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新型「iPhone SE」は5G普及の救世主となるか?

2022.04.04

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、満を持して登場した、新型「iPhone SE」について話し合っていきます。

※新型コロナウイルス感染拡大対策を行っております

新型iPhone SEはまさかの“初日1円”で発売! 気になる新機能は……?

石野氏:衝撃だったのは、発売日から“実質1円”の価格設定をするところが出たことですかね。「iPhone SE」の魅力といえば低価格が挙げられますし、アップルも“買いやすいiPhone”と言ってますけど、旧型のiPhone SE(第2世代)の在庫はまだあるので、新型iPhone SE(第3世代)はしばらく通常の値段で売るかと思っていました。これぞ春商戦! って感動しましたね(笑)

石野氏

石川氏:新型iPhone SEのポイントは2つ。1つはチップセットを最新の「A15 Bionic」にしたことで長く使える点。現状、「iPhone 6s」までiOS 15へのアップデートに対応していることを考えると、少なくともこの先5、6年は使える製品になるはず。あまりスマートフォンにお金をかけたくないというユーザーには響くかな。もう1つは5G対応で、エリア的にはまだ厳しい部分もあるけど、新型iPhone SEのユーザーが増えればデータ通信量が増えると期待されるので、通信キャリア各社としてはうれしいですね。

 シェアを伸ばしたいアップルと、ARPUを上げたいキャリア。両者のニーズにがっちりはまった端末だと思います。売り方を工夫をすればいくらでも安くできるでしょうし、これまであまり普及したとは言い難い5Gが、一気に普及するかもしれません。

石川氏

石野氏:回線を「povo2.0」にして新型iPhone SEを使ってみたんですけど、改めてauの5Gは良く入るなと思いました。自宅から事務所までの道中はほぼ5Gをつかむし、まだまだ“なんちゃって5G”ともいわれる転用エリアがほとんどではあるけど、通信速度は十分出ています。そう考えると、発売するタイミング的には絶妙だなと。iPhone 12シリーズから5G通信には対応していますが、当時は全然つながらなかった。5Gの人口カバー率が90%に近づいてきた今のタイミングで、新型iPhone SEが5Gに対応。しかも、発売初日から1円で買えるところが出ているという、強烈なインパクトがありました。

 一方で、デザイン的にはiPhone 8なので、古い感じは否めない。iPhone 13と比べると、やっぱりディスプレイサイズの迫力が足りないし、縦幅も短い。カメラ機能はA15 Bionicの「コンピュテーショナルフォトグラフィー(コンピューターによって処理・生成された写真)」でそこそこきれいだけど、iPhone 13と比べると微妙な部分も感じます。でも「1円だしなぁ」とも思うし、色々考えるところが多い端末ですね。

石川氏:「MWC Barcelona 2022(携帯電話関連の展示会)」へ参加して思ったけれど、スマートフォン全体としては、今は少し厳しい市場環境。「進化」とか「すごい機能」というワードにはもはや、大半の人が興味をなくしています。

法林氏:厳しいよね。

法林氏

石川氏:スマートフォンの性能って、新型iPhone SEレベルで十分じゃんと思っている人は多いし、ディスプレイも古く感じる比率だけど、YouTubeを視聴すると、「iPhone 13 mini」は本体の幅が細いから画角が合わせにくいのに対して、新型iPhone SEならそれなりのサイズで見られる。

石野氏:あと、指紋認証できるTouch IDに関しては、絶妙なタイミングで、Face IDのマスク対応が出てきた。新型iPhone SEの優位性を1つ潰していますよね。マスク有りの状態でFace IDを利用してみたんですが、意外としっかり認証してくれます。

石川氏:ただ、マスク有りのFace IDはセキュリティが下がっている気もする。まぁ、iPhone 12シリーズ以降じゃないと対応していませんけどね。うちの奥さんはiPhone 11なので、iPhone 13が1円で売っていないかなと探しています(笑)

房野氏:新型iPhone SEの予約数など、初速の人気はどうだったんですか?

房野氏

法林氏:全然大したことない。iPad Air(第5世代)は盛り上がってたみたいだけど。

石野氏:でも、ヨドバシカメラには、新型iPhone SE待ちでお客さんが並んでましたよ。

石川氏:ヤマダ電機も全部のカウンターが埋まっていた。

法林氏:それは1円だからでしょ。正直、誰のために作っているのかが、よくわからない製品になってきている。アップルが掲げるイノベーションなんて、どこにも見当たらないし。旧型iPhone SEから何を進化させるか期待していた多くの人は、画面が大きくなるとか、カメラが2個になる、深度センサーを搭載するなどへ期待していたのに、そういうことはiPhone 13シリーズに任せて、変わりたくない人たちをそのまま抱えている印象。こんなに保守的なことしかできないのかと思いました。

石野氏:まぁiPhone SEシリーズは、もともと新規でボディをデザインするシリーズではないので、こんなものかなとも思います。

石川氏: MacBook ProやMacBook Airも、基本のデザインは何年も変わっていません。変えないことがアップルとしてのスタイルなのかなとも感じます。

法林氏:アップルオリジナルのデザインを踏襲していくことが、アップルのスタイルであることは理解しているけど、さすがにパソコンとスマートフォンでは立て付けが違う。iPhone SE(第3世代)をこれから2年ほど売っていく中で、iPhone 6、7、8シリーズあたりのユーザーに買い換えしてほしいはず。iPhone SE(第2世代)が登場したときもiPhone 6シリーズのユーザーに買い返してほしいという意志は見え隠れしていた。防水対応などが大きく違ったからね。

