ゲーミングPCといえば、大型のデスクトップPCでレインボーに光る、というイメージを持っている方は少なくないだろう。しかし、ディスプレイやグラフィックボードの技術革新に伴い、ゲーミングノートPCも多くの製品がリリースされている。
そんな中、DELLのプレミアムゲーミングブランド「Alienware」から2022年2月に発売された『New Alienware x14』は、スペックの高さはもちろんのこと、薄さ14.5mmという“世界最薄(※1)の14インチゲーミングノートPC”だという。持ち運びやすい上にハイスペックなので、出先や家など場所を問わずゲームプレイを楽しめるだけでなく、ビジネスやクリエイティブなど用途を問わずに活躍できるのでは――そう思ったプロゲーマーライター・すいのこが実際に一週間使い倒し、その実力を体感してみた。
※1/2021年12月デル調べ
ハイスペックでありながら、世界最薄(※1)
DIMEで記事執筆する傍ら、ウェルプレイド・ライゼスト所属のプロゲーマーとしても活躍するライター、すいのこ。普段から執筆作業をはじめ、動画編集や配信などプロゲーマーとしての活動を自宅のデスクトップPCで行なっている。
PCを購入して5年が経過し、そろそろ買い替えたいと考えている。ライター業務では外出先での作業が多いため、持ち運びが可能なノートPCに興味津々。それでいて、高い性能が要求されるような最新のPCゲームもストレスなくプレイしたい……そんな欲張りな考えを持ったすいのこが見つけたのが、Alienwareの新作ノートPC『Alienware x14』だ。高いスペックが要求される最新のPCゲームをプレイできる性能を持ちながら、14インチのゲーミングノートPCでは世界最薄(※1)だという。これなら持ち運びがしやすそうだし、場所にとらわれずにPCゲームも今より遊べるのではと思い、試してみることにした。
一週間使ってみて分かった、『Alienware x14』の実力
①月〜水曜日:高性能なゲーミングPCなのに、薄くて持ち運びやすい!
月曜日から取材が続き、ほぼ外出する毎日。取材までの時間、近くのカフェでちょっと原稿作成を……なんてことが、ノートPCなのでもちろん可能だ。本体部品に削り出しアルミニウムを使用しており、放熱性はもちろん、持ち運びに耐えうる堅牢性も兼ね備えている。
画面サイズは14.0インチ。15インチだとやや大型になるため持ち運びが不便で、13インチだとゲームプレイ時などにおいて視認性に不安が生じてしまう。14インチは視認性携行性を兼ね備えた、ちょうどいい大きさだ。
処理能力に関しても、ゲーミングPCなだけあって折り紙付きだ。プロセッサーにはインテルの最新型である第12世代の『インテル® Core™ i7 12700H プロセッサー』を、GPUには『NVIDIA® GeForce RTX™3060』を搭載。ゲームはもちろん、ビジネスの利用と動画制作などのクリエイティブな仕事でも力を発揮してくれる。再生時間20分の動画を作成するのに要したエンコード時間を計測したところ、元々所有していたデスクトップPCでは約10分だったのに対して、『Alienware x14』ではおよそ半分となる5分程度で完了した。PCを乗り換えたことにより、動画制作の作業もよりスムーズになったわけだ。
これだけの性能を誇りながら、世界最薄(※1)の14インチノートPCを実現させた鍵はヒンジ部分にある。『Alienware x14』はモニター部分が底部から一部が持ち上がるような「デュアルトルクヒンジ」構造になっている。これにより、底部の厚さを抑えつつ、広いスペースを性能向上のために使うことが可能となった。
バッテリー容量は14インチのゲーミングノートPCでは世界最大級(※2)となる80Whr。正確な測定ではないものの、100%の状態から動画エンコードや映画鑑賞などで5時間使用後の残量が30%程度だったため、7〜8時間は充電せずに使えそうだ。電源ポートがUSB Type-C端子なので、電源アダプターを忘れたとしても市販のType-Cケーブルがあれば充電可能(※3)な点は非常に便利。
また、今後広く普及することが予想される高速Wi-Fi規格のWi-Fi 6に対応しており、快適なインターネット利用が可能だ。
※2/2021年12月デル調べ
※3/Type-Cケーブルでの充電は最低4.5Wが必要
②木〜金曜日:光らないからオフィスでも違和感ナシ!マイクミュートボタンはリモート会議で重宝
編集部との打ち合わせのため、木曜日と金曜日はオフィスへの出社日だった。ゲーミングPCといえば鮮やかなLEDで光る派手なイメージだが、Alienware x14はルナライトカラーという白を基調とした落ち着いた配色で、オフィスやカフェなど様々なシチュエーションに溶け込んでくれる。
