2022年に創業50周年を迎えるスポーツ用品販売の株式会社アルペンは、4月1日(金)に新宿東口のユニカビルに、史上最大の旗艦店舗「Alpen TOKYO」をオープンした。ユニカビルといえば、LABIや吉野屋が続けて閉店し、空いたテナントスペースの先行きが注目されていた場所だ。
アルペンは郊外型の約400店舗を全国で展開しているが、「Alpen TOKYO」はアルペンが運営する「スポーツデポ」「アルペンアウトドアーズ」「ゴルフ5」の3つの業態の旗艦店で構成されており、初の都心型旗艦店となる。周年記念のチャレンジ、と軽くまとめるには大きすぎる挑戦。そこにはどんな想いや狙いが込められているのか。
業界の常識を覆す取り組みで成長してきたのがアルペンの強み
内覧会にてメディアの前に登壇したのは、株式会社アルペンの代表取締役社長、水野敦之氏。まずはアルペングループの歴史について触れた。
元々は1972年に名古屋市にオープンした小さなスキーショップ。その後、スキーブームの追い風を受け、ロードサイド中心に全国展開をし、1990年代にはウインタービジネスで一世風靡。
さらに国内ナンバーワンのゴルフ専門店「ゴルフ5」は1983年からスタート。スポーツ専門店「スポーツデポ」は1997年より参入。どちらも圧倒的な品揃えや高い販売力を強みに、2000年代以降はアルペンの売上を支える大黒柱に成長した。
そして第三の柱となっているのが、2018年に立ち上げたアウトドア業態の「アルペンアウトドアーズ」。キャンプ用品の幅広い品揃えに加え、数多くのテントが張ってあるなど、アウトドアを体感できる店内の世界観や試し張りなどの充実のサービスが人気を博している。
アルペングループの現状を説明し終えたところで、この創業50周年を迎える年の挑戦へと話が移った。
「今までの歴史を振り返ってみると、何度も逆境に追い込まれながら、そのたびに業界の常識を覆すような新たな取り組みで、成長を続けることができた」と水野社長。
代表例として、創業当初に値引き販売をやめなかったために商品が納品されなくなり、プライベートブランド商品の開発生産に活路を見出したこと、ウインターブームが去った後にスポーツやゴルフを伸ばしたこと、近年ではスポーツ業界の競争激化による低下した収益性をECへの取り組みやアウトドア業態の早期展開で挽回してきたことを挙げた。
「私たちが30年以上の長い期間、スポーツ小売業界のトップランナーとして走り続けてこられたのは、この挑戦のスピリットのおかげだ」と水野社長は断言。「そんな私たちの新しい挑戦が『Alpen TOKYO』です。」
水野社長は「Alpen TOKYO」について、こう説明する。
「ゴルフ5、スポーツデポは旗艦店を意味する“フラッグシップストア”を冠した店舗を展開するのは、全国で初めて。またアルペンアウトドアーズに関しても、東京都内では初めてのフラッグシップストア展開。非常に幅広い品揃えが要求されるうえ、単価も決して高くないため、(業界では)スポーツ用品は都心部で取り扱うのが難しい商品だとされてきた。
実際に、都心の百貨店のスポーツ用品売り場は縮小や撤退を余儀なくされているところが増え、都心の各種スポーツ専門店の数も減少傾向にある。
さらにECでなんでも買えるようになり、スポーツ用品を取り扱うリアル店舗自体が不要だと考える人もいるかもしれないが、そういった見方に真っ向から反対したい」
業界の定説の逆を行く挑戦には、こんなビジョンがあった。
「当社は創業50周年にあたり企業理念を見直し、新しいアルペンのパーパスを“スポーツをもっと身近に”に設定した。
スポーツの力で世界をもっとワクワクさせることが私たちの役割だと考え、人が集まる東京の都心部にこそ、初心者でも気軽に来店して、スポーツやアウトドア、ゴルフの世界観を感じられる店舗、スポーツやアウトドア、ゴルフ好きの人たちが常に集まる店舗が必要だと感じている。
もちろん、東京にも素晴らしい素晴らしいスタッフがいる専門店は存在するが、店舗面積に限りがあり、それが不十分で、スポーツを新たに始める方には敷居が高い。スポーツのワクワクする世界観を十分に伝えきれなかったり、スポーツを楽しみたいすべての人のニーズには応えられていないと考えている。
ECも買う商品が決まっている場合は利便性は高いが、お客様と商品の偶然の出会いや、スポーツの魅力を伝える力は足りていないと感じている。Alpen TOKYOでは、スポーツの魅力を伝えるためのこだわりが詰まっている」(水野社長)
