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土地や建物を所有している人に課される固定資産税、相場はどれくらい?

2022.04.02

固定資産税は、土地や建物を所有している人に課される税金です。毎年、必ず納付しなければならないため、あらかじめ準備をしておきましょう。納税通知書が届いてから慌てないように、固定資産税の相場や計算方法について紹介します。

固定資産税の仕組み

固定資産税は、土地・建物を所有している人にかかる税金です。賃貸住宅に住んでいる人には支払いの義務はありません。

これまで納付したことがない場合、どんな仕組みになっているのか分からない人もいるのではないでしょうか?課税対象になる土地・建物の種類や、誰が支払わなければならないのかなど、詳しく見ていきましょう。

土地・建物など固定資産にかかる地方税

固定資産税は、地方税に分類される税金です。対象となる土地・建物を使用していなくても『固定資産課税台帳』に登録されている固定資産の所有者に納付義務があり、所有しているだけで毎年税金がかかります。

一戸建てでも集合住宅でも種類に関係なく、所有している『全ての土地・建物』が対象です。住居に使用しているものだけでなく、店舗・倉庫・工場などの建物や、田畑・山林・原野・牧場といったものにも固定資産税がかかります。

土地・建物だけでなく事業に使用する機械や備品なども、償却資産として固定資産税の対象に含まれる点も押さえておきましょう。

参考:総務省|地方税制度|固定資産税

1月1日時点の所有者に課税される

固定資産税は、固定資産を年度途中で売却する場合でも、1月1日時点で所有している人が支払わなければなりません。1月2日に固定資産を売却した場合でも、1月1日時点での所有者に『全額』が課税される仕組みです。

年度途中で売却・購入をする場合、後々トラブルに発展しないように、売主・買主の間で話し合いをするケースは少なくありません。どちらが支払いを負担するかについて、売買契約の際に契約を取り交わすこともあります。

売却額に固定資産税分を上乗せする場合や、売却を急いでいるケースでは売主側がやむを得ず負担する場合もあるでしょう。

いずれの場合も、当事者同士の合意で決めた問題であり、納税通知書が届く場所が変更になるわけではありません。買主が負担を決めた場合であっても、『納税通知書は1月1日時点で所有していた人に届く』点を押さえておきましょう。

参考:今年に入ってから土地や家屋の売買を行いました。固定資産税は誰が払うのでしょうか | 岩倉市

同時に「都市計画税」が課される場合も

都市計画税は、地方税の一種で『市街化区域内にある土地・家屋』を所有した場合に、毎年かかる税金です。

土地・家屋の『固定資産税評価額』に対し『0.3%』の税金がかかります。税率は、地域によって若干の違いはあるものの、0.3%を超えることはありません。

徴収された税金は、インフラ・土地の整備などに使われます。たとえ土地・家屋を所有した時点では市街地として発展していなかったとしても、自治体が『10年以内に市街地化を目指している区域』として設定している場合は、都市計画税が課税されるのです。

都市計画税を負担する必要があるかどうかで、年間で支払う税金の総額が変わります。購入を検討している土地・家屋が市街化区域に含まれるのか分からない場合は、不動産業者や自治体の窓口などに確認した方がよいでしょう。

参考:総務省|地方税制度|都市計画税

固定資産税の額の計算方法

(出典) photo-ac.com

固定資産税は、土地・建物の実際の価格に関係なく、不動産の価値を評価した額によって決まります。どのように計算されているのか、見ていきましょう。

基準となるのは「固定資産税評価額」

固定資産税の額は『固定資産税評価額』に左右されます。固定資産税評価額とは、税額を決めるときに使用する『課税標準額の基準』となるものです。

一般的な家屋の場合は、固定資産税評価額がそのまま課税標準額になります。

土地の場合は、『宅地・農地の用途別』に評価額を計算しますが、住宅用地の場合は『住宅用地特例』により、課税標準額が『1/3』もしくは『1/6』に軽減される点がポイントです。

参考:総務省|地方税制度|固定資産税

税額の計算式は「課税標準額×標準税率」

一般家屋の固定資産税額を導き出したいときは、以下の計算式を使いましょう。

  • 土地:課税標準額×1.4%(標準税率)
  • 家屋:固定資産課税台帳に登録されている価格×1.4%(標準税率)

固定資産税の税率は、市区町村によって微妙に異なります。1.4%はあくまでも標準的な数値であり、市区町村によっては1.5~1.7%程度となっている場合もあるのです。

課税標準額は1000円未満を切り捨てて計算し、固定資産税額は100円未満を切り捨てる決まりになっています。課税標準額が『30万円に満たない土地』と、『20万円に満たない家屋』は課税の対象外です。

参考:固定資産税等について
参考:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局
参考:No.6371 端数計算|国税庁

