その発売サイクルの速さが年々激しくなっているスニーカーの世界。世界各国で展開するナイキとアディダスでは、専用のオンラインアプリに加え、よりレア度の高いものを販売するアプリ「SNKRS」「CONFIRMED」で、発売日のアラート機能や一部商品の抽選販売など、以前ならば店頭に行列して…という場がオンライン上に集約されています。全国販売される商品に加えて限定モデルが多い週だと、5モデル程発売されるのだから、一旦ハマると本当に沼です。
皆さんはそうやって集めたスニーカーはどうしていますか? Stock Xなどリセールバリューを含めた価格で売買が行われるサイトも含め、個人間の取引もありますが、その真贋についての見極めも必要です。
スニーカー好きといっても様々な層がいますが、ファッションアイテムとして身に着けることを好むユーザーに向けて、東京・有楽町の阪急メンズ東京の8階にオープンしたのが「GINZA SNEAKER HILLS」です。
GINZA SNEAKER HILLS、略称「GSH」は、スニーカーマニアが集う“基地”をコンセプトに、「MARKET」「MUSEUM」「SCHOOL」「HOSPITAL」の4つのセクションで構成されています。
コメ兵が全国で買取りしたスニーカーの精鋭が集結!
「MARKET」セクションを担うのは、日本最大級のリユースデパートを展開するKOMEHYOが手掛ける、初のスニーカー専門店「SNEAKER MARKET BY KOMEHYO」。全国展開するKOMEHYOの店舗で買取りした商品から、選りすぐりのスニーカーを集めています。オープン時のブランドはNIKEが8割程度で、残りはVANSやNEW BALANCE。最高額は40万円から新品同様で定価の半額以下の手頃な価格になっているものなど、500足以上のスニーカーを展示販売。早速チェックしてみると、右足用のみが店頭には並んでいて、同じスニーカーでもサイズ違いがあるものも展示。気になったものがあればもう片方を出してもらって試着もできます。
スニーカーの二次流通はネットオークションなどでの個人取引も活発ですが、真贋の見極めが必要です。KOMEHYOでは全国で買取したものを一度すべて商品センターに集約し、目利きの鑑定士が商品を見極めたうえで店頭で販売しています。高額を払ってサイズが合わない、状態が想定よりも悪かったというオンラインでは判断できない要素も解消されるのはうれしいところ。
一見するとユーズドのシューズが並んでいるとはわからない「SNEAKER MARKET BY KOMEHYO」の店内。
KOMEHYOの店舗を感じられるのは会計エリアにあるロゴのみ。
「NIKE × Trophy Room」Air Jordan 1 High Chicago ¥400,000(税込)
「NIKE SB」Dunk Low Pro OG QS “DIAMOND” ¥65,000(税込)
※すでに販売済。
商品は随時入れ替わっており、自分が欲しいモデルやぴったりのサイズとの出会いは一期一会。取り扱いはメンズサイズ中心ですが、今後、レディースやキッズサイズなどの展開も予定されています。
KOMEHYOでは、これまでにもファッションアイテムを扱う大型店舗などでも人気スニーカーを扱ってきましたが、1階など目立つエリアにはバッグなどの売れ筋が並び、スニーカー類は上階になってしまうため、なかなかスニーカーファンとの接点が持てずにいました。一方、コロナ禍でのリモートワークの拡大やビジネススタイルのカジュアル化など、スニーカーを楽しむ場面の増加により「運動のためだけではなく、ファッションとしてスニーカーを履く」層が広がっています。
今回、KOMEHYO初のスニーカー専門店として、これまでKOMEHYOを利用したことがない人に対して気軽に利用してもらい、既存のKOMEHYOに別のブランドなどを探しに行ってもらうきっかけになればとも考えています。ちなみにこちらでは、販売だけでなく、スニーカーのみですが買取サービス(一部除外ブランドもあり)も行っています。
iPhone片手に歴史を巡る「SNEAKER MUSEUM」
スニーカーに関する商品の販売やサービスの提供以外にも、歴史的な背景のあるモノの価値やモノの裏に存在するストーリーを感じられる展示やイベント等を開催するイベントスペース「SNEAKER MUSEUM」を併設しているのも今回の特徴です。
オープンから半年をかけて展示されるのは、今年発売50周年を迎えるNIKEのコルテッツやAJ10Gモデルを始め、スニーカーの歴史50年を駆け抜ける博物館企画。およそ1か月ごとに展示を入れ替え、かつて雑誌で憧れていたモデルや伝説のレアモデルなどが登場します。
それぞれの情報はデータ化されており、展示ブースの前にあるRFIDタグにiPhoneをかざすだけで、ガラスケース内にあるスニーカーの詳細情報を入手できるという仕掛けも用意されています。RFIDタグを使った試みは以前に開催され好評だった「SNEAKER MUSEUM by KCKC」 でも実施したテクノロジーを活用。シンプルかつそぎ落とされたレイアウトでありながらファンの心を満たす情報量が詰まった「スニーカーガイド」を付属させることで、充実した内容となっています。ちなみに、こちらの観覧は無料です。
展示ケースの前にあるRFIDタグにiPhoneをかざすと、画面上にスニーカーの写真とその詳細情報が入手できます。
「FOREFOOT」の直営自販機「Forefoot LAB」では、スニーカーをかかとの削れから守るためのグッズ「ヒールプロテクター 守」などを販売。
アプリで注文するコーヒーマシン「root C」を設置。ソファーでレアスニーカーに囲まれるひと時を過ごすこともできます。
魔改造で唯一無二のスニーカーを創造!「SNEAKER HOSPITAL&SCHOOL」
「SCHOOL」「HOSPITAL」のセクションを担うのは、「SNEAKER HOSPITAL&SCHOOL」。愛着のあるスニーカーを大切に履いてきたけれど、ソール部分の加水分解など経年劣化により捨ててしまった経験がある人もいるでしょう。そんな大切なスニーカーに新たな命を吹き込み、修理や再構築でまた新たなスニーカーを生み出すなど、様々なニーズに対応してくれます。
タッグを組んだのは、東京のカスタムスニーカーを牽引する 「OnebyOne=(ワンバイワンイコール)」。リペアだけでなく、クリーニングにも対応。また、店内スペースを使ったスニーカーカスタムスクールも実施。講師には カスタムスニーカー歴20年のforce_naoki の原田尚輝さんを迎え、カスタムスニーカーペイント塗料の選び方や調合の仕方など、初級からら上級まで複数のコースで実施しています。
GINZA SNEAKER HILLS
住所:東京都千代田区有楽町2丁目5番1号 阪急メンズ東京8階
スニーカー好きには堪らない「GINZA SNEAKER HILLS」。欲しかったレアものに出合えたり、歴史あるスニーカーを眺めることができたり、さまざまなアイデアを凝縮したフロアにぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
※記事中のユーズドのスニーカーは1点もののため販売終了している可能性もあります。
https://www.hankyu-dept.co.jp/mens-tokyo/h/ginza_sneakers/index.html
取材・文/北本祐子