 でも、iPhone SE(第3世代)で“できること”で比較すると、フィーチャーフォンにしがみついている人向けの商品と同じレベルになっている。時価総額で3兆ドルに迫る会社が、どうしてここで、新しいSEの姿を創造できないのかなと。これは怠慢ですよ。加えて、通信キャリアが端末価格を1円とか1000円に設定して大安売りしていることに関しても、かつての“ケータイ乱売時代”の悪しき慣習が、戻ってきてしまった感じがする。このままだとケータイ業界がダメになっていく……その兆しが顕著な今回のiPhone SE(第3世代)だと思います。

 まあ、iPhone SE(第3世代)の進化で価値がある部分といえば、A15 Bionicだとか、5G通信の対応、カメラが若干良くなっている程度じゃないですかね。

石野氏:あと、バッテリー容量が少し増えていますね。実は、中身は結構変わっているんですよ。電池の持続力が良くなっているのが体感できます。

法林氏:iPhone 11/12/13シリーズに比べ、iPhone SE(第2世代)とか、iPhone 6、7、8のアドバンテージって、指紋認証くらいだけど、それは引き続きって感じ。iPhone SE(第2世代)と違ったのは、出荷時にディスプレイに貼っているフィルムのホームボタン部分に指紋のプリントがされていることかな。これが象徴的だよね。たぶんiPhone SE(第2世代)の途中からなんじゃないかな。

石川氏:あと、iPhone 12、13シリーズは、フィルムが全部紙になっていたのに、新型iPhone SEはフィルム。環境への配慮が足りないのでは?(笑)

石野氏:きっと環境に優しいフィルムなんですよ (笑)

石川氏:旧型iPhone SE向けのケースとかフィルムを作っていたメーカーは、今回、大儲けですね。

法林氏:iPhone 6/7/8やiPhone SE(第2世代)用の商品をそのまま使いまわせるもんね。おそらく2年間は販売するので、アクセサリーメーカー的には嬉しいよね。

房野氏:新型iPhone SEを買ったらおトクなのは、どういった層の人なんでしょうか。

石野氏:あまりスマートフォンに興味がない人たちじゃないですかね。

法林氏:普通に考えて、スペックがわかる人、求める人はあまり買わないでしょう。

石川氏:あと、通信キャリアのサービスに縛られていなくて、MNPがどんどんできる人は、割引が適用できるので、安く利用する手段になる。スマートフォンは連絡目的のみに使えればいsいという人には、おすすめできます。

石野氏:MNPしなくても、もともとの金額が安いですしね。

房野氏:デュアルSIMでの運用もできますよね。

石野氏:できるけど、そういう使い方をする人は、iPhone 13シリーズとかを買うんじゃないですかね。新型iPhone SEは、ごく普通の人というか、初めてスマートフォンを持つ人なんかにいいと思います。

法林氏:スワイプしてホーム画面に戻るなど、iPhone X以降のUIが苦手な人もいる。スワイプする時の手の動きが大げさになっちゃったりね。こういった、ホームボタンがないとダメな人がメインターゲット。あと、マスクをしていたり、OSのアップデートをしていなくても、指紋認証でロック解除ができるのがいいという人もいるでしょう。

房野氏:3Gの停波もユーザーには影響しますかね。

石野氏:3Gユーザーの巻き取りも狙っているとは思いますよ。

法林氏:ただ、スマートフォンの3Gユーザーはあまり残っていなくて、3Gで残っているのはフィーチャーフォン、ケータイのユーザーの方が多い。周囲の人たちがサポートしてあげることで、フィーチャーフォンからiPhoneに機種変更することは考えられるし、auの「GRATINA」のような4Gフィーチャーフォンという選択肢もある。

石野氏;ただ、VoLTEじゃないLTE端末が使えなくなるので、乗り換え需要はそれなりにある。新型iPhone SEは、端末単体で見たときにすごいわけではないけど、市場の動向にフィットしていると思います。

石川氏:めちゃめちゃ売りやすい端末であることは間違いないよね。

房野氏:iPhone 6、7、8といったシリーズのユーザーはまだ多いですか?

石川氏:電車の中とかで見ると、まだ結構いますよね。

石野氏:SEかもしれないですけどね(笑)

房野氏:このあたりの製品は、そろそろ物理的に厳しい部分も出てきますかね。

石野氏:発売から結構時間が経っているので、バッテリーの持ち具合やガラスの状態など、物理的に厳しい部分もあるでしょうし、OSのアップデート対応も徐々に打ち切られていくんじゃないですかね。

法林氏:長く使うと当然、バッテリーも劣化するし、画面が割れている人もいるでしょうから、使い勝手に変化がなく移行できて、防水に対応しているiPhone SE(第3世代)に乗り換えるのはありです。アップルは明確にいっていないけど、既存ユーザーを逃したくないけれど、売りたいのはiPhone 13といったナンバリングシリーズ。だからこそ、iPhone 12などを安売りしているのでしょう。

石野氏:A15 Bionicを使いまわして、コストを下げているとはいえ、新型iPhone SEでは利幅が少なくて、あまり儲からなさそうですしね。

法林氏:ナンバリングシリーズを売りたいのは、見栄えももちろんだけど、SEはiPhone 8のころから筐体を変えていないので、分解しようと思えば簡単にできるし、落としたら壊れやすいはず。昨年、アップルのテレビCMで、料理をしている人が水をかけたり、落としたりするシーンが描かれていたけど、iPhone SE(第3世代)やiPhone 7/8/SE(第2世代)は、ああいう使い方を想定していない。だから、本当は長く使えるiPhone 12、13を買ってもらいたい。iPhone SE(第3世代)を褒める声も聞きますが、個人的には極めて後ろ向きな端末だと感じているので、しっかり線は引きたい。あれを買うなら、数万円足してでも、iPhone 12、13を買います。

……続く!

次回は、「iPad Air」や「Mac Studio」について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦

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