土地の評価額は「路線価」をもとに決定

さまざまな観点から客観的に判断して、利用価値が高いとされた土地ほど、多くの固定資産税がかかります。土地の価格を決める、一つの基準となるものが『路線価』です。

路線価とは、道路に面している土地の『1平方mあたりの評価額』のことで、専門家による鑑定をもとに国税庁が決定しています。

常に一定の金額ではなく毎年1月1日を評価時点としており、周囲の環境が変化し、土地の利用価値が変化したときは増減する仕組みです。

国税庁が公表している『路線価図』を見れば、所有している土地の路線価を確認できます。土地に面する道路に『300C』と記載されていたら、1平方mあたりの評価額が30万円で、借地権割合が『C(70%)』という意味です。

路線価は、固定資産税を決めるときだけでなく、贈与税や相続税の計算にも使われています。

参考:財産評価基準書|国税庁

建物の評価額は「再建築費用」をもとに算出

建物を評価する場合、土地を評価する場合とは違い『同じ建物を建てたとき』に、どれだけ費用がかかるかをもとに算出されます。屋根・基礎などを部分別に評価し、点数を決めるのです。

建物は、築年数が増えれば増えるほど、経年劣化が進みます。屋根・壁などの構造が傷んでいる場合、価値が減少することを考慮して計算しなければなりません。これを『減点補正率』と呼びます。

建物の評価額は、『再建築価格評価点×減点補正率×床面積×評価1点あたりの価格』で計算されます。特例措置が適用される場合等を除き、評価額と課税標準額は同額です。

参考:Q 評価額と課税標準額の違いは何ですか? | 静岡県富士市

固定資産税の相場

(出典) photo-ac.com

固定資産税評価額がよく分からず、固定資産税をいくら用意しておけばよいのか悩んでいる人もいるでしょう。大きな額になることが多いので、前もって用意しておきたいものです。

固定資産税が大体いくらなのか知りたい人に向け、一般的な住居として利用する一戸建てとマンションを課税対象にした場合の、それぞれの相場を紹介します。

一戸建ての場合は10万円程度

一戸建てにかかる固定資産税の相場は『10万円程度』です。詳細な固定資産税評価額が分からなくても、土地・家屋それぞれの課税標準額の目安は以下のように判断できます。

  • 土地:地価の70%程度
  • 家屋:新築時の値段の60%程度

これらを合算したものに標準税率(1.4%)をかければ、大体の金額を導き出せます。詳細な金額を知りたい場合は、本人確認書類を持って管轄の自治体の窓口へ行き、『固定資産評価証明書』を発行してもらいましょう。

マンションは10〜30万円と幅がある

「一戸建ての方が、高い固定資産税がかかる」と思っている人もいるかもしれません。しかし、実はマンションも一戸建てとほぼ同等か高めの額が算出されることが多く、相場は『10~30万円』となっています。

面積を75平方mだと仮定したとき、新築マンションの場合は10~30万円程度、築10年以上のマンションの場合は10~15万円程度が相場です。

鉄筋コンクリート構造のマンションに住んでいる場合、木造のケースが多い一戸建てに比べて評価額が高く設定されやすく、税額が高く算出される傾向にあります。

一戸建てもマンションも、築年数が進めば減点補正率を受けられる点は変わりません。中古マンションを購入する場合は、不動産会社を通じて『前の所有者が払っていた固定資産税の額』をリサーチしてもよいでしょう。

固定資産税の軽減措置

(出典) photo-ac.com

ある条件を満たしていれば、税金の負担を減らすための軽減措置を受けられます。固定資産税は額が大きいので、軽減措置を設けて少しでも楽に支払えるようにしているのです。

どんな特例があるのか、見ていきましょう。

小規模住宅地の特例

小規模住宅地の特例とは、小規模な住宅地に対して固定資産税の負担を減らすというもので、二つの区分に分かれています。固定資産税の軽減措置は以下の通りです。

<固定資産税の軽減措置>

  • 小規模住宅用地(住宅用地で住戸一戸あたり200平方m以下の部分):1/6に軽減
  • 一般住宅用地(200平方mを超える部分):1/3に軽減

また、固定資産税だけでなく、都市計画税も以下のように小規模住宅地の軽減措置が取られています。

<都市計画税の軽減措置>

  • 小規模住宅用地(200平方m以下の部分):1/3に軽減
  • 一般住宅用地(200平方mを超える部分):2/3に軽減

なお、小規模住宅地の特例は、中古住宅であっても適用されます。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
参考:住宅等に係る固定資産税・都市計画税の主な軽減制度一覧(23 区内)

新築住宅に対する特例

一般住宅を新築した場合、120平方mまでの部分に対して『3年間、固定資産税が1/2になる特例』を受けられます。3階建て以上で、耐火・準耐火構造になっている場合の期間は『5年間』です。

