かつて、カール・ゴッチというプロレスラーが存在した。
ゴッチは組み技のプロフェッショナルであると同時に、優秀なトレーニングコーチでもあった。特に「トランプトレーニング」は日本のプロレスラーの間で広く普及した。
この記事では、伝説のプロレスラーが開発したトレーニング法で弛んだ身体を何とかしよう! ということで解説していきたい。
トランプを使った筋トレ
カール・ゴッチはオリンピックにも出場した「本物のレスラー」である。
レスリングは、ゴッチの命そのものだった。
しかしあまりにもストイックな姿勢はアメリカでは受け入れられず、ゴッチは「融通の利かない前座レスラー」という評価を下されてしまう。
が、それとは対照的に日本では「プロレスの神様」として受け入れられた。
そんなゴッチが日本の若手レスラーたちに伝授したのが、トランプを使うトレーニングだ。
これは裏にして積み上げた52枚(ジョーカーは予め除く)のトランプを、上から1枚ずつ引く方法。
たとえばスペード=腕立て伏せ、ハート=スクワット、ダイヤ=腹筋、クラブ=バービーと設定する。
引いたカードがハートの4だった場合、スクワットを4回こなす。次に出たカードがダイヤのKだとしたら、腹筋13回。
つまり出目とスートに合わせたトレーニングをその都度行うのだ。
何が出るかは運次第。もしかしたらスペードのA(腕立て伏せ1回)かもしれないし、逆にスペードのK(腕立て伏せ13回)の可能性もある。
同じトレーニングが何度も立て続くことも、案外頻繁に起こる。
結構大変だ!
なぜ同一のメニューをまとまった数やらないかというと、レスリングは展開の早い競技だからだ。
立った状態で相手と向き合っていると思ったら、その1秒後に寝技の姿勢になっているかもしれない。
だからこそ、それぞれ異なる動きのトレーニングをモザイクのように差し込んでやる必要がある。
これを52枚全て消化すると、ひとつのメニューにつき91回。運動初心者が迂闊にやると、かなり大変だ。
そして何と、このトランプトレーニングはスマホアプリになっている。
筆者のiPhoneにも『カール・ゴッチ流 トランプトレーニング』というアプリがインストールされている。
これは画面をタップすることによりカードがめくれていく仕組みで、やるべきトレーニングの内容と回数も表示される。
「ハートはスクワットだっけ? 腕立て伏せだっけ?」と失念する心配もなくなる。これは便利だ!
器具は必要なし!
もちろんメンズビューティーはみんなでプロレスラーを目指すメディアではないから、このトランプトレーニングもガチでやる必要はない。
とりあえず、20枚を目標にしてはどうだろうか?
出目にもよるが、それでもゴッチ流トレーニングを20枚までこなすと汗が吹き出るはずだ。
それだけやったら一度リセットして、小休止の後にまた20枚……という感じでやってみよう。
ゴッチはダンベルやバーベルを使ったウェイトトレーニングを好まなかった。
「それで身につく筋肉はレスリングに向かない」という理由である。故に彼の考案したトレーニングは、遠征先のホテルの部屋でも手軽に実施できる。
東京都は再び緊急事態宣言を発出するが、ゴッチ流トランプトレーニングは自宅でできる肉体改造法だ。
また、上記のアプリは自分の目標に応じてスート毎のメニューを書き換えることができる。とりあえず週3回、このアプリを使って筋肉を刺激しよう!
取材・文/澤田真一