マイブームはトレールバイク
先月、3年ぶりに「東京モーターサイクルショー」が開催された。出展者数153、3日間で12万3439人が訪れた二輪の祭典である。私が気になるのは各社のトレールバイク、平たく言えばオフ車、お洒落に言えばデュアルパーパス、またはビッグアドベンチャーである。先日、HONDA「XR250」(2003年モデル)を手放してしまい、オンもいいけどオフ車も欲しい今日この頃だったので、このチャンスに足つき性をチェックしてきた。展示車両にまたがった感想を書いたが、安全のためフロントサスペンションが固定された車両がほとんどで、体重でサスが沈まないため実際の車高より、幾分か高めと思っていただきたい。
トレールバイクで林道を走ったとき、足つきが良く両足がペッタリ付けば、悪路をトコトコ走って不安定なら足を出せば転倒のリスクを抑えられる。上級者になれば激しい凹凸で速度を上げたまま走破するため高性能なサスペンションが欲しい。サスペンションを硬めにしてストロークを増やせば当然、車高は高くなるのだ。つまりそのモデルがよりハードな走りを追求すればするほど車高は高くなる。
私が欲しいのはYAMAHA「SEROW250 FINAL EDITION」で、シート高830mmと低いのが特徴。車両重量は133kgと軽量だ。二輪二足でトコトコ走るというコンセプトから生まれた日本発のトレールモデルの傑作だ。残念な事に生産終了なのだが、人気車種で新車価格より高価な中古車も販売されている。実際にまたがったことがあるが、身長167cmの私でもオフロードブーツを履けば両足はべったり着く。セローと競合しているのがHONDA「CRF250L」だ。
二輪用ドライブレコーダーを作っているMITSUBAに展示されていた「SEROW250 FINAL EDITION」ドライブレコーダー「EDR-22G」は防水防塵性能IP66/67で、空きスペースの少ないオフ車にも取り付け可能というデモ車両として登場
扉写真のCRF250Lはダートフリークのデモ車両「CRF250L DUAL X」である。カスタムデカールだけでもかなり印象が変わることが分かる。もちろん、サイレンサー、フェンダーエリミネーターキット、ワンオフのシートなどこだわりのカスタマイズ済み
HONDA
XR250の元オーナーとしてはCRF250Lが気になる。しかし、HONDAブースには他に展示する車両が目白押しだったのだろうか、CRF250Lの展示はなく、またがることは出来なかった。ちなみにシート高830mm、車重140kgでパワーは24PSである。250Lはシート高が低めの設定で、250L〈 S 〉モデルがシート高880mmでオフロードでの走破性を高めている。スペック通りなら両足のかかとまで接地するはずだ。価格は59万9500円とハイコスパで衝動買いしてしまいそうだ。
ROUGH&ROADに展示されていたカスタム仕様のCRF250L、定番車両なのでカスタムパーツも各社から発売されている
HONDAで展示されていたのは競技車両のCRF、これを見ると市販車のソックリぶりが分かる
新型のハンターカブCT125は意外と足つきが悪く両足はつま先立ち。実際はサスが沈むのでもう少し足つきはいいと思う
「400X」はシート高800mmと低くいのだが、シートの幅が広く片足ならベッタリ、両足だとカカト以外は接地して安心感がある。アフリカツイン「CRF1100L Africa Twin」はシート高830mmでローポジションにすると810mmまで下げられるが、両足だとつま先が接地、片足はカカトが浮く感じだった。最近のビッグアドベンチャーは足着き性重視になったことを実感した
参考:https://www.honda.co.jp/motor/?from=navi_header
YAMAHA
ヤマハと言えばテレネ、HONDAと言えばアフリカツインである。アフリカツインが大排気量化したのに対して、5月20日発売予定の新型テレネ700は700ccのエンジンを選択して、205kgと軽量化を果たした。シート高は875mmと高めなのだが、日本限定発売予定の「Ténéré700 ABS Low」ならシート高837mmになる。残念ながらまたがれる車両がなかったので、体感できなかったがスペック上はかなり足つきがいいはずだ。セローは生産終了で展示なし、ヤマハはトレール車に関してはテレネのみとかなり寂しい状況だった。
2022年カラーのブルー。ビッグロゴとハーフマットブラックを組み合わせた。「Ténéré700 ABS Low」は車両128万7000円+車高を下げるパーツ3万9800円で合計131万9800円のパッケージ
4眼のLEDヘッドライトが昆虫の複眼のように見えるユニークなデザイン
「MT-07」用の水冷並列2気筒エンジンをベースに使い73ps/9000rpmのパワーを引き出す
パリダールを思わせる縦長のモノクロ液晶メーターを採用。スマホなどを取り付けるためのステー、12VのDCジャック、スモールスクリーンが標準装備
参考:https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/
SUZUKI
スズキはスポーツアドベンチャーツアラーの名を冠した「V-Strom」シリーズを有する。250、650、1050ccのVストロームがある。かなりオンロード寄りで、このマシンでホントに林道を走っているライダーがいるのかと思うが、Vストローム1050XTなら、それなりに走れるらしい。シート高はおしなべて低めで、ハイパワーなエンジンを搭載している。車重は250で189kg、650で215kg、1050で247kgとなる。
シート高850mmとやや高めだが、この車両にはまたがれなかったので足付きは不明。価格は151万8000円となかなかのハイコスパモデル
シート高835mmと低めだが、両足のつま先が届くのみと意外に足付きはよくない。XTはスポークホイール仕様で、価格は100万1000円と大台に乗ってしまう
アナログ式タコメーターと液晶のハイブリッド型と珍しいタイプ、かなり細かい情報が表示される
シート高800mmで両足はベッタリ着く、足付きは抜群だが250ccで61万3800円と同社の125~250ccモデル中で最も高価である
参考:https://www1.suzuki.co.jp/motor/lineup/category/?pageid=178
KAWASAKI
カワサキは公道走行のできないレーサーなら豊富なラインナップを誇るが、公道を走れるのは「KLX230 S」のみでメーカー出荷終了モデルとなる。重量は136kg、シート高830mm、パワーは19PSで、タイヤも含めて、ほぼオフロードバイクと言える。価格は50万6000円。アドベンチャーモデルの「VERSYS-X 250 TOURER」は見逃してしまい、またげなかった。シート高は815mmと低い。車重は183kgと250ccにしては重めだが、水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンが33PS/11500rpmのパワーを発生させる。
デザインは同社のモトクロッサーに近く、オフロードの走破性は高そうだ。シートはスリムだが両足のカカトは着かない。片足なら問題ない
大型液晶パネルを採用したシンプルなメーター回り、デュアルパーパスABSを装備する
参考:https://www.kawasaki-motors.com/mc/
文/ゴン川野