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家庭内でウイルス残留数の平均値が高い場所TOP3、3位玄関外のテンキー、2位玄関内の消毒剤、1位は?

2022.03.23

新型コロナウイルス感染症感染予防のために、毎日帰宅後はすぐに手洗い、を徹底している人も多いだろう。しかしそこには意外な盲点があるようだ。ライオン株式会社と筑波大学の共同研究の結果、特に子どもがいる家庭は注意したい家庭内の意外な感染リスクのある行動が明らかになった。

「家庭内接触感染リスクの可視化」研究の結果

今回取り上げる共同研究は、新型コロナに関してAI等を活用した感染拡大の早期探知等などに関連するデータ収集・分析やシミュレーションの実施など、さまざまな研究結果が公表されている内閣府の「COVID-19 AI・シミュレーションプロジェクト」上で公開されている。

本研究では、家庭内接触感染リスクの可視化のために、アンケート調査や行動調査、Aiシミュレーション等が行われた。

●帰宅後の行動動線に関する家庭内の生活者行動調査結果を見ると…

家庭内の生活者行動調査では、書面調査とモニタリング調査の2つの調査が実施された。

書面調査の対象者は、20~69歳の生活者 10,000名で、時期は2021年7月、インターネット調査で「帰宅後の手洗い行動について」を尋ねた。

モニタリング調査の対象者は、一般家庭3世帯、時期は2021年8~10月、ビデオ撮影による観察調査で、「自宅に帰宅してから手洗いするまでの実際の行動把握」が行われた。

書面調査によると「帰宅後、手を洗う」と回答した人は約9割だった。ところが、実際に家庭内の様子を観察するモニタリング調査では、実は手洗い前にリビングやキッチンなどに立ち寄っている、という実態が明らかになったのだ。子どもだけでなく、大人も、手洗い前に色々な場所に触れていることもわかった。

●帰宅後行動のシミュレーション結果

帰宅後、家庭内にウイルス(インフルエンザウイルス)が持ち込まれた際の伝播について、AIを用いたシミュレーションモデルを用いて調査しているが、これを見ると明らかだ。

帰宅後、一定量のウイルスが手に付着していたと仮定し、代表的な2LDKの間取りをモデルにシミュレーション。帰宅後30分間において接触した場所ごとにどの程度ウイルスが付着しているかを算出している。

帰宅後の30分間に手を洗わなかった群を「手洗いなし群」、15回接触以下で手を洗っている群を「早めの手洗いあり群」と定義し、それぞれの場合の、家庭内ウイルス付着量を比較した。「15回接触以下」とは、玄関のドアを開けて鍵を閉め、靴を脱ぎ、そのまま洗面所に向かって手を洗ったという行動を表す。

シミュレーションの結果、手洗いをするのがつい遅くなり、帰宅後にドアノブや壁、テーブルなど触れた回数が増えるほど、家庭内で伝播するウイルス量が増えてしまうことがわかった。また「手洗いあり群」は、「手洗いなし群」と比べると、家庭内のウイルス量は3割以下に抑えられることが判明。さらに、帰宅直後に手を消毒する「手洗いあり+消毒あり群」の場合は、約1割に抑えられていた。

この実験で導かれたのは、家庭内でのウイルスの伝播を抑えるためには、「帰宅後玄関から洗面所に直行して手を洗うこと」+「帰宅後玄関で消毒をすること」の2点が大切であることだ。

以下は、同実験で得られた、家庭内のあらゆる場所のウイルス残留数の平均値ランキングだ。

●ウイルス残留数の平均値ランキング

1位 正門_集合住宅:郵便物・宅配物
2位 玄関_内:消毒剤
3位 玄関_外:テンキー
4位 玄関_内:カバン・買い物袋
5位 玄関_内:スプレー剤
6位 玄関_内:鍵
7位 玄関_外:ペット
8位 玄関_内:トレー
9位 キッチン:スマートフォン
10位 玄関_内:ドアノブ

玄関の外や中であらゆる場所に残留していることがわかる。気になるのは9位のキッチンにおけるスマートフォン。外でも手で頻繁に触るスマートフォンには、ウイルスが残留しやすいということだ。

家庭内でウイルスが広がってしまうNG行動

本研究の結果を受け、帰宅後のほか、家庭内で気をつけるべき、ウイルスを広げてしまうNG行動をライオン株式会社の衛生マイスター 藤井日和氏に挙げてもらった。

1.帰宅後、手洗い前にキッチンやリビングに立ち寄る

「家庭内にウイルスを広げないためには、帰宅後すぐの手洗いはもちろん、玄関での手指消毒を組み合わせることが大切です。これらにより、手洗い前に行きがちなキッチンやリビングのウイルス伝播を抑えられることがシミュレーション結果からわかりました。

