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最も多いのは50代男性!経験者に聞く誹謗中傷を投稿した理由

2022.03.18

誹謗中傷加害者の5割超「正当な批判・論評と思った」

「誹謗中傷」という言葉は法的な概念ではない。厳罰化に向けた議論も進んでおり、政府は2022年3月8日、侮辱罪の刑罰化などを盛り込んだ刑法とその関連法の改正案を閣議決定した。

近年ネット上の誹謗中傷が社会問題となっており、弁護士ドットコムにも被害者・加害者ともにたくさんの相談が寄せられているという。

誹謗中傷の加害者、中高年男性が多い傾向

回答者のうち、「誹謗中傷をしたことがある」のは13%。性年代別にみると、50代男性の比率が最も高く、次いで40代男性も2割を超え、中高年男性の加害経験の比率が高いことがわかった。

誹謗中傷が投稿されるソーシャルメディアは?

誹謗中傷を投稿したソーシャルメディアとしては、匿名掲示板が最も多く(38.1%)、次いでTwitter(27.3%)、LINE(11.4%)、ニュースメディアのコメント欄(9.1%)と、匿名性の高いメディアに投稿される傾向があることが判明した。一方で、実名での登録が規約上求められているFacebookでの投稿は6.3%だった。

また、「その他」の中身として、ブログ(5.1%)、GoogleMapの口コミ欄(4.0%)、Tik Tok(1.7%)、Instagram(1.1%)などがあがっていた。

誹謗中傷の内容は?動機は?

誹謗中傷について、法的に明確な定義が定められているわけではない。今回のアンケートでは、投稿した誹謗中傷の内容について4種類に分類し回答してもらった(複数回答可)。

最も多かったのは、「容姿や性格、人格に対する悪口」(83.0%)、次いで「虚偽または真偽不明情報を流す」(17.6%)、「プライバシー情報の暴露」(16.5%)、「脅迫」(6.8%)と続いた。

誹謗中傷を行った動機については、「正当な批判・論評だと思った」が最も多く(51.1%)、「イライラする感情の発散」(34.1%)、「誹謗中傷の相手方に対する嫌がらせ」(22.7%)、「虚偽または真偽不明の情報を真実だと思いこみ投稿した」(9.1%)と続いた。

そもそも自身の投稿が誹謗中傷だと思わないままに、正義感などから投稿してしまう人が多くいることが明らかになった。

回答者の約4割が「ネット上で誹謗中傷を受けたことがある」

 

今回の調査では、誹謗中傷の加害経験だけでなく、同じ対象者に被害経験についても聞いている。

回答者の約4割がネット上で「誹謗中傷被害を受けたことがある」と回答し、加害者(13%)と比べ被害経験がある割合が大きい結果となった。

誹謗中傷の定義をより広く捉え、「自分が受けた被害は誹謗中傷」と判断した可能性もありそうだ(反対に、自身の加害行為を誹謗中傷と認識していない例も)。

今後、罰則を盛り込んだ法制度を審議する際には、具体的にどのような表現が誹謗中傷に該当するのかについての議論が必要となりそうだ。

誹謗中傷の投稿への対処については、「何もせず放置した」という回答が最も多く(54.3%)、「弁護士に依頼して法的な削除請求の手続きを取った」のは5.7%、「自力で法的な削除請求を取った」のは2.7%に留まり、実際に誹謗中傷の被害に遭っても、何らかのアクションを起こす人は少ないことが明らかになった。

また、誹謗中傷に対して対処する方が少ない結果、投稿はネット上に残り続けている場合が多いようだ。「誹謗中傷の投稿は削除されましたか」という質問に対して、7割以上が「削除されていない」と回答した。

より厳しい取り締まりを求める声多く、侮辱罪厳罰化への関心も

恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演したプロレスラーの木村花さんが、SNSで誹謗中傷を受け2020年5月に亡くなったことをめぐり、誹謗中傷を行ったとされる2人が侮辱罪に問われたが、刑の重さは科料9000円に留まり、「罪が軽すぎるのではないか」との声が上がっていた。

こうしたことなどを受けて、国会では侮辱罪の厳罰化に向けた議論が続いている。今回のアンケートでも、「誹謗中傷を現状より厳しく取り締まった方がよいと思いますか」という質問に、77.8%が「思う」と回答し、侮辱罪の厳罰化が国会で議論されていることを42.5%が「知っている」と回答した。

ネット上の誹謗中傷問題に詳しい清水陽平弁護士のコメント

言われた側にとって「不快な言葉」をもって誹謗中傷と言っている状況であり、発言をした本人が「誹謗中傷である」と認識していなくても、言われた側からすれば誹謗中傷であると捉えている例は非常に多いだろうと想定されます。自身の投稿が誹謗中傷だと思わないまま投稿してしまう理由がここにあると思います。

誹謗中傷への対処として、「何もせず放置した」という回答が最も多かったということですが、これは仕方がない部分もあると思います。

削除や開示請求などの法的対応を取っていくためには、権利侵害があることが必要不可欠です。誹謗中傷をされた≠権利侵害がある、とイコールで繋がらないため、仮に不快な投稿等をされたとしても、何もできないという例も少なくないのが現実です。

とはいえ、正当な批判であると考えていたとしても、他者を傷つける可能性があるということは認識しておくべきです。ネット上で発言をするということは、それについて批判を受けたり、法的責任を負担する可能性があるということであり、投稿等をする際はそのことを意識していただくのがよいと思います。

侮辱罪の厳罰化については、個人的には、名誉毀損罪との差が大き過ぎることや、時効の問題など実務上の観点から、比較的、好意的に捉えています。

もっとも、厳罰化をするということは、翻って、国民の自由を制限する程度が強まる、ということでもあります。より厳しく取り締まった方がよいと考えている人が多いようですが、場合によっては、自分が取り締まられてしまうリスクがある、ということを考える必要もあるのではないでしょうか。

捜査機関がこれを濫用するリスクもないわけではなく、個々人が関心を持って議論ができるとよいなと思っています。

調査概要

調査方法:弁護士ドットコム一般会員を対象にアンケートを実施
調査対象:1,355名(男性792名、女性551名、その他12名)から回答が得られた。
調査期間:2022年1月12日~1月18日

構成/ino.


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