リンスとして酸性のビネガーを使い、phをコントロール
自分が子供だった頃、まだヘアケア製品が今のように進化しておらず、髪の毛を洗うのはシャンプーだけだった。中には、シャンプーすら使用せず、体を洗うついでに、そのまま石けんを使っている人もいる時代だった。
現代でこそ、自然素材の洗浄成分を使い、弱酸性でやさしい洗い上がりのヘアケア製品があたり前だが、当時は、毎日、風呂やシャワーで髪を洗うという習慣が根づいておらず、男子に至っては、リンスをするという意識すら芽生えていない、頭皮と髪にとっては、まさに悪夢のような暗黒時代だったといえる。
今、振り返ると、昭和あるある話なのだが、海外に目を移すと、なんと、フランスでは、シャンプーが登場する以前から、アルカリ性で洗浄成分が強い石けんで髪を洗った後は、頭皮と髪を引き締めるために、リンスとして酸性のビネガーを使い、phコントロールをしていたそうだ。
そんな昔からの知恵を現代に引き継ぐ製品が、日本で発売された。
本邦初登場のフランス発ボタニカルビューティケアブランド、『YVES ROCHER(イヴ・ロシェ)』の『リンシングビネガー』だ。
『イヴ・ロシェ リンシングビネガー』(軽やかネトル)150ml、 1000円(税別)。
その名のとおり、ビネガーと、テキーラの原材料としても知られる植物、アガベから抽出した保水成分を配合し、先人たちの工夫を現代のヘアケアにマッチした製品へと昇華させたものだ。先行発売した韓国では、その効果とプチプラ的なお買い得感も相まって、大ヒットを記録したそうだ。
今回も実際に使ってみた
リンシングビネガーには、ラズベリーのエキスと香りを加えた「さらキララズベリー」と、ネトル(セイヨウイラクサ葉エキス)を配合した「軽やかネトル」の2種類があるが、男子にも使いやすい「軽やかネトル」をチョイス。
テクスチャーは、ほとんど水(?)、といっていいくらいさらっとした液体。ビネガーっぽい匂いは一切しない。
これをシャンプー、コンディショナーをした後に、頭皮へと直接振りかけ、軽くマッサージしながら、髪全体になじませる。使用感としては、ボタニカル系のシャンプーやコンディショナーを使っているときと同様に、髪に力強さや張りを感じさせるイメージだ。
最後に洗い流して終了となるが、敏感な人は、その瞬間に、ほんのりビネガーの香りを感じるかもしれない。
この時点では、他のボタニカル系やオーガニック系ヘアケア製品と、特段変わらない印象だったが、この製品の本領は、この後、髪を乾かしたときに発揮される。
ドライヤーで髪と頭皮を乾かすと、通常よりも、頭皮と髪の毛が引き締まって、毛根がしっかりと立ち、髪の毛1本1本が、まるでコーティングしたかのように、さらりとした仕上がりとなった。
ボタニカルを謳う製品で、このような効果を実感したことはあまりない。これがビネガー効果なのか、それとも製品のトータルパフォーマンスなのかはわからないが、ほかにはない特筆すべき効果といえる。しかもこれが、プチプラレベルで手に入るというのは、もはや反則級だ。
乾燥や汚れ、寒冷ストレスなどで、頭皮のphバランスが崩れがちなこの季節にこそ、ぜひ使って欲しい製品といえる。
取材・文/TOSHI.ヒロシ