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「花が持つ本来の美しさを見つけて、生かし、表現する」華道家・加藤数馬さんの仕事術

2022.05.28

加藤数馬さん花と向き合った瞬間から、周囲の空気が張り詰める。15年以上のキャリアを持つ加藤さんでさえ、時に全く手が動かずに生けることができないことがあるという。

突然だが『IKENOBOYS』をご存じだろうか? 華道家元池坊のイケメン(花を生けるメンズ)集団だ。その人気メンバーのひとり、加藤唯華こと加藤数馬さんに「道」の世界を案内してもらった。

仕事で魅せられた引き算の美学

『華道家元池坊』、その起源は室町時代にさかのぼり、六角堂(頂法寺)住職である池坊の名が生け花の名手として初めて記されたのが寛正3年(1462年)という記録が残っている。

 華道とは、生け花を茶道や香道などのように〝道〟として捉えたもので、加藤さんらIKENOBOYSはパフォーマンスやワークショップを通じて、伝統文化である華道の魅力を次世代へと発信している。そもそも加藤さんがこの道へと進んだきっかけは、学生時代にアルバイトをしていたフラワーショップが花との最初の接点だという。

 いくらアルバイトとはいえ、花の名前を覚えることに始まり、お客様の要望やアレンジに応えるために自ずと華道の世界へと歩みを進め、水が合ったのか大学卒業後に同店へそのまま就職することになる。これは後になって気づいたことらしいが、加藤さんの祖母も曽祖母も生け花を嗜んでいたそうで、今になって振り返ってみればこの道に大きな縁を感じるという。「生け花は引き算の美学といわれています。『一輪にて数輪に及ぶならば、数少なきは心深し』という言葉があるのですが、これは満開の華やかな花々よりも、一輪に思いを込める華道の精神が語られています。生け花は、自分が一番見せたいものが何かを追求するもので、考え方は非常にシンプルです」

 花を生けることは飾り物を作る側面だけでなく、花の命をいただいて自由に生かす意味があると加藤さんは話す。動物をありがたくいただいて料理に生かすように、空間を彩ることで花の命をいただく。日本人は昔から花とそんな関わり方をして持続可能な社会に向かって自然と接してきたはずだと。

生け花は舞台であり自己表現のひとつ

 また、最近殊に日本の文化を見直し始めている人が増えているように感じるという。ワークショップやフラワーショップの経営を通じて、花に触れる機会を求める人が増えてきているそうだ。だが、生け花という言葉を知っている方は大勢いても、実際のところは何なのかを知っている人はごく僅か。お花を飾ってきれいでよかったね、は華道の入り口としては十分だが、いざ稽古となると花がきれいなのは当たり前で、それをどう生かすかが課題になってくる。生け花は100%自分の意思だけで作品を作ることはしない。

 なぜなら、花は生きているから。生きているから自然な枝の流れがあり、自分は曲げたいからといって強引に流れを変えることは池坊では認められない。花が持つ本来の美しさを見つけて生かし、表現することが植物との関わり方だとされている。

「生け花は、自分の舞台であるし、自己表現のひとつです。自動車にも言えることだと思いますが、何かを作り出すことは自己表現だと考えます。花を人様に提供するのも自分の中のひとつの表現、自分のアイデアにどれだけの人が共感してくれるか? 

 それに対して、お客様は花を買ってホッとしてくれるのか、さらに一歩踏み出して自分でも生けたいと思うのか? 自分がどう動くかが重要です。仕事も自分の舞台であり、その舞台で自分を生かすにはもっと勉強しないといけない。このスタンスはずっと崩さないでいきたいですね」

 実は、加藤さんは華道家、フラワーショップ経営者のほか、華道を取り入れた社員研修を行なう起業家の顔を持つ。ある研修では、生け花の予備知識が全くない方々に生けてもらった。花のいいところは、ちょっとしたコツを覚えるだけで誰もが作品を仕上げられること。絵を描いたり、彫刻したりするよりも実にハードルが低い。

 ここに池坊が生け花を伝統芸術ではなくて伝統文化と呼ぶ所以がある。毎日ではなくとも3日に1度は花を生ける。料理と同じように毎食腕を振るうのは大変だが、時には手を抜く機会があってもいい。文化だからこそ、そういう側面があってもいいと加藤さんは言う。

「研修には、新入社員の方も部長クラスの方も参加されます。最初はガヤガヤしていますが5分もすると皆、真剣です。花を生けることは自分と向き合う時間になるのですが、社会に出てしまうと忙しくて自分と対峙する時間を取ることすら難しい。生け花を始めたことで自分を見つめ直すきっかけができたことを喜ぶ方も大勢います」

 生け花は、今の自分がそっくりそのまま作品に反映されるもの。自分をよく見せようとすれば作品にも表われる。加藤さんのお師匠さんも作品を見て、今がどういう状態か理解してくれて、あえて今日は何も話さない日、今日は小言を言う日、などと的確に指導してくれる。これが日本の「道」のおもしろさだと加藤さんは実感している。

