メニューに応じて弱・中・強の3段階から焼き加減を調整できます。

「切身」専用メニューで鮭の切身を焼いてみました。調理中は煙もなく、ニオイもごく僅か。

ふっくらと焼けたのでこのまま食べたくなりましたが、スモークすることにしました。

網に乗せたまま冷まし、その後に15分ほどスモークしました。色が少し変わっています。

スモークした鮭はおかずとして楽しめました

これは子どもにもおかずとして出したのですが、大好評。いつもと違う鮭の切り身に大喜びでした。

【家電のプロ目線ジャッジ！】　
〇：ロースターとしても使えて、お手入れもラク！　　
△：一度にスモークできる量は少なめ

今回は王道の燻製といった感じでしたが、色々試すのも楽しそうです

本体サイズは幅45×奥行35.5×高さ18.5cmで、コンパクトなグリルと比較すると大きめです。横に触媒フィルターが入っているので仕方ないのですが、設置スペースは広めにとる必要があります。

また、燻製を作るときは容器に入れてスモークするので、一度にスモークできる量は、本体サイズと比較すると少ない印象です。一人分のつまみをサッと作るのには便利ですが、大人数には向きません。我が家は燻製が大好きなので、家族4人では足りず、取り合いとなりました。一度にスモークできる量がもう少し増えほしいところです。

とはいえ、手軽に室内でスモークできる家電はまだ少ないので、燻製好きの方にはぜひ試していただきたい製品です。ロースターとしても活用できるので、ふだんは魚や肉、食パンなどを調理し、気が向いたときにサッとスモークする、といった使い方がおすすめです。お手入れもとてもラク。何より部屋中に何日も燻製臭が残ることがなく、気軽にできるのは魅力です。

新モデルは「弱め」モードが追加されたことにより、燻製の状態を好みで変えられるようになりました。調味料などもスモークできるようになり、燻製の幅が広がったといえます。燻製チップを変え、火加減を変えることで、同じ食材でも印象がガラッと変わるので色々な食材に挑戦したくなりました。ほぼ毎晩晩酌をする我が家にとって、とても魅力的な製品でした。

取材・文／石井和美
白物家電や日用品のお役立ちグッズなどを中心に製品レビューを得意とする家電プロレビュアー。テストスペースとして守谷市に一戸建ての「家電ラボ」開設し、冷蔵庫や洗濯機など大型家電のレビューも行なっている。