画材は“鉄板”と“錆”。独自の技法で描かれた神秘的なアートが話題
金属製のやかんや鍋を使っていて、底が虹色に変色してしまったという経験はありませんか?
ステンレスの調理器具には酸化皮膜と呼ばれる薄い膜が張られていて、使用するうちにこの酸化皮膜に微量の鉄分や銅などが付着し、虹色に見えるといいます。
さて今回ご紹介するのは、そんな「酸化被膜」や「錆」を画材に変えて絵を描く、一風変わったアーティスト。鉄板をキャンバスに独自の世界観を表現する鉄錆師・YASUKA.M(@YASUKA_Martwork)さんの作品をご覧ください。
鉄の絵
【永遠(とわ)の春】
YASUKA.Mさんの作品は全て「鉄」でできた絵。1枚の鉄板の地肌と錆の濃淡のみで表現されています。
【眩- Kurara – 】
着色を一切行わず鉄板に直接化学反応を起こして制作されるという作品たちは、信じられないほど色鮮やかで繊細で、そしてとても幻想的。
【淡夜】
そこには、デジタルにもペイントにもない無二の魅力が存在しているように見えます。
【ひとつ – Oneness – 】
彼女が紡ぎ出す世界観と独自の技法を用いられたニュースタイルのアートは、SNSで見かけた多くの人たちを虜にしています。
素材の美しさに魅せられて
大学時代は彫刻を学び、様々な素材に触れるうちに素材自体が持つ美しさに強い感銘を受けたというYASUKA.Mさん。鉄を使った現在の制作スタイルにたどり着いたのは、日本古来の製鉄技法である「たたら製鉄」について調べたことがきっかけだったそう。
【幸福の音 – The Sound of Blessing – 】
「木が好きで木彫を専攻していたのですが、ある時どうしても木と鉄を融合させた作品を創らなければいけないような気がして。この2つの素材の関係性を調べた際に、たたら製鉄では山から取れる砂鉄と伐採した木々から鉄を創っていたということを知り、そこから構想を練って現在の技法を編み出しました。」(YASUKA.Mさん)
スタイルが確立した今でも、新色の研究など素材の可能性を追求し続けているといいます。
【A blue bird】
鉄という素材が持つ美しさに着目し、その魅力を引き出す表現を模索し続ける新進気鋭のアーティスト・YASUKA.Mさんをご紹介しました。
■YASUKA.M – 鉄錆師 -(@YASUKA_Martwork)さん
鉄板に錆と酸化被膜で絵を描いてます。
■ツイッター https://twitter.com/YASUKA_Martwork
■インスタグラム https://instagram.com/yasuka.m/
■YouTube https://youtube.com/c/YASUKAM
■ウェブサイト https://yasuka-m.net
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.