好きなことはみつけなくていい
いつ始めても、
いつやめてもいいのがソロ活。
「ソロ活」なんていう言葉ができる前から、ただひたすら自分の興味を追求し続けてきたみうらさん。思えば「マイブーム」という言葉もソロ活の本質を突いているといえるだろう。みうらさんはなぜ、そこまで夢中になれるのか?
みうらじゅんさん
1958年京都市出身。武蔵野美術大学卒。怪獣、仏像、いやげ物などなど、流行語大賞を受賞したマイブームという言葉以上に、みずからが次々とマイブームを発信するMrサブカル。
勝負する男たちの熱量!風間ゆみは裏切らない
この年になって気づいたんだけど、趣味ってさ、そもそもいつ辞めても叱られないんだってね(笑)。
若い頃はさ、一度やりだしたことは、なにごとも途中で放り出しちゃいけないとかいわれてたでしょ。『ネバー ギブアップ!』なんて。
でもさ、好きを途中で辞めていいんだよ、自分から好きで始めたことなんだから。ただ、そんな中で、うまいこと自分が夢中になれるようなものをまた、見つけられればいい。それでさらに 夢中になれれば、文字どおり夢の中ってことだからさ。
オレなんか、こんな歳になってもまだ、AV観てんだけどさ。それもネットとかじゃないよ、DVDだよ。しかも、買ってるからね(笑)。わざわざ神田とか行って。
つい、
「風間ゆみさんの新作だ!」
と思ったら最終的にはパッケージで欲しいからさ、オレは。
それは何でかというと、パッケージで買ったほうが夢中になれる率が高いからなんだよ。
ネットとかで見てると、いいところだけ飛ばし見するでしょ? でもね、パッケージまで〝買いし者〟は、それができないワケよ。
だって4000円以上はするよ。そういう高価なDVDやエロ本をね、見つけた時は、そりゃ
「買うべきか? それとも買わざるべきか?」
と、悩むわけよ。
まさに男の勝負の時!!
そういう書店に行ってみなよ、このネットの時代に、わざわざ遠くから来て、勝負してる戦士たちが、オレ以外に何人もいるんだよ! その熱量たるやすごいよ。もうその時点で夢中だよ、戦士は!
要するにビンビンになれそうなことを見つけられればいいんだよ!!
『エロスクラップ』も42年やってたらとうとう716巻まできた。
昔はそれを2次使用するためのエロ本と思って作ってたんだけど、今や『ドントルックバック!』。
もう全く見返えさないから!
つまりオレはエロスクラップを作るという〝作業〟自体に一番燃えるわけでね。仕事がない時は朝、事務所に来て、作業を始めて、ふと気づいたら夕方の4時くらいになってることもあるよ。
昔だったら、そんなことしてると、親にこっぴどく叱られたろうに、この年になると、
「みうらは、あの年になってまだ夢中になれるモノがあるのか!」
なんてうらやましがられて、こういう取材もくる始末でね(笑)。
股間からカーッとくることほど、人は夢中になれるもんなんだよね。
「こんなことしてていいのか?」
って不安になるかもしれない。でも、そんな〝うしろメタファー〟があったほうがむしろ夢中になれるんだと思うんだよね。
マドロスとビーナスDSへと自己洗脳しろ!
