砂糖が効いた甘いものを食べると太るのか、ブドウ糖をたくさん摂取すれば仕事や勉強の効率が上がるのか、など普段なんとなく感じる糖への疑問。
糖質制限ダイエットの登場によって糖に関する情報がガンガン溢れているわけだが、そもそも「糖」とは何かということについて、体系的に理解されている方は少ないのではないだろうか。そこで今回はこの甘く人々を魅了する「糖」についてお話しよう。
炭水化物の中の糖質の中にあるのが「糖類」!
そもそも糖とは何かというところから話を始めよう。お米や麦などの炭水化物は、糖質と食物繊維で構成されている。糖質はデンプンを含む多糖類やオリゴ糖を含む少糖類そして、「糖類」などに細分化されるのだ。「糖類」は単糖類と二糖類の総称であり、今回はこの「糖類」について詳しく見ていく。
ブドウ糖や果糖を含む単糖類は糖が分解され尽くした最小の分子で、それ以上分裂できない状態のもの。特徴としては吸収がとても早く、エネルギーになりやすいが血糖値も上がりやすい。
ショ糖、麦芽糖などの二糖類は2つの異なる分子がくっついて結晶を作っているので、分解して単糖類にしないと吸収できないため、吸収されるのには時間がかかる。以上の特性をふまえて、それぞれの糖についてもう少し細かく見ていこう。
ブドウ糖(別名:グルコース)
果実、ハチミツなどに含まれる単糖類で、味は砂糖に比べて爽やかめ。血液中にも0.1%程度存在し、全身のエネルギーとして利用されたり肝臓や筋肉でエネルギー貯蔵体であるグリコーゲンに変わり蓄えられたりしている。中でも脳は、ブドウ糖を唯一のエネルギー源としており、人が生きていく上で非常に重要な栄養素となっている。
ブドウ糖は果糖に比べて体のエネルギー源にすぐ変換されるので、血糖値をすぐに上昇させ、体内のエネルギーとして利用できる。しかし、血糖値を下げるインスリンが分泌され、余ったら中性脂肪(体についたぶよぶよ贅肉)となるので、とりすぎには注意したい。ちなみに、ブドウ糖が不足すると「低血糖症」になってしまうこともあるのでダイエット中や食生活が乱れている時は要注意。
果糖(別名:フルクトース)
果糖は果物やハチミツなどに含まれ、強い甘みがあり、冷やすと甘みが増すという特徴がある。また、吸収・消費が緩やかで、血糖値の上昇もゆるやか。だが、果糖はブドウ糖とは違い、インスリンの分泌が促進されないため満腹感を感じづらくなり、過剰に摂取しすぎて肥満の原因につながることも。
ちなみに果物には果糖が含まれているが、適量食べる程度なら問題はない。果物には果糖だけでなくブドウ糖などの糖類、ビタミン、ミネラル、食物繊維など多くの栄養成分も含んでいるので適量であればむしろ体にいい。例えば、バナナの果糖を含めた糖質量は100g中21.4gと他のフルーツに比べ多く含まれているが、塩分を排出するカリウムも多く含まれており、塩っ気の多い食生活を送る日本人にとって嬉しい働きを持っていたりするのだ。
ショ糖(別名:スクロース)
ブドウ糖と果糖が結合したもので、調味料の白砂糖のことを指し結晶が大きくなれば梅酒づくりに欠かせない氷砂糖になる。サトウキビやてん菜(ビート)などの植物から抽出でき、腐敗や品質劣化の極めて少なく賞味期限がないのも特徴。ただし、湿気た所に置いておくと固まることも(ほぐせば大丈夫)。血糖値はブドウ糖と比べやや上がりにくい。
麦芽糖(別名:マルトース)
ブドウ糖が2つ結合したもの。甘味はショ糖よりも劣るものの、旨みが強いのが特徴で水飴の主成分。トウモロコシやじゃがいものデンプンなどから作られていて、ビール作りに欠かせない糖でもある。人間は、デンプンを消化するときデンプンを麦芽糖に分解して、その麦芽糖をブドウ糖に分解して、小腸で吸収するという方法をとっているので麦芽糖は、意外と身近な存在なのだ。
ショ糖や麦芽糖のような二糖類は体内で分解され、ブドウ糖と果糖という単糖類として吸収される。いずれも過剰摂取は肥満の元になるとは言え、一般的な食べ物から摂取する糖類は健康的な生活をする上で必要な栄養素でもあるので「糖類」の特徴を理解した上で上手に付き合っていくことが大切だ。
文/荒井慎一郎