店舗兼住宅として利用する場合、居住部分が半分以上でなければ適用されません。居住部分の床面積にも制限があり、50平方m以上280平方m以下というルールが設けられています。

築浅でほぼ新築のように見える物件であっても、中古住宅を購入した場合には適用されないので注意しましょう。

参考:住宅:新築住宅に係る税額の減額措置 – 国土交通省
参考:さいたま市/家屋の固定資産税の減額措置

認定長期優良住宅を対象とした減税

認定長期優良住宅とは、耐震性・可変性などに優れ『長い間良好な状態で住める』と認められた建物のことで、こちらも減税対象となっています。

適用期間は、一戸建ての場合で『5年間』、マンションの場合で『7年間』です。適用期間中、固定資産税が『1/2』に軽減され、期間を過ぎると通常の額に戻る仕組みになっています。

認定長期優良住宅の軽減措置を利用する場合、固定資産税だけでなく登録免許税・不動産取得税・所得税も優遇措置を受けられます。

なお、適用期限は2022年3月31日まででしたが、2024年3月31日まで延長されました。

参考:住宅:長期優良住宅のページ – 国土交通省
参考:長寿命住宅(200年住宅)税制の創設 (登録免許税・不動産取得税・固定資産税)

固定資産税額の調べ方

(出典) photo-ac.com

土地・家屋を購入する予定がある場合、高額な固定資産税を支払えるか不安という人は多いでしょう。抜かりなく準備しておけるように、固定資産税額を調べる方法を紹介します。

固定資産税納税通知書で確認

固定資産を所有している人は例年『4~6月ごろ』になると、自治体から『固定資産税納税通知書』が送られてきます。同封されている課税明細書を見れば、固定資産税評価額や課税標準額の確認が可能です。

納税通知書は1~4期に分かれており、それぞれに支払期限が設けられているので注意しましょう。4回に分けて納めるほかにも、全期分を一括で納められるようになっています。

万が一、課税明細書を紛失してしまっても、市区町村の窓口へ行って固定資産課税台帳を見れば、固定資産税評価額を確認できます。固定資産の所有者や家族以外に、所有者から委任を受けた代理人も閲覧可能です。

新築住宅の場合は決まっていないことが多い

中古住宅とは違い、新築住宅には固定資産税を支払った実績がありません。評価額のもとになる『家屋の調査』を終える前の状態では、はっきりとした税額は分からないのです。

正式な額が判明するのは、住宅の完成後になります。これから購入する新築住宅の固定資産税を知りたいときは、不動産会社やモデルハウスの担当者に問い合わせてみましょう。

予測できる固定資産税額を教えてもらうことができれば、ある程度の目安にはなるはずです。概算ではあっても、あらかじめ用意しておければ安心でしょう。

固定資産税が変動するタイミング

(出典) photo-ac.com

固定資産の価値は、さまざまな要因で変化します。土地・建物の利用価値が下がったときに、税額が高いままでは不公平が生じるので、見直しの機会が設けられているのです。

どんなタイミングで変化するのか、見ていきましょう。

3年ごとに評価替えを実施

固定資産税の額を決めるもとになる『固定資産税評価額』は、総務省が定める固定資産評価基準をもとに、3年に1度見直さなければなりません。この制度を、『固定資産の評価替え』といいます。

建物がある土地の価値が下がった場合や、経年劣化により建物の価値が下がった場合などに、所有者の負担が減るように再評価しているのです。

2021年度は、新型コロナウイルスの流行で経済活動に打撃を受けたことに配慮し、価値が上がった土地であっても税額を据え置きにする措置が取られました。このように、社会情勢によっても変化することがある点も押さえておきましょう。

参考;川崎市:固定資産の評価替えとは何ですか。
参考:総務省|地方税制度|固定資産税の令和3年度評価替えへの対応
参考:令和4年度国土交通省税制改正概要|国土交通省

固定資産税は下がるとは限らない

建物の固定資産税は、年数を重ねれば必ず下がるわけではありません。建物の評価額は、同じ建物を再び立てたときにかかる『再建築費用』をもとに算出されます。

建築後に建築材料費・人件費などが高くなった場合は、当時と全く同じものを作ろうとしても同じ費用では作れません。経年劣化して評価が下がった分を差し引いたとしても、評価額が下がらない状態になってしまうことがあるのです。

また、大規模な補修工事やリノベーションを行った場合も、建物の価値が上がるので固定資産税が増加することがあります。

「築年数が増えたから、固定資産税が大きく下がるのではないか」と期待していると、思わぬ失敗をしてしまうことがあるので、固定資産税の代金は余裕を持って用意しておいた方がよいでしょう。

構成/編集部

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