アウトドアやゴルフなど近年伸びているジャンルがありながら、店舗の顔となる1階を「スポーツデポ」にすることにこだわったのも“スポーツをもっと身近に”という想いから来ている。
圧倒的な品揃え、サービスの充実、デジタル連動を強みに展開
最大規模である「Alpen TOKYO」の強みについて、水野社長は3つのポイントを挙げた。
1つめは圧倒的な規模の品揃え。エントリーユーザーからコアユーザーまで、すべてのレベルのユーザーに対応していく。例えば1階のランニングシューズは価格帯もさまざまな約500品番が並び、4階5階のキャンプ用品では、ソロテントからファミリー用テントまで全部で350品番以上の中から検討することができる。ゴルフも2000本ものクラブを揃え、日本最大級の品揃えに胸を張った。
そして2つめに挙げたのはサービスの充実だ。例えばランニング用品のフロアの床には、新国立競技場にも採用された、イタリア・モンド社のトラック素材を取り入れている。サッカー売り場の試着室には、各国の有名スタジアムのベンチに使われているレカロシートを採用。ほかにもテニスやバトミントンのストリング(ガット)加工サービスなど、きめ細やかなサービスも多数用意されている。
アウトドアコーナーでは、他店舗で好評のテントの試し張りサービスを展開。新たに展開するソロコーナーでは、ソロキャンプの第一人者であるキャンプ芸人のヒロシさんとコラボした商品も展開予定だ。
ゴルフ5のフラッグシップストアでも、都内では類を見ない、4種類8打席と充実の試打席のほか、パターのフィッティングや初心者でも相談しやすいカウンターの設置なと、圧倒的なサービスで来店客を迎える。
3つめのポイントは、デジタル連動だ。店内に140か所に設置されたデジタルサイネージを使い、紙の使用量を減らすほか、商品選びに役立つ情報をタイムリーに配信、さらにオンラインストアに掲載している、スタッフのコーディネートや商品レビューを店頭でもサイネージで確認することができる。
さらに4月8日には、リアル店舗と同じ空間を体感できるVRストアのオープンも予定している。
質疑応答では今回の挑戦に対し「特に黒字化に対して不安はない。我々にとっては大きなチャンス」と言い切った水野社長。
実際に各フロアをうろうろしてみると、誰でも知らないブランドや商品に出会えるだろう圧巻の品揃えや、何か買って帰りたくなるような気分を高める考えられたVMD、そして元気に挨拶の言葉をくれるスタッフたち…と、店舗にいるだけでワクワクするような空間が広がっている。
アクセス可能な場所に住んでいるなら、何かを始めるときには、まずこの店舗へ足を運んで実物を見たいと考える人は多いだろう。
あとは「店舗で見てネットで買う」という行動が当たり前になりつつある消費者を、いかに店舗や自社ECのカスタマーとして取り込んでいけるかが鍵となるだろう。
ちなみに現在は、この「Alpen TOKYO」のオープンを記念して、アルペングループ史上最大のセールを開催中。「Alpen TOKYO」のみならず、全国のアルペングル―プ店舗でも同時開催中なので、狙っているものがある人、始めてみたいアクティビティがある人は要チェックだ。
■「Alpen TOKYO」オープンニングセール
第1弾セール:2022年4月1日(金)~4月11日(月)まで
第2弾セール:2022年4月15日(金)~4月25日(月)まで
・店内商品税込み合計10,000 円以上購入でアルペングループメンバーズポイント10%還元。
・店内商品税込み合計5,000 円以上購入でアルペングループメンバーズポイント5%還元。いずれも当日入会も可能。
■「Alpen TOKYO」オープン協賛セール
全国のアルペングループ全店で開催(スポーツデポ・アルペン・アルペンアウトドアーズ・ゴルフ5・ゴルフ5プレステージ・ティゴラショップ)。
2022年4月1日(金)~4月11日(月)まで
・店内商品税込み合計10,000 円以上購入でアルペングループメンバーズポイント10%還元。
・店内商品税込み合計5,000 円以上購入でアルペングループメンバーズポイント5%還元。いずれも当日入会も可能。
Alpen TOKYO
住所:東京都新宿区新宿3-23-7
「ユニカビル」地下2階から8階まで全10フロア
・新宿駅東口より徒歩1分
・総延べ床面積:3721坪
・展開店舗:スポーツデポフラッグシップストア新宿店、アルペンアウトドアーズフラッグシップストア新宿店、ゴルフ5フラッグシップストア新宿店
https://store.alpen-group.jp/alpentokyo/CSfTokyoTop.jsp
取材・文/安念美和子(nenko)