「ワイン」はボトルから缶の時代へ
「ワイン」はボトルからコルク栓を抜き、そのコルクの香りを嗅ぎ、グラスに注ぐ。そして、その注がれたワインの香りを楽しんで飲む!と思っているのはもう古い!?
アメリカではここ数年で急激に缶入りワインが増加。今ではお酒を専門に扱う「リカーショップ」だけでなく、普通のスーパーマーケットでもずらりと並ぶようになり、流行の兆しが見える。
缶ワインのメリットは?
1.持ち運びに優れている
なんといっても手軽に持ち運べる点が一番の魅力だ。今までワインは瓶に入っていたため、割れないように持ち運ばなければならず、温度管理が必要なモノもあった。しかし、缶入りワインは割れる心配がなく、軽量で小さいサイズのため、ポケットにも入り、携帯性に優れている。
2.サイズ感
支持されている理由のひとつは「飲み切りサイズ」の点もある。通常、ボトルワインは750ml。一度に飲み切るには量が多く、保存するのも瓶の場合はちょっと手間がかかると思っていた人も多い。そんな人にとって缶ワインの250ml前後のサイズは、一度に飲むのにちょうどいい量だ。
3.気軽感
一昔前だと「ワイン」というとちょっと小難しいイメージがあったが、缶ワインはそんなイメージを払拭すべきラベルもポップで気軽に飲めるように作られている。テイストもフルボディのようにコクがあるタイプは少なく、フレッシュなライトボディのモノが多い。そのため、お酒が強くない人でも飲みやすく、「気軽感」も魅力のひとつになっている。
缶ワインのデメリットは?
手軽感はあるが、やはり缶ワインには高級感は感じられない。たとえば、フレンチレストランに行って、ワインを頼んだときに缶入りワインがでてきたら、やはり興醒めしてしまう。(ボトルワインでもコルク栓ではなくスクリュー栓のワインが出てくるのも、やはりちょっと残念な気持ちになる)。
また、缶入りワインも増えてきたものの、やはりボトルワインに比べると種類が少なく、「ボディ」や「ブドウの品種」や「生産地」などピンポイントのテイストを選ぶことは難しく、ワインの味にこだわりがある人には向いていないように思える。
支持されている層は?
ワインを昔からたしなんでいる人向きではなく、若者をターゲットにしている。そのため、ラベルはポップでカラフルなモノが多く、アルコール度数もライトなモノが多い。また、スパークリングワインの種類が多く、その点もやはり若者をターゲットにしているように思え、「ワインは手軽に飲めるアルコール」としてある程度、アメリカでは缶ワインは地位を確立してきているように思える。
また、割れない缶は手軽に持ち運べ、アウトドア好きの人にも支持を得ている。
年々種類が豊富になってきている
缶ワインが出始めのころはあまり種類がなかったため、ブドウの品種や産地で選ぶことができなかった。しかし、今では赤、白、スパークリングそれぞれ、さまざまなブランドからさまざまな種類のモノがアメリカでは販売されている。
近年はプレミア缶ワインも登場し、味にこだわりがある人も納得できるクオリティまで上がっている。
ワインもTPOでボトルや缶を選べる時代に
本当にワイン好きの人には邪道と思えるのかもしれないが、日本でも徐々に浸透しつつある缶ワイン。
ワインは飲むがフリークではない筆者は、缶ワインの手軽さは魅力に感じている。とくに、暑い日のキャンプでは、缶ビールとともに缶ワインも冷やせて飲める手軽感は嬉しい。
ただそういっても、ボトルワインの需要がなくなることはないだろうが、消費者は「花見で飲むとき」「特別な日に飲むとき」「キャンプで飲むとき」など、TPOでワインを選べる幅が広がっている。
日本でもサントリーなど大手ブランドより缶ワインが発売され、徐々に缶ワインが増えつつあり、これからはコンビニエンスストアで缶ビールを買うように、缶ワインが買える時代になってきそうだ。
文/舟津カナ
編集/inox.