また、手を洗わずにドアノブや照明スイッチなどを触ってしまうと、そこにウイルスがついてしまう場合がありますので、ウイルス除去効果のあるスプレーやシートを活用して拭き掃除することをおすすめします」

2.外出中に使用していた衣類・カバンをそのままにする

「外で着用した衣類や使用したカバン等にもウイルスが付着している可能性があります。そのため、家の中にウイルスを持ち込まないためには、手洗い・手指消毒と共に、帰宅後、着用していた衣類のウイルス除去はもちろん、外出中に触っていたカバンをこまめにふき掃除することが大切です」

3.食事前に手を洗わない

「外出先から自宅や会社などに戻った際、必ずハンドソープ(固形石けん含む)で手洗いしている人は約7割いるのに対し、自宅で食事前に、必ずハンドソープ(固形石けん含む)で手を洗う人は4割未満という結果でした。家の中はキレイだから、食事前には手を洗わなくても大丈夫という意識があるようです。厚生労働省が感染予防のポイントの一つに手洗いを挙げているように、細菌やウイルスを体内に入れないためには、正しい手洗いを行うことが大切です。『いただきます』の前には、必ずハンドソープなどでしっかり手を洗って清潔にすることが重要と考えます」

小さい子どもがいる場合の家庭内感染対策

特に子どもが小さい場合、家庭内の感染対策で気をつけるべきことは? 藤井氏は次の3つを挙げる。

1.帰宅後すぐの付き添い手洗い

「子どもが小さい場合、帰宅後すぐに洗面所に行く『付き添い手洗い』で、家庭内へのウイルスの広がりを抑えることができます。また、手を洗うときもハンドソープを使用し、しっかり泡立てて、洗い残しが多い『指先』『指と指の間』『手首』を忘れずに洗うことが大切です」

2.楽しく手洗いを実践する

「子どもが手洗いしやすい環境作りをする、すすんで手洗いしたくなるアイテムや合言葉を作って声かけするなどの工夫で、子どもの正しい手洗いの習慣化をサポートできます」

3.ウイルス除去効果のあるスプレーでふき掃除をする

「ドアノブや蛇口など、みんなが共通でよく触るところを中心に、おもちゃなども含めてふき掃除することで、家庭内を清潔に保つことができます。ふき掃除には、市販されているウイルス除去効果のあるスプレーやシートを活用すると便利です」

職場や学校で気を付けるべきことは?

家庭内はもちろんのこと、毎日通う職場や学校でもウイルスをできるだけ広げないようにする行動が大切だ。藤井氏は次の点を挙げる。

1.オフィスに清潔・衛生習慣を

「オフィスには、共用の場所やモノがたくさんあります。もし、ウイルスが付着していたら、手を介して接触感染(※)を引き起こすリスクがあります。清潔で気持ちよく働ける環境を作るためにも、共用の場所やモノの近くに、手指消毒剤やウイルス除去・除菌効果のあるスプレーやシートを設置し、こまめにふき掃除することもおすすめです」

※接触感染とは
感染者がくしゃみや咳を手で押さえたあと、その手で直接ほかの人と手をつないだり、その手で触ったモノをほかの人が触ることで手にウイルスが付着し、そのウイルスの付いた手で口や鼻や目に触れることにより、粘膜から感染すること

2.職場や学校での歯みがきエチケット

「職場や学校で歯をみがく際は、飛沫を飛ばさない工夫をしましょう。例えば“共用の洗面所では、空いている時間を狙って一人で行う”、“口を閉じてみがく『口閉じ歯みがき』をする”、“すすぎは低い位置で水を吐き出す”などの工夫をする歯みがきエチケットを意識することで、衛生に配慮することができます。

口を開けて歯をみがくと飛沫が口の外に飛びがちですが、口を閉じてみがくことにより、飛びにくくすることができます。口を閉じてみがくことは、日本歯科医師会の公式ホームページ上でも紹介されています」

今回の研究結果では、家庭内で「帰宅後、手洗い前にキッチンやリビングに立ち寄っていた」という、うっかり盲点になる行動が明らかになった。「帰宅後すぐに消毒・手洗い」の意味は、つまり「帰ったら即洗面所に直行」であることを意識して過ごすようにしたい。

【参考】

内閣府「COVID-19 AI・シミュレーションプロジェクト」
家庭内感染リスク可視化モデル
家庭内接触感染リスクの可視化

日本歯科医師会「口を閉じてみがきましょう ウィズコロナ時代の歯のみがき方」

取材・文/石原亜香利

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