昔、「マイブーム」で流行語大賞取った時はさ、毎週のように、
「今のマイブームは何ですか?」
って取材があって、テキトーに答えると、
「それはどこかで読んだことあります。ほかにないですか?」
なんて追い込まれる状況になっちゃってさ。
それで、たった今思いついたことだってマイブームと言い張るクセが付いたんですよ。それから好きになるブームにね。
例えば去年、道歩いてて靴ヒモがほどけたんで、足乗せるのにちょうどいいコンクリートの台に足乗せて靴ヒモ結んだ時に、これ、何かのポーズだな? と思った瞬間、
「マドロスブームだよッ!!」
ってね。そしたらマドロスが気になってさ~。
『マドロス演歌大全』っていう7枚組のCDを買っちゃうわけでさ。それこそ船着き場でリーゼントみたいなカッコした船止めに足乗せてるヤツがパッケージなのよ。
でも、当然聴く気にはなれないワケよ。だって好きなわけじゃないからさ。ただ、気になってるだけだから。
でも!! 『好き』ってことにしておかないと、買った自分に言い訳がつかないでしょ? しかも7枚組だからそれなりの値段がするしね。
そこで常々思うのは、『これを好きだ』と自分を追い込むには、100円のものよりもっと高価なものがいいわけで。
もらってもうれしくない土産物を『いやげ物』ってネーミングして集めた時も、奈良彫の『ビーナス』って書かれた汚い像を見つけてさ。かなり覚悟がいったよ。それも節目が顔の真ん中にあってね、こんなの誰が買うんだ? って思ったから、ここは、
「オレだ!!」
ってことになるじゃない。で、値段見たら2万8000円! もう万超えるとね、好きにならざるを得ないでしょ。
「これはある意味、いいもんです!」
って人に紹介せざるを得なくなる。
「何こんなモン買ってんだよ!」
って自分にツッ込みが入ると、さらにドーパミンが出てくる。いわば軽いノイローゼ。もうどうかしちゃってる状態になってるわけでね。
このどうかしちゃってる状態を『DS』って呼んでるんですけど、40年もこんなことやってると、自分で自分をDSに持っていけるよう努力するようになってくる。つまり、自分を自分で洗脳してるわけ。
自分を洗脳するっていうのも、夢中になれる何かを見つけるためにはいい方法だと思いますね。
次にやることはね、好きになったモノとモノとを合わせたりする。仏像がマドロス帽を被ったらどうなるか想像してみるわけです。何だかワクワクしてくるじゃないですか。
ソロ活は、他人がつけたネーミングでなのでグッとこないけど、〝ソロ〟ときたらそこは自慰じゃん! 公然とこれは「自慰だ」と言えるくらいに夢中になれることを見つければいいってことですよ。
42年にわたるソロ活の集大成!エロスクラップ
みうら氏本人がグッときたエロチック写真を一般誌及びエロ本から切り抜き、コラージュのように構成しスクラップブックに貼っていく。現在716巻、今後も増え続けるみうらじゅん42年間夢中であり続けるの一大コレクション。これとは別にコロナ禍にバカスクラップを製作し完成させる。
最近のソロ活【1】マドロス演歌大全
正式な商品名は『珠玉のマドロス港唄』。みうら氏の脳内では『マドロス演歌大全』と変換され記憶されている模様で、記事内ではそう発言。本人も「どっちでもいい」と思っていると思われる。ともかく珠玉である。
最近のソロ活【2】ワニワニパニック
ワニパニック映画『クロール 凶暴領域』に感銘し、ワニブーム到来。アクリルでワニの絵を描いたところ、鼻先がハミ出し、それを補うように絵が連続。みうら世界全登場の超大作絵画『コロナ画66』に発展。
©︎2019 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
みうらさんが考えるソロ活の教え
◎股間のうずきに正直になる
◎まずは自分洗脳から始めてみよう
◎公然と自慰を表明できるか
DIME6月号の大特集は「本当に使えるDIYアイデア100」人気ホームセンターの完全攻略ガイド付き!
DIME6月号の特集は、セルフリノベ、部屋づくり、リフォーム、家具作りなど、人気インスタグラマーとYouTuber20名が神ワザを伝授する目からウロコのDIYアイデアを実例とともに、わかりやすく紹介。こちらも本当に使えるアイデアばかりで、とても実用的な内容となっている。
オンライン書店で予約・購入する
【Amazonで購入する】
完売しました!
【楽天ブックスで購入する】
完売しました!
【セブンネットで購入する】
https://7net.omni7.jp/detail/1234158481
取材・文/カーツさとう