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性被害の訴えに時効はある?責任追及の期間制限に関する注意点

2022.04.13

最近、映画監督や俳優により性暴力が行われた事件が相次いで報道されました。

性暴力については民事・刑事両方の法的責任が発生します。ある程度時間が経ってから性被害を訴えることも可能ですが、加害者の責任を追及できる期間の制限(時効)には注意が必要です。

今回は、性被害の訴えについて適用される、法律上の「時効」についてまとめました。

1. 性暴力について成立する民事責任・刑事責任

性暴力は違法行為であり、加害者には法律上、以下の民事責任および刑事責任が成立します。

1-1. 性暴力の民事責任

性暴力の加害者には、被害者に対する不法行為(民法709条)が成立します。被害者は不法行為に基づき、加害者に対して、性被害により被った損害の賠償(慰謝料等)を請求できます。

性被害による慰謝料の金額は、受けた性暴力の悪質性などによって変わります。あくまでも目安ですが、標準的な金額はおおむね以下のとおりです。

強制性交等:200万円~600万円程度
性交等を伴わない強制わいせつ:50万円~400万円程度
強制わいせつに至らない痴漢など:30万円~50万円程度

1-2. 性暴力の刑事責任

性暴力の加害者は、以下に挙げる犯罪の責任を問われる可能性もあります。

<強制性交等>
①強制性交等罪(刑法177条)
②準強制性交等罪(刑法178条2項)
③監護者性交等罪(刑法179条2項)
④強制性交等致死傷罪(刑法181条2項)
⑤強盗・強制性交等罪(刑法241条1項)
⑥強盗・強制性交等致死罪(刑法241条3項)

<性交等を伴わない強制わいせつ>
⑦強制わいせつ罪(刑法176条)
⑧準強制わいせつ罪(刑法178条1項)
⑨監護者わいせつ罪(刑法179条1項)
⑩強制わいせつ等致死傷罪(刑法181条1項)

<強制わいせつに至らない痴漢など>
⑪迷惑防止条例違反
⑫軽犯罪法違反(軽犯罪法1条23号)
⑬リベンジポルノ法※違反(リベンジポルノ法3条1項、3項)
※私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律

<18歳未満の者が被害者の性暴力>
⑭青少年保護条例違反

各犯罪の詳細については、以下の記事をご参照ください。

参考:被害に遭ったらすぐに相談を!知っておきたい性暴力に関する法律と条例|@DIME

2. 性暴力の民事責任(不法行為)の消滅時効

性暴力の被害について、加害者の責任を追及できる期間は、民事・刑事ともに「時効」によって制限されています。性被害を訴える場合には、各時効が経過しないように注意が必要です。

性暴力の加害者に対して、不法行為に基づく損害賠償を請求できるのは、以下のいずれかの期間が経過するまでです(民法724条、724条の2)。

①被害者が損害および加害者を知った時から3年(生命または身体が害された場合は5年)
②不法行為(性暴力)の時から20年

上記のいずれかの期間が経過すると、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効が完成します。消滅時効の完成後は、加害者が時効を援用した場合、被害者による損害賠償請求は認められません。

ただし、消滅時効を援用するかどうかは加害者の任意です。加害者側に、過去の性暴力を償うという意思があれば、消滅時効の完成にかかわらず、被害者に対する損害賠償が行われることもあります。

3. 性暴力の刑事責任の時効(刑の消滅時効・公訴時効)

性暴力に係る刑事責任については、「刑の消滅時効」と「公訴時効」の2つの「時効」が設けられています。

3-1. 性暴力に関する刑の消滅時効

「刑の消滅時効」とは、刑事裁判を通じて刑の言渡しが確定した後、その刑を執行できる期間を意味します(刑法32条)。犯罪の法定刑に応じて、1年から30年の期間が定められています。

ただし実際には、刑の言渡しの確定後、速やかに刑が執行されるため、刑の消滅時効が問題になるケースはほとんどありません。

3-2. 性暴力に関する公訴時効

「公訴時効」とは、検察官が犯罪について公訴を提起(起訴)できる期間を意味します。公訴時効期間は、犯罪発生時から進行します。

公訴時効期間は、犯罪の法定刑および被害者が死亡したかどうかによって、以下のとおり定められています(刑事訴訟法250条)。

検察官は、捜査の結果を踏まえて被疑者を起訴するかどうか判断します。そのため、被害者が警察に被害届や告訴状を提出してから、起訴に至るまでには数週間~数か月を要するのが一般的です。

性暴力の加害者の処罰を望む場合は、公訴時効期間の経過までに起訴が間に合うように、早めに警察へ相談することをお勧めいたします。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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