アメリカのクラフトビールの輸入卸を行っているナガノトレーディングが、東京駅八重洲地下街に「アンテナアメリカ東京店」をオープンした。約300種の品揃えは、国内最大規模になる。ここを訪れる価値があるのはクラフトビールファンだけではない。
輸入卸だからできるアメリカ本場のものしかない店づくり
アメリカの50以上のブルワリーのクラフトビールブを扱うナガノトレーディング。そのショールームのようなショップが「アンテナアメリカ」。現在、品川店(品川駅ナカ)、横浜店(横浜駅ビル地下)、そして4月1日に東京駅の八重洲地下街にオープンした東京店がある。
ネイビーブルーと黒のシックなカラーリングに、カラフルなネオンサイン。あまたの外国人を惹きつけてきた八重洲地下街にあってダントツにアメリカンな雰囲気を放っている。
300種近いビールが並ぶ。アメリカから冷蔵状態を保ったままこの冷蔵庫に入る。
カウンターでは10種のドラフトを用意。最新のビールに出合えることも。(画像はプレオープン時)。
この豊富な品揃えは、経営するナガノトレーディングが輸入卸会社だからこそ。代表のバルマス(大平)朱美さんは、「そもそもアンテナアメリカはショールームとしての役割がある」と話す。
ナガノトレーディングの代表取締役のバルマス(大平)朱美さん。
ビールがオールアメリカンなのはもちろんのこと、食材もすべてアメリカ製。フードメニューはアメリカ人シェフが監修したハンバーガー、チキンウィング、タコスなどなど。アメリカの食文化も体感してほしいと、フルスペックのキッチンを備え、チキン用スモーカーをわざわざアメリから取り寄せた。「本場の味でなければ」(大平さん)提供する意味がないからである。アメリカ産のピクルス、取り扱いブルワリーの麦芽カスを飼料に育った牛のチーズもある。
本格的なキッチンを備え、アメリカ本場のハンバーガー、チキンウィング、タコス、ホットドックなどがメニューに。
「300種もあって選べないんですけど」の人もウエルカム!
冷蔵庫には300種近いビールがそろうが、そのディスプレイはシステマティックでわかりやすい。合計12の扉があるが、扉ごとにビールスタイルが決まっている。正面左からニューアライバル(新着)→ハードセルツァー→スタウト→サワーエール→ヘイジーIPA→IPA→ラガー→アンバーエールという具合だ。それぞれの扉の上に、そのビールスタイルやおすすめ商品がデジタルサイネージ(掲示板)で説明されている。そして、棚の上から下に向けてアルコール度数が高くなる。
好みのスタイルがわかっているマニアな人はその扉に直行すればいいし、よくわからない人は、この説明を見ながら好みを探せばいい。プライスカードにも商品説明がついているのが、アンテナアメリカの特長だ。
もともとがショールームとしての性格がある店だから、わかりやすい説明は得意なもの。また、これだけ多くの品種をそろえるのも「バラエティがあってこそ面白いん」と大平さん。売れるものだけ置いてもつまらない。たとえば売れ筋は500円の商品で、5000円の商品はめったに売れなくても、500円〜5000円のバラエティにこそ面白さはある。それに、クラフトビールの魅力もバラエティの広さそのものだ。
傾向として、クラフトビールについてあまり知らない人は、メジャーのスタイルであるラガーや比較的なじみのあるアンバーエールの扉に寄ってくる。どれを選んでいいか迷ってしまうからだ。
「その扉の前で迷っている人を見るのが、ある意味、醍醐味です」と大平さんは明かす。「ウチのスタッフはビールの説明能力が高いので、なんでも説明いたします。試飲もできます」。ここはショールーム体験ができる店なのだ。
もちろん、アンテナアメリカにはプロのバイヤーやクラフトビールのブリュワーも訪れる。日本のクラフトビールは、すっとアメリカの背中を見て追ってきたが今もその流れは変わらない。ここで新入荷のクラフトビールの味だけでなく、パッケージのデザイン、また店のディスプレイ方法などをチェックしていくようだ。
ショールーム型の体験型のクラフトビールショップ。すでにクラフトビール大好きな方はもちろん、クラフトビールって何がいいの? の人にもおすすめしたい店だ。
3本並べてディスプレイされることを前提にしたパッケージデザイン。アメリカのクラフトビールはロング缶が増えている。
オリジナルグッスの販売も。ブルワリーオリジナルのTシャツ、カップなどのグッズもある。
アンテナアメリカ 東京店
東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街B1階
営業時間 11時〜23時
取材・文/佐藤恵菜