普段の車の運転について「安全運転をしていますか?」と聞かれたら、おそらく多くの人が首を縦に振るだろう。中には、「安全運転にかけては自信がある」と思っている人もいるはずだ。しかし、いざ機械に詳細に診断してもらうと、その自身は思い込みだった…ということもあるかもしれない。
今回は、安全運転につながるスマートフォンアプリを3つ紹介する。その一つ、運転診断が行えるアプリについては実際に走行して試してみた。
1.AIG損害保険「AIG Drive」
対応:iOS版/Android版(各無料)
AIG損害保険(以下、AIG損保)が提供するスマートフォン「AIG Drive」は、同社とAmodoが共同開発した安全運転診断アプリ。GPSやモーションセンサーを利用して運転挙動を検知し、運転の安全性を評価するほか、運転を記録し保存する機能を持つ。
評価は、アクセルやブレーキ、スピードなど、ドライブごとの運転傾向をスコア付けしてくれ、より安全に運転するためのヒントを提供する。
●実際に運転しながら試してみた
ある都内在住の30代ビジネスパーソンが運転を実際に行ってみた結果をコメントと共に紹介する。
ルート:昭和記念公園→モリパークアウトドアヴィレッジ一般道
移動距離:5.7km
時間帯:夕方(16:20~16:40)頃
「東京・立川にある昭和記念公園から、昭島のアウトドアヴィレッジまでのショートドライブにアプリを使用しました。道がいまいちわからなかったので、カーナビを併用しながらのドライブでした。そこまで長いドライブではなかったのと、特に『危ない!』とヒヤリとする場面などはなかったように記憶しているのですが、総合スコアは100点満点中、なんと『53』と、改善が必要な運転と出てしまいました」
アプリでは、地図で通ったルートを確認することができるが、注意喚起も表示される。
「地図の表示を確認してみると、直線道路のところで急加速や急ブレーキ、スマートフォンの操作などの注意喚起が! 思い返してみると、この辺りで渋滞していたので、少し注意力が散漫になっていたのかなと思います。あまり慣れていない道、というのも原因の一つにあるかもしれません。
また、実はドライブをする前にイライラする出来事があり、それも運転に反映されてしまったのかなと反省しました…。心を落ち着けてから運転に取り組む必要があると感じました。
運転中は携帯操作をしてはいけないので、こちらのアプリは位置情報を常に許可しておくとアプリを立ち上げなくても運転を記録してくれます。この点は安全に、便利に自分の運転を診断してくれる、良いアプリだなと思いました」
メニューから「運転分析」を選択すると、ドライブ全体の運転スタイルをチェックでき、自分の運転にどのような傾向があるのかなどを総合的に確認できる。
ちなみに現在、2022年4月30日まで、安全運転促進を目的としたドライブコンテスト「AIG損保 安全運転 A1 グランプリ」が開催されている。このアプリ上で安全な運転を行うことによってステージをクリアすると、最大500万円相当の新車やアマゾンギフト券といった豪華賞品が500名以上に抽選で当たる。
アプリ内の「参加」ボタンを押すだけでエントリーでき、運転した距離や安全に運転すればするほどバッジがたまる。たまったバッジによって商品の抽選に応募できるようになっている。
コンテストに参加している人の中で、自分が今どれくらいのスコアが取れているのか、ランキング形式で見ることもできる。
「ランキングは839位! 昨日から48位ダウンしたようです。これを見るとランキングやスコアを上げたいと思うので、より安全運転へのモチベーションが上がるなと感じました」
運転を記録して見直すことができるだけでなく、コンテストに参加して安全運転への意欲がより高まるというのは嬉しいポイントといえる。
2.ナビタイムジャパン「SPEED METER by NAVITIME」
対応:iOS版/Android版(各無料)
ナビタイムジャパンの2022年2月9日にリリースされた「SPEED METER by NAVITIME」は、GPSによる自車位置情報とマップマッチ技術を活用したスピードメーターアプリだ。ダウンロードと共にすべての機能の利用も無料でできる。
アプリを起動しながら運転すると自動で計測され、速度と共に緯度経度・標高・方角・地図等も合わせて画面に表示される。
また、走行中に制限速度を超過するとスピードメーターの色が変わって警告してくれるほか、オービス設置場所を地図上と音声で通知し、安全運転を促す機能も備わる。
走行により、走行軌跡と共に緯度経度・標高・速度も記録される。アプリ上で再生するときには、空撮をしたようなアングルで航空衛星写真の地図上を走る軌跡を見ることができるのもこのアプリの特徴だ。
利用者の声として、「機能はシンプルで見た目が綺麗。ログ再生も見ていて楽しい」「スマホを注視していなくても、色の変化で速度超過が分かるのは良い」「凄いアプリが出来ましたね!しばらく色々試してみようと思います!」などが挙がっているそうだ。
スピードを意識しながら安全運転が行えるアプリといえる。
3.イーデザイン損保の自動車保険「&e(アンディー)」のアプリ
対応:iOS版/Android版(アプリ利用には自動車保険「&e」の契約が必要)
イーデザイン損保の自動車保険「&e(アンディー)」は、契約者限定のアプリを提供している。この保険は、IoTセンサーをスマートフォンに連携させるなど最新テクノロジーを活用して新しい体験を提供するものだ。アプリでは、センサーが検知した急ブレーキなどの危険挙動データや運転スコアが表示された「Tripレポート」を確認できたり、過去の事故データをもとに開発した安全運転のヒント「運転テーマ」が配信されるなど、安全運転に役立つ機能がある。
2022年1月20日から、安全運転を促進するゲーム性を取り入れた新機能「チャレンジ」が追加された。
同アプリを利用している家族や友人と一緒に運転スコアなどを競い、結果に応じてバッジを獲得できるなど、ゲーム感覚で楽しみながら安全運転に取り組むことができる。
実施できるチャレンジが一覧で表示され、選択するとその詳細が確認できる。また、チャレンジの途中経過や結果だけでなく、ヒストリー画面では今までに獲得したバッジが表示されるため、安全運転へのモチベーションが上がりそうだ。
保険に契約しつつも、安全運転は欠かせない。できるだけ保険を使わないためにもこのアプリは役立ちそうだ。
利用者からは、こんな声が挙がっているという。
「免許取得後10年ほど運転をしておらず、子供が生まれたタイミングで車を購入しこの1~2年ほどで運転をすることになった。そのため自分の運転に自信がなかったが、&eの安全運転プログラムで客観的に自分の運転の悪いところ(危険挙動)を教えてくれたり、良い運転が続くと通知で褒めてくれたりと非常に良いサポートをしてくれている」
「運転テーマが役に立つと感じた。自分だけでなく、運転が苦手な妻にも見てもらえるので良いと思った」
「危険挙動の場所を確認することで、とりわけ急ブレーキは気をつけるようになった」
危険挙動の機能面のメリットはもちろんのこと、このアプリの存在そのものが、安全運転の意識付けにつながるというメリットもあるようだ。
コロナ禍では感染を避けられるマイカー移動が推奨されているが、より安全運転を心掛けたいものだ。これらのアプリを活用して、安全意識を向上させるのもいいだろう。
【参考】
AIG損保「AIG Drive」
NAVITIME「SPEED METER by NAVITIME」
共創する自動車保険&e(アンディー)「アプリとセンサーでできること」
取材・文/石原亜香利