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もしもSNSでプライベートを勝手に暴露されたら?真実だとしても削除請求や損害賠償請求は可能か

2022.04.03

「AとBが二人ともCを好きで、三角関係になっているらしい」

「Dは宝くじに当たって大儲けしたらしい」

SNS上では、誹謗中傷と並んで、他人のプライベートな情報を勝手に暴露する投稿がしばしば問題となります。

必ずしも本人を攻撃する内容でなくても、本人が公開を望まない情報を勝手に暴露すると、不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性があるので要注意です。

今回は、SNSで他人のプライベートを暴露することについて、法律上の問題点をまとめました。

1. プライベートを無断で暴露することは「不法行為」に当たり得る

他人のプライベートに関する情報を、SNS投稿等を通じて本人に無断で暴露する行為は、「不法行為」に該当する可能性があります(民法709条)。

1-1. プライバシー権とは?

プライバシー権とは、プライベートな情報を公開されないことなどを保障する権利です。憲法上の「幸福追求権」(日本国憲法13条後段)の一環として認められています。

憲法の規定は、本来国家の行為に対して制約を加えるものであり、私人の行為に対しては、原則として直接適用されません。しかし人権保障の観点から、不法行為の成否を判断するに当たって、憲法の趣旨を反映すべきものと解されています(間接適用説)。

したがって、プライバシー権を侵害するような内容の暴露行為は、民法上の不法行為に該当し、損害賠償責任の対象となる可能性があるのです。

1-2. プライバシー権侵害による不法行為の成立要件

プライバシー権に関する裁判例として有名な「宴のあと事件」(東京地裁昭和39年9月28日判決)では、プライバシー侵害による不法行為の成立要件として、以下の3つを挙げています。

①私生活上の事実、または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること

②一般人の感受性を基準にして、本人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められる事柄であること(一般人の感覚を基準として、公開によって心理的な負担・不安を覚えるであろうと認められる事柄であること)

③一般の人々に未だ知られていない事柄であること

1-3. プライバシー権侵害は、情報が真実であっても成立し得る

上記の①の要件からわかるように、プライバシー権侵害による不法行為は、暴露された情報が真実であっても成立します。むしろ、情報が真実または「真実っぽい」場合にのみプライバシー権侵害による不法行為が成立し、「明らかなウソ」である場合には成立しないという考え方が取られています。

この考え方は、芸能人のスキャンダルなどを例に挙げると理解しやすいでしょう。

例えば「恋愛禁止を謳う女性アイドルが、知人男性と密会」という内容が、週刊誌に掲載されたとします。

このケースでは、掲載内容が「明らかなウソ」である場合よりも、真実または「真実っぽい」場合の方が、女性アイドルのイメージダウンの度合いは大きいことが想定されます。つまり、暴露した情報が真実であることは、プライバシー権侵害による不法行為の免罪符にはなり得ないのです。

なお、プライバシー権侵害と同時に問題になりやすい「名誉権侵害(名誉毀損)」については、情報が真実であることに加えて、公益目的などの要件を満たせば違法性が阻却されると解されています。この点は、プライバシー権侵害と名誉権侵害の大きな違いです。

2. SNS上でプライベートを無断暴露された場合の対処法

SNS上でプライベートな情報を勝手に暴露された場合、被害者として考えられる対応は以下のとおりです。適宜弁護士等にご相談のうえで、風評被害の拡大防止や被害回復などに努めましょう。

2-1. 投稿者に対する削除要請

投稿者本人に対して、問題となる投稿の削除を要請します。

SNSであれば、ダイレクトメッセージやリプライなどで連絡をとることが考えられます。また、投稿者の所在がわかっている場合には、内容証明郵便を送付することもできます。

2-2. サイト管理者に対する投稿削除請求

SNS等のサイト管理者に対して、問題となっている投稿の削除を請求します。多くの場合、サイト管理者が投稿の削除等に関するポリシーを設けており、ポリシーに従って削除の可否が判断されます。

まずはサイト上の問い合わせフォームなどを通じてサイト管理者に連絡をとり、迅速な投稿の削除を求めましょう。サイト管理者が削除に応じない場合には、裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てる方法も考えられます。

2-3. 投稿者に対する損害賠償請求

プライバシー権侵害によって具体的な損害を被った場合、投稿者(加害者)に対して、不法行為に基づく損害賠償を請求することも可能です。

投稿者が匿名で素性がわからない場合には、発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法4条1項)などの手段を通じて、投稿者を特定します。その後、示談交渉や訴訟を通じて、投稿者に損害賠償の支払いを求めることになります。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

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