クライアントとのリモート会議で活躍したのが、キーボードの一番右側に配置された音量調節キーだ。スピーカー(出力デバイス)側の音量調整ボタンとミュートボタンに加え、マイク(入力デバイス)側のミュートボタンも備わっている。会議中、同室の参加者が話す際のハウリングを抑えたい時や、雑音の多い環境化で自分が話さない間はミュートにしたい時などに、ボタンを押すだけでミュートにできるのは非常に便利に感じた。
HDMI2.1だけでなく、次世代規格のThunderbolt4ポートを2つ搭載。ほかにも通常のUSB Type-C、USB Type-A、MicroSDカードスロット、ヘッドセットジャックも搭載している。背面にはこれら全てのポートが背面に集約されているため、配線をスッキリとまとめやすい。ビジュアルにこだわりのあるAlienwareらしい仕上がりといえる。
③土〜日曜日:激しい動きのゲームはもちろん、高精細なゲーム映像も堪能
週末は仕事の息抜きに自宅でPCゲームをプレイ。ゲーミングPCの本領発揮だ。
激しい動きのFPSゲームをプレイしたが、リフレッシュレート144hzのモニターのおかげで、敵の一瞬の動きを見逃すことなく快適にプレイできた。普段私が使っているコンソール機ではマウスとキーボードに対応しておらず、コントローラーでプレイするしかなかった。また、私物のデスクトップPCは経年劣化やマシンスペックの関係上、表示コマ数の設定を上げるとカクつきが発生してしまい、プレイ中にストレスを感じることが多々あった。『Alienware x14』なら、マウスとキーボードを使いつつ高リフレッシュレートの“ヌルヌル”な画面でゲームを満喫できた。CPUに独自の熱伝導素材エレメント31(※4)を使用し熱伝導率を向上していることも、長時間高負荷でもパフォーマンスを維持できる一因のようだ。
一通りプレイして疲れてきたので、ソファでリラックスしながら、美麗なグラフィックの一人用ゲームで息抜きをすることにした。『Alienware x14』は最新鋭HDR技術『Dolby Vision®』に対応しており、私物のモニターよりもはるかに鮮やかな映像美を楽しむことができた。また、『NVIDIA® GeForce RTX™3060』を使用している構成では、レイトレーシング(現実の光の挙動を映像内でシミュレートして反映させる映像技術)に対応していることにより、現実に近いグラフィックでゲームを楽しむことができるという。
サウンド面についても、本体のスピーカーは低音がはっきりと聞こえるようなチューニングがなされているのか、迫力のあるシーンだと臨場感をより強く感じられた。
※4/NVIDIA® GeForce RTX™ 3060搭載構成のみで使用
場所を選ばず、ゲームも仕事もこれ一台で全て解決!
ゲームプレイはもちろん、仕事においても高いパフォーマンスを発揮してくれた『Alienware x14』。さらに持ち運びが可能で、丈夫かつ長時間のリモート作業に耐えうる大容量バッテリーも兼ね備えている、ハイスペックなゲーミングノートPCだ。本格的にゲームを楽しみたい人はもちろん、趣味でゲームを楽しみつつ、仕事でも存分に使いたいという人には最適なノートPCなのではないだろうか。デスクトップから乗り換えを検討しており、外出先での作業も検討している人にはぜひおすすめしたい製品だ。
なお、同系統の製品ラインナップとして、画面サイズがそれぞれ15インチと17インチとなる『Alienware x15 R2』および『Alienware x17 R2』も2022年1月に販売された。より大画面での作業やゲームプレイをしたいという方は、そちらを検討してもいいだろう。
■商品概要(今回使用した構成)
商品名:New Alienware x14
発売日:2022年2月15日
価格:25万7283円~(標準価格 税込31万8130円、割引額6万847円、17%
薄さ:14.5 mm
最大重量:1.841 Kg
バッテリー持続時間:最大 11 時間時間(i7/16G/3060/80Whr HD Video 再生時)
CPU:インテル® Core™ i7 12700H プロセッサー
メモリ:16GB デュアル-チャネル LP-DDR5 5200MHz
GPU:NVIDIA ® GeForce RTX ™3060 6GB
SSD:512GB PCIe NVMe M.2 SSD
ディスプレイ:14.0インチFHD、リフレッシュレート最大144hz
OS:Windows 11 Home
取材・文/すいのこ
1990年、鹿児島県生まれ。プロゲーマー、ライター。本名・桑元康平。鹿児島大学大学院で焼酎製造学を専攻。卒業後、大手焼酎メーカー勤務を経て、2019年5月よりeスポーツのイベント運営等を行うウェルプレイド・ライゼスト株式会社のスポンサードを受け『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズのプロ選手として活動開始。近著に『eスポーツ選手はなぜ勉強ができるのか』ほか、ライターとしても精力的に活動する。