相変わらずコンパクトサイズのSUVの人気が高い自動車市場だが、昨今のアウトドアブームの影響もあり、4WDの性能が高いミドルクラスの SUVも人気が高まってきた。今回、注目の2台を比較試乗した。
ジープもスバルも4WDの世界では有名なブランドだ。両社の歴史だが、ジープは1941年にアメリカの軍用車として誕生。不整地を走る4WD車の総称がジープだった。以来、同社は4WD車を中心に車種を拡大してきた。
一方、スバルは1917年に創業、軽自動車で人気を集めたが、1970年に世界初の4WD乗用車を発売。以来、水平対向エンジンやアイサイトなど独自の技術力で存在感を示している。
今回紹介する2台は昨年登場したミドルサイズSUVの新モデル。スバル『フォレスター』は1997年に初代がデビューし、現行モデルは5代目となる。2018年に新型が登場し、毎年のように進化を続けている。現行車は昨年8月に大幅改良を行なった。外観だけでなく、足回りや安全装備のアイサイトも新世代型となり進化。4WD機能もXモードに新機能が加わって走破力が向上した。
ジープ『コンパス』は2012年にデビューし、2017年末に2代目が登場した。昨年、大幅に改良。米国ではコンパクトSUVに属しているが、日本では全長が4.4m以上あるため、ミドルクラスに分類されている。
4WDの性能は十分。悪路もラクに走破する
『フォレスター』は4グレードある。今回試乗した「スポーツ」は唯一の1.8Lガソリンターボを搭載する上級モデルでATは8速。4WD機能はXモードと名づけられ、スノー・ダート/ノーマル/ディープスノー・マッドをダイヤルで選択できる。雪道やダート路の走破性を重視したセッティングだ。進化した「アイサイト」はこれまで以上に幅広い場面で安全運転をサポートする。
ジープ『コンパス』は『フォレスター』よりもう少し本格的な荒地走行性能を追求したモデルだ。9速ATには砂地・荒地/雪道/自動の3つのモードを用意。センターパネルに4WD・LOW/4WD・LOCKのスイッチが備わり、とっさの操作でも扱いやすい。さらにカメラは車体直前、直後で2通りの画角が選べるなど、安全運転装備も充実している。
動力性能は『フォレスター』のほうが上だが、実走燃費では『コンパス』のほうが良い数値を示すこともあった。両車ともレギュラーガソリン指定というのも、今の時代、ありがたい要素だ。
Xモードもアイサイトも進化した
スバル『フォレスター』
Specification
■全長×全幅×全高:4640×1815×1730mm
■ホイールベース:2670mm
■車両重量:1570kg
■排気量:1795cc
■エンジン型式:水平対向4気筒ガソリンターボ
■最高出力:177PS/5200〜5600rpm
■最大トルク:300Nm/1600〜3600rpm
■変速機:8速AT
■燃費:13.6km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:330万円
※「スポーツ」
今回の改良でフロントバンパー、ヘッドランプの形状が変更。グリルは各グレードともにブラックアウトされる。全幅は1815mmで『コンパス』より5mmだけ広い。全高は90mm高い。
サイドウインドウの上下幅、車体に対して大きいのが特徴。視界も良好。ホイールベースは『コンパス』より35mm長いだけだが、全長は220mmも長い。最低地上高は220mmも確保されている。
マフラーの位置は高いが後輪からリアバンパーまでの距離が『コンパス』と比べて長いため本格的なオフロードでは気を使う。リアウインドウを含め、ウインドウの面積が大きい。
走りもデザインもワイルドに進化した
ジープ『コンパス』
Specification
■全長×全幅×全高:4420×1810×1640mm
■ホイールベース:2635mm
■車両重量:1600kg
■排気量:2359cc
■エンジン型式:直列4気筒ガソリン
■最高出力:175PS/6400rpm
■最大トルク:229Nm/3900rpm
■変速機:9速AT
■燃費:11.5km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:492万円
※「リミテッド」
今回の改良でフロントグリルのデザインを一新。ジープの特徴である7つの四角いグリル(セブンスロットグリル)の位置が高くなり、バンパーの下にグリルを設けて、重心を高く見せている。
前後輪からバンパーまでの距離が短いので岩場などでの走破に向いている。ただ最低地上高がカタログでは180mmと『フォレスター』より40mmも低い。タイヤはどちらも18インチ。
リアスタイルもフロント同様、重心が高めにデザインされている。テールランプはヘッドライト同様に全グレードにLEDが採用されている。ゲート開口部から路面までは780mmと高め。