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住宅ローンを完済した後、抵当権登記を抹消せずに放置するとどうなる?

2022.04.01

住宅ローンを完済した場合、基本的にはその時点で、債権者である金融機関の抵当権登記を抹消しておくことが推奨されます。しかし、面倒くさい・費用がかかるなどの理由から、抵当権抹消登記手続きをせずに放置する方もいらっしゃるかもしれません。

抵当権登記を抹消しないと、物件売却の際に支障が生じるため、早めに手続きを行っておきましょう。

今回は、住宅ローンの完済後に抵当権登記を抹消しないことのデメリットや、抵当権抹消登記手続きの費用・必要書類などをまとめました。

1. 住宅ローンの完済後、抵当権登記を抹消しないとどうなる?

住宅ローンの完済後、抵当権登記を抹消しないで放置していると、物件の売却や相続の際に支障が生じてしまいます。

1-1. 抵当権登記が残ったままでは、物件を売却できない

抵当権登記が残ったままの物件を、そのまま買ってくれる人は基本的にいません。

抵当権が実行されると、せっかく物件を買っても所有権を失ってしまいます。そのため買主は、抵当権が設定されていないことを事前に確認することが必要です。

抵当権の有無は、登記簿の内容から確認できます。その際、抵当権登記が抹消されていないと、登記簿上は抵当権がまだ存在するかのように表示されるため、買主の信用を得ることはできないでしょう。

また、買主がローンを借り入れて物件を購入しようとする場合には、融資審査の段階でも、購入予定の物件の抵当権登記が残っていないか(残っているとしても、決済直後に抹消される予定であるかどうか)がチェックされます。

金融機関は、買主が購入した物件に抵当権を設定するため、先に他の抵当権が設定されていては困るからです。

上記の理由から、抵当権登記が残ったままの状態では、物件を売却することはできません。したがって、将来的に物件を売却する可能性があるならば、いずれは抵当権登記を抹消する必要が生じます。

1-2. 時間が経つと抹消の手続きが複雑化するおそれがある

抵当権登記の抹消は法律上の義務ではなく、期限も特に設けられていません。

したがって、所有者の都合がよいタイミングで手続きを行えばよいですが、住宅ローンの完済から時間が経つと、手続きが複雑化して手間が増えるおそれがあります。

例えば、抵当権者である金融機関が合併した場合、抵当権抹消登記手続きに必要な登記原因証明情報(弁済証書や解除証書など)の発行を受けられなくなるかもしれません。

また、抵当権者が個人の場合は、死亡や認知症などによって登記原因証明情報の発行を受けられなくなることも想定されます。

上記のような事態が生じ、抵当権登記抹消の手間が増えないうちに、早めに手続きを行うことをお勧めいたします。

2. 抵当権抹消登記手続きに必要な費用

抵当権抹消登記手続きに必要な費用は、主に「登録免許税」と「司法書士費用」の2つです。

2-1. 登録免許税

法務局に抵当権抹消登記手続きを申請する際には、登録免許税を収入印紙で納付する必要があります。

抵当権抹消登記手続きの登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。

土地と建物は別の不動産なので、土地・建物両方の抵当権抹消登記手続きを申請する場合、登録免許税は2,000円となります。

抵当権抹消登記手続きの登録免許税の上限は、申請1件につき2万円です。したがって、不動産20個以上の抵当権抹消登記手続きを同時に申請する場合、登録免許税は一律2万円となります。

なお、抵当権設定時から所有者の住所が変わっている場合は、抵当権抹消登記手続きと併せて住所変更登記手続きも申請する必要があります。

住所変更登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です(土地・建物両方の場合は2,000円)。

2-2. 司法書士費用

不動産に関する登記手続きは、司法書士に依頼するのが一般的です。その際、司法書士費用が発生します。

抵当権抹消登記手続きを司法書士に依頼する場合、司法書士費用は5,000円から1万5,000円程度が標準的と考えられます。なお、住所変更登記手続きを併せて申請する場合、追加で1万円前後の司法書士費用が発生します。

3. 抵当権登記の抹消は自分でもできる?必要書類を紹介

抵当権抹消登記手続きの申請は、所有権保存・移転等に比べるとシンプルなので、必要書類を揃えられれば、司法書士に依頼せず自分で行うこともできるかもしれません。

抵当権抹消登記手続きの必要書類は、以下のとおりです。

①登記申請書

以下の法務局ウェブページから、様式と記載例※をダウンロードできます。
※「15)抵当権抹消登記申請書」の箇所を参照

②登記識別情報または登記済証

登記識別情報を記載した書面は、封筒に入れ、封をして提出します。封筒には、抵当権者の氏名・名称と抵当権抹消の旨を記載し、「登記識別情報記載書面在中」と明記します。

登記済証は原本が必要です。登記完了後に返却されます。

③登記原因証明情報

抵当権者が作成した弁済証書や解除証書などです。

④資格証明情報(抵当権者が会社・法人の場合)

代表者の資格証明書または会社・法人の登記事項証明書です。申請前3か月以内に作成されたものが必要となります。

⑤代理権限証明情報(代理人申請の場合)

委任状などです。

司法書士や近親者などに代理申請を依頼する場合に必要となりますが、所有者本人が申請する場合は不要です。

司法書士に依頼するにしても、自分で申請するにしても、住宅ローンの完済後は、早めに抵当権抹消登記手続きを行っておきましょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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