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機械式ムーブメントにLEDの技術を融合させたルイ・ヴィトンの新感覚ウォッチ「タンブール スピン・タイム エアー クァンタム」

2022.03.31

ルイ・ヴィトンの「スピン・タイム」は、12個の回転するアワーキューブで時間を知らせるユニークなタイムピース。新作「タンブール スピン・タイム エアー クァンタム」は、そんな「スピン・タイム」をさらに進化させたハイウォッチだ。

©Ulysse Frechelin

物理学における最小単位、量子(クァンタム)を名前に冠した新作ウオッチ

ルイ・ヴィトンのウォッチ部門マーケティング、およびプロダクト・ディベロップメント・ディレクターのジャン・アルノーは次のように説明する。

「タンブール スピン・タイム エアー クァンタム」について、「特許取得済みの『スピン・タイム』の12年にわたる改良を経て、思い切って前代未聞の技術的挑戦を目指すことにしました。『タンブール スピン・タイム エアー クァンタム』は、ウォッチメイキングの世界において、とてつもない離れ業であるだけでなく、機械式時計とエレクトロニクスの両方の世界の粋を集め時刻の読みやすさとデザインを両立させた、ユニークかつ常識を超える、複雑極まりないハイブリッドウォッチです」

深海生物の生物発光をヒントにした同ウォッチは、「スピン・タイム」表示を内部からライトアップする12個の小さな発光ダイオード(LED)を利用して、ウォッチメイキングにおける芸術性とマイクロエレクトロニクスの科学をシームレスに融合させている。

ウォッチの中央には、複雑機構を専門とするジュネーヴのウォッチメイキングアトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」によって独自開発されたキャリバーLV 68が収まっている。

まるでウォッチケース内に浮いているかのように見えるキャリバーLV 68は、従来の「スピン・タイム エアー」のムーブメントと同様、機械式ムーブメントであり、まったく同じ機能を有する。

しかし、リュウズに組み込まれたプッシュボタンを押すと、アワーキューブが発光。各キューブの上面のフランジ内部に直接配置された小さなLEDの成せる技だ。LEDは、各キューブ内に小さいながらも力強い光線を放ち、キューブが内側から点灯しているように演出する。

そして、極めて重要なのは、イルミネーションを明るく、そして持続して点灯させることが可能な点。プッシュボタンを押し続けている限り、キューブは点灯し続ける。また、プッシュボタンから指を放した後も、イルミネーションは3秒間点灯し続ける。

また、従来の「タンブール スピン・タイム エアー」のキューブは圧延アルミだが、「タンブール スピン・タイム エアー クァンタム」はこれに代わり、ほぼ純粋な二酸化ケイ素でできたガラスである溶融シリカ(石英ガラス)を採用している。

不純物や添加物を無くすには、非常に高い温度での加工が必要であり、より手間と時間を要する製造プロセスとなる。しかし石英ガラスが、光学レンズ、半導体、そしてLEDの光を通す本製品のアワーキューブなどの精密な用途向けに最適の素材である理由は、まさにこうした極めて純度の高い透明度を確保できるからだ。

(C)Ulysse Frechelin

電源部はユーザーからはまったく見えないように設計されている

ダイアルのフランジの下に巧みに隠されているのは、12個のLED(各アワーキューブに1個ずつ)を収めたリング、ならびに集積回路および電源となる2個の電池で構成、設計された精密エレクトロニクスだ。

コンパクトなイルミネーションシステムの創意工夫は、「タンブール スピン・タイム エアー クァンタム」が、直径42.5 mm、厚さ12.3 mmという、標準的な「タンブール スピン・タイム エアー」と同じ寸法を備えていることにも表れている。また、高効率LEDを採用することで、イルミネーションシステムは、電池交換が必要となるまで、毎日6~7回、それを3年間にわたって作動させることができるという。

ユーザーからはまったく見えないように設計された電源とそのメンテナンスは、「タンブール スピン・タイム エアー クァンタム」の開発にあたって考慮すべき重要事項だったという。試行錯誤の結果、LEDの電源はフランジの下に隠された特殊なリングで固定される2つの電池から供給され、ムーブメントの電子部分や機械式部分を傷付けることなく電池交換が可能になった。リューズの底部にあるさりげない点灯リングは、電池残量インジケーターの役割を成し、最終的に電池交換が必要になった時に点滅する。

