コンタクトレンズは外すときこそ要注意!
空気が乾燥する季節は、長時間コンタクトレンズを装用していると、目が乾いてしまいがち。
防御策として、頻繁に目薬(防腐剤無添加の人工涙液がオススメ)をさす方は多いが、盲点はコンタクトレンズを外すとき。
レンズが乾いていると眼球への貼り付きが強まり、力を入れて外すと、ベリッと剥がれるような感触に。
これ、じつは眼球表面にとても負荷をかけていて、最悪、結膜下の小さな血管が破れ、白目部分がベッタリ赤く染まることもあるのだ。これを『結膜下出血』という。
じつは筆者、結膜下出血(上の画像)になってしまって。あえてボケボケの画像にしたのは、ピントが合うとグロさが増してしまうから……。
筆者、コンタクトレンズを外す前には、いつもは目薬をさし、乾燥を和らげている。だが、その日は疲れきっていて、帰宅後、急いで外したら、ベリッと剥がれるような嫌な感触。
しばらくして洗顔時に鏡を見たら、右目の白目が赤く染まっていてビックリ! 痛くもかゆくもないのだが、心配なので、翌日眼科で診てもらったわけだ。
見た目にインパクトのある出血なので、ビジネスシーンで先方に心配されたり、動揺されたりすることもあるだろう。結膜下出血にならないためにも、眼科医に教えてもらったことを記述していこう。
結膜ってどの部分?
正面から見える目の表面は、黒目の部分は角膜、白目の部分は強膜(きょうまく)という、1枚の膜で覆われている。
このうち、白目の部分はさらに膜で覆われており、それを眼球結膜という。眼球結膜は目の奥で反転し、上下のまぶたの裏側まで覆っている。
まぶたの裏側の膜は、眼瞼(がんけん)結膜という。
角膜は血管を持っていないが、結膜には大小の血管が多数存在している。
結膜下出血の症状
●出血の程度
結膜に存在する大小の血管が破れて、結膜の下に出血が広がる。小さな点状のものから、斑状(はんじょう)、時に眼球結膜全体を覆う広範なものも。また、血腫(けっしゅ)をつくることもある。
●自覚症状
通常の出血では、ほとんど痛みやかゆみ、目ヤニなどの症状は伴わない。また、目が見えにくくなったり、視野が狭くなることもなし。万一、これらの症状を伴う場合は、必ず眼科医の診察を受けよう。
●症状の経過
普通、1~2週間で自然に血液が吸収され、いつもの白目に戻る。中には2~3ヶ月かかる場合もあり。その間、コンタクトレンズ装用は可能だという。
ただし、眼外傷(がんがいしょう)の後、結膜下出血が長引くようなら、すぐ眼科を受診すべき。
眼外傷とは、鋭利なものや金属片などで目が傷ついたり、ボールや転倒などで眼球の最も弱い部分が傷つくこと。正式には穿孔性(せんこうせい)眼外傷という。これらはすぐに治療が必要。
※穿孔=穴があくこと
結膜下出血の原因と治療
●眼外傷、手術によって起こる
穿孔性眼外傷は、感染の予防などのため、直ちに穿孔部を閉じる必要がある。なかなか消えない結膜下出血は、穿孔性眼外傷が隠れている場合があるので、眼科医に相談を。
●急性結膜炎に伴って起こる
急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎などで起こる。この場合は、痛みや目ヤニ、涙が増えるなど、他の自覚症状あり。眼科の診察を受け、他の人にうつさないよう十分注意して。
目がゴロゴロしたり、流涙(りゅうるい)の原因となる結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)があると、結膜下出血を起こしやすくなる可能性が。
●全身性疾患で起こる
繰り返し結膜下出血が起こる人は、動脈硬化、高血圧、糖尿病、出血性素因(貧血、白血病、紫斑病など)、腎炎の疑いがある。内科で異常がないか調べてもらおう。
ほとんどの場合、結膜下出血が起こった後に、眼底出血が起こることはない。しかし、上記のような疾患が原因の場合は、眼底出血が起こり、失明することもあるので注意しよう。
●原因不明のもの
誘因がはっきりしないことも多い。くしゃみ、過飲酒、月経、水中メガネの締めすぎなども誘因と考えられる。
【豆知識/出血と充血の違いとは?】
出血は血管が破れて血液が出たもので、血管の走行は見えない。一方、充血は細かい血管が拡張した状態をいう。
取材・文/ウェルネス・ジャーナリスト 藤田麻弥
雑誌やWebにて美容や健康に関する記事を執筆。美容&医療セミナーの企画・コーディネート、化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンス(科学的根拠)のある情報を伝えるべく、医学や美容の学会を頻繁に聴講。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研プラス)がある。