EVならではの新しさを見せつけてほしい

 いつも、ワクワクしていたい。それが華道や仕事、プライベートでもさらなる高みを目指す加藤さんの原動力だ。このインタビューをした時は、木地師なる広葉樹の木を伐採し、盆や椀などを作る職人の世界に触れるワークショップに取り組んでいた。闇雲に伐採して消費するのではなく、木を切ることで新しいものを生み出す発想に、改めて深い学びと楽しさを感じたという。さらに、ワクワクの源には趣味のクルマも含まれる。

「ドイツツーリングカー選手権(DTM)に参加していた白と黄色のオペル、今でも覚えています。100年を超える歴史あるブランドなんですね。これまでドイツの自動車は保守的なイメージ、オペルのデザインはオリジナリティーがあって、歴史があるのに歩みを絶えず進めている攻めの感覚を覚えます。池坊の歩みと重なる部分も少なからずありますね」

 クルマは自由を手に入れるための翼、可能性を広げてくれる最高のパートナーだと公言する加藤さん。これまで国産スポーツセダンを乗り継ぎ、現在は花を運んだり趣味のキャンプ道具を積める軽4駆にハマっているという。EVは気になるが、どうせなら環境に配慮しつつクラッチを残して運転の醍醐味を味わうことができるような新しさを見せつけてほしいと話す。

加藤数馬さん

雅号「唯華」の名が刻印された花ばさみは、大切にしているもののひとつ。花器や香炉にもそれぞれに深いこだわりを持っている。

加藤数馬さん

ヒペリカムとオクロレウカ、カラーを使って生けてくれた作品。太陽の光を受けているかのようなオクロレウカにエネルギーを感じて。

花が持つ本来の美しさを見つけて、生かし、表現する。

加藤数馬さんPROFILE

好きな花はオダマキ、キキョウ、かきつばた。座右の銘は「段取り八分と出たとこ勝負」。趣味はキャンプ、アウトドア。特技は、英会話、サバイバル。アニメ『TSUKIPRO THE ANIMATION 2』に登場した人気華道家・栗谷創玄のモデル。東京清祥会支部所属。

取材・文/堀田成敏 撮影/福永仲秋

160年の歴史を持つオペルのすべてがわかるブランドMOOK「&OPEL 未来を創るクルマ。」発売中

 1862年の誕生以来、不断の進化によっていつの時代も時代も最先端のポップカルチャーであり続けたOPEL。そのブランドDNAとその魅力を、チーフデザイナーへのインタビューや歴史的名車の検証などをもとに解き明かすムック本「&OPEL」が発売されました。

 ドイツの自動車メーカーOPELは、160年の歴史を持つ老舗ブランドです。日本との縁も深く、戦前から輸入され、2006年までは日本国内でも販売されていたので、ご存じ方はもちろん、実際に乗った/所有したことがある方も多いのではないでしょうか。

 そして今、OPELが再び、日本に上陸するといわれています。今度、日本にやって来るOPELは、私たちがしばらく見ないうちに、すばらしくモダンで、ポップな佇まいに変身していました。ドイツ車としての信頼感と堅実さはそのままに、ガジェット感あふれるデザインやカラーリングからは、「どんな人生を愉しみたい?」と、クルマが語りかけてくるようです。そんな、ニュー・ジャーマン・カーで実現するライフスタイルのテーマは「リラックス」。

 本書では、暮らしをアップデートするモダンジャーマンなクルマづくりの魅力を、160年の歴史とともに余すところなく、紹介します。

160年の歴史を持つオペルのすべてがわかるブランド大図鑑

『&OPEL(アンドオペル) 未来を創るクルマ。』

定価1650円(税込)A4変形判/132ページ

小学館刊

https://www.shogakukan.co.jp/books/09104254

■本書のコンテンツ紹介

PART 1  OPELが提案するRELAX LIFE

●人気モデル「CORSA」「MOKKA」「GRANDLAND」徹底解剖!

PART 2 PopFuture OPELの秘密

  • チーフデザイナー・Mark Adams インタビュー
  • ファッションデザイナー・Marcel Ostertag インタビュー
  • 「ASTRA」「MANTA」「COMBO LIFE」最新モデルの魅力
  • OPELと相性抜群のライフスタイル名品セレクション

PART3  Just like an OPEL

  • 注目のクリエイターが語るNEW OPELの魅力
  • アンバサダーを務めるリバプールFC監督・ユルゲン・クロップ氏とOPEL

PART 4   ドイツから特報!元気なOPEL

  • MOKKA」「CORSA-e」「GRANDLAND」現地試乗レポート詳報
  • オペルCEO Uwe Hochgeschurtz氏インタビュー

PART 5   Republish of Historic car impression

革新的な挑戦を続けてきた自動車ブランドOPELの歴史

  • 老舗自動車専門誌の編集者が語るOPELの魅力
  • OPEL in Motorsports
  • CORSA」「ASTRA/KADETT」「VECTRA」「OMEGA」「SPEEDSTER」「GT」「MANTA」「CALIBRA」「ZAFIRA

PART6 「OPEL」 Square

  • FUN collection
  • OPEL FUN in Japan
  • OPEL Engineering History
  • Logo transition of OPEL
  • OPELディーラーの斬新なCI

【オンライン書店で購入する】

Amazonで購入する

www.amazon.co.jp/dp/4091042546

楽天ブックスで購入する

https://books.rakuten.co.jp/rb/16892406/?l-id=search-c-item-text-02

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