(C)LOUIS VUITTON

イルミネーション モジュールの先進マイクロエレクトロニクスと好対照をなすのが、ジュネーヴにある「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」で手作業により組み立てられる自動巻きLV 68ムーブメント。

LV 68は独創的かつ現代的にアワーを表示する一方、この創意に富んだ表示を裏で支える原理は極めて伝統的なもので、各キューブの真下には、ムーブメントにおける周期的動作のための古典的な解決法であるマルタ十字機構が配置されている。

「スピン・タイム」のキューブはそれぞれ、1日に2回、1/4回転するが、これを実現するには、瞬時にタイムリーなジャンプを確保するために、時計職人による各キューブのメカニズムの繊細な個別調整が必要だ。しかし、「スピン・タイム」表示は立体的であるため、マルタ十字機構をムーブメントに対して直角に配置するという、何世紀も前の発明へのユニークなひねりが加えられているのだ。

また、伝統的なウォッチメイキングに敬意を払い、「タンブール スピン・タイム エアー クァンタム」のダイアルは、伝統的なハイウォッチメイキングの代名詞を成す技法で飾られている。中央部には、コート・ド・ジュネーヴと呼ばれる平行な縞模様で飾られ、一方、文字盤の下部は、ペルラージュ仕上げが施されている。

だが、「タンブール スピン・タイム エアー クァンタム」のすべてがそうであるように、装飾も伝統的なものにひねりが加えられている。文字盤に模様を施した後で、DLCでコーティングしてから、イエローのスーパールミノバでプリントされたルイ・ヴィトンのモノグラムが上に重ねられているのだ。文字盤の下部も同様にDCLでコーティングされており、ちょうど直角に光が当たると控えめな輝きを放つようになっている。

伝統的な装飾技法は、ダイアルやムーブメントにとどまらず、最高レベルのハイウォッチメイキングの慣例に倣い、すべての構成部品が内側、外側を問わず、極限まで装飾されている。

「スピン・タイム」表示を取巻いているのは、12個のアワーインデックスがセットされたマット仕上げのフランジで、アワーインデックスには1つ1つ、先端がダイヤモンドの工具で入念に彫刻が施されている。奥まっているにも関らず、インデックスは表面が鏡面仕上げになっており、角度によってはアップリケのようにも見える。

ハイウォッチメイキングの技法は、DLCコーティング仕上げのケースの外側にも見て取れる。チタン製のケースは表面に繊細な艶消し加工が施されており、ベゼルの縁、ラグのエッジも、鏡面仕上げの面取り(別名アングラージュ)でアクセントが付けられている。これはハイエンドムーブメントの場合と同じ仕上げだ。

一方、ダイアルの基調を成す現代的なスタイルを引き継ぎ、ケースもDLCでコーティングされ、艶消しマットの表面と、光を反射する光沢仕上げのアングラージュが織りなすコントラストを強調するチャコール仕上げに。光は常に、時の美を演出する鍵となっている。

「タンブール スピン・タイム エアー クァンタム」

(C)LOUIS VUITTON

参考価格:10,750,000円(2022年3月23日現在)

ムーブメント

・キャリバーLV 68:「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」で開発、組み立てられた、自動巻き機械式ムーブメント
・機能:スピン・タイムディスプレイによる時、分
・転写された表面と、各エッジ上をつや消しすることで光の拡散を最適化させた、レーザー技術でカットした石英ガラスキューブ
・部品数:95
・パワーリザーブ:35時間
・振動数:28,800振動/時
・石数:26
・オンデマンドによるイルミネーションデバイス(部品数:103)
 -ケースに搭載された2つのハイドレインバッテリーによって稼働する電子基板
 -キューブを照らす12枚の高品質光学ガラスレンズによって光が集束される12個のLED
 -リュウズに搭載されたプッシュボタンにより点灯
 -点灯時間:約3秒
 -リュウズの底部に搭載されたサファイアクリスタル製の電池残量インジケーター

ケース

・ブラックDLCコーティングを施したチタニウムのケース
・ケース径:直径42.5mm
・厚さ:12.3mm
・反射防止加工サファイアクリスタル
・防水:50m

ダイアル

・スーパールミノバ処理を施したダイアルと分針

ストラップ

・ブラックDLC加工を施したステンレススティール製のアーディヨンバックル

ボックス

・ハイウォッチメイキングトランク

関連情報
https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/homepage

構成/立原尚子

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