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成功だったのか?失敗だったのか?寺尾社長が語った「BALMUDA Phone」の開発秘話

2022.03.22

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はバルミューダ本社での寺尾社長の談話について話し合っていきます。

※新型コロナウイルス感染拡大対策を行っております

バルミューダ本社で寺尾社長に会ってきた

房野氏:「BALMUDA Phone」にプリセットされているスケジューラアプリ「BALMUDA Scheduler」がGoogle Playで配信され始めましたね。BALMUDA Phone自体には賛否両論ありますが、独自アプリについては評価する声が多かった印象です。

房野氏

石野氏:バルミューダの本社で、この4人で寺尾社長の話をうかがった時には、社長の弱気な発言もあったのが気になって……

バルミューダ代表取締役社長 兼 チーフデザイナー 寺尾 玄氏

石野氏

房野氏:発表後、SNS上のネガティブなコメントがすごかったと。

石川氏:「数週間、何も考えられなかった」と言っていましたね。

石川氏

法林氏:ネット上にはダメな反応もたくさんある。数年前のiPhoneと重ねて「どちらが以前の端末でしょう」とかやっている記事もあったけど、形状に特徴を持たせた端末で、そこを突っ込むのは間違っているだろうと思う。寺尾さんに申し訳ないけれど、バルミューダに対する反感みたいなものがあるね。

「BALMUDA Phone」

法林氏

房野氏:家電のバルミューダに対する反感ですか?

法林氏:そう、ブランドかな。反感もあるし、もう1つ、中身のないデザイン家電みたいに思われている感も若干ある気がする。だけど、バルミューダの本社を見ると、コツコツ真面目に製品を作っている雰囲気があるよね。

石川氏:社長の話を聞いて、家電に対しての想いはやっぱりすごいなと思った。部材が足りなくなってきた時には、手に入るものをチェックして在庫を切らさないようにするとか、よくやっているなと思うところもある中で、やっぱりスマートフォンって家電とは違うんだなと感じました。

 先日、テレビ番組の中で「BALMUDA The Brew」がコーヒーグッズのランキングで1位になっていて、6年かけて開発したという話をしていましたが、BALMUDA Phoneも、もっとじっくり時間をかけて作れば良かったんじゃないかなって気がした。

「BALMUDA The Brew」

房野氏:スマートフォンと家電のサイクルの違いを痛感されていましたね。

石野氏:製品のサイクルがね、違うのが難しいんだろうなぁというのは、話を聞いて改めて感じましたね。家電って、トースターもそうですけど、長く売れるじゃないですか。今ですら「BALMUDA The Toaster」が欲しいなとか、値上げする前に買おうかなと検討するレベルだったりしますけど、BALMUDA Phoneを1年後に大幅に値下げします、じゃあ買いましょうかって言われると、うーんとなりますよね。

「BALMUDA The Toaster」

石川氏:今の段階でも値段が下がってるけど、もう2021年の11月発売のモデルだからいいかなっていう風になっちゃっているじゃないですか。

房野氏:うーん……そうですかね?

石川氏:発売が11月下旬で、今が2022年の2月(取材時)。だけど、もうサムスンは新しい製品を発表してますし……

法林氏:それは違うよ。

石川氏:いやいや……でもトースターとかコーヒーメーカーって、そういうものじゃないじゃないですか。

法林氏:製品のライフサイクルが違うし、開発サイクルも違うんですけど、Galaxyの今年の新製品が出ました、新型iPhoneが出ました、みたいなポジショニングの商品としてBALMUDA Phoneを作ろうとはしていない。元々、作られていない。バックパネルを開けてBALMUDA Phoneの中身を見せてもらった時に、これはやりすぎでしょうと思ったけど、期間はそんなに関係ないと思うよ。だから、売るんだったら、夏でもあの値段で普通に売ってていいと思うんですよ。

石野氏:1年ぐらいはいいと思うんですが……なんかちょっと、開けて中を見ると、スマートフォンが平らになっていった理由もよくわかったというか。

石川氏:そうなんですよ。iPhoneとかトーンモバイルの「PandA」でもいいんだけど、最初丸かったものが、なぜどんどんのっぺりした形になっていくか。効率的に電池を入れて、パネルを入れていく、その結果なんだろうなと思うんです。スマートフォンを安く効率的に作ろうと思うと、四角がいいってことになっていくんだろうなと。だからこそBALMUDA Phoneはちょっと違って見える。じゃあ、この先もああいった無駄の多い形を作り続けていくのかどうかは、寺尾さんが色々考えることじゃないかなと思います。

法林氏:BALMUDA Phoneは、あの画面サイズへの異様なこだわりと背面の形状から全てが始まっている。

石野氏:あの呪縛がなければ、もう少し自由に色々開発できたんだろうなぁって思いますね。

法林氏:本当は有機ELにしたかったけど、サイズがないか、そのサイズにしようとするとコスト高になってしまう。インカメラの話も同じで、背面があの形状なので、高さの制限が厳しく、カメラモジュールが入らなかったと。バッテリーも同じことで、丸みのある筐体にしているから、平べったく入れるスペースが狭くなった。一番は有機ELなんだろうと思う。

石野氏:これが「独自の基板も開発しました、曲がっている基板で、電池もびっしり、ぴったり入れたので容量を増やせました」というんだったら、あそこまでやることに理解できるんです。でも、そこまで技術が伴っていないというか。

法林氏:そこはハードウエアを最終的に作るところが京セラだから、そういうことはできるの? みたいな話になる。バルミューダが自分たちで生産ラインを持っていて、設計も自由にできるなら、好きなようにできるけど。こういう言い方がいいかどうかわからないけど、スマートフォンについてはファブレス(自社で製造しない形態)みたいなポジションのバルミューダにとっては敷居が高かったという感じ

石野氏:そうなんですけど、立ち上がったらそこまでやらないとダメなんだよなぁっていう気がしたんです。

BALMUDA SchedulerがGalaxy Z Fold3にベストマッチ!?

石川氏:あと、アプリケーションと筐体がマッチしてないというか。

法林氏:そうだね。

石川氏:BALMUDA Schedulerは「Galaxy Z Fold3」で使った方が見やすいよねっていうのが……

「Galaxy Z Fold3」

法林氏:Galaxy Z Fold3の中に入っていたBALMUDA Schedulerを見た時は、結構衝撃を受けたよね。

石川氏:サムスンはあのアプリを買い取った方がいいんじゃないかと思ったくらい。

法林氏:あれはいいわ。本当に素晴らしいと思うね。

石川氏:というわけで、アプリとハードがマッチしていない感じがすごくする。ただ、それは実際にBALMUDA Phoneを作らないとわからないことなんだろうなと。寺尾社長もそう言っていたので。とりあえず、BALMUDA Phoneで色々学習したことがあると思うので、この先、いかにユーザーが納得して、しかも安く作れて、アプリとマッチしたデバイスを作っていくことが、これから何年かかけてやっていくことなんだろうなと思いますね。

石野氏:バルミューダのBALMUDA Schedulerって、ディスプレイの横に長さがないと1日が一覧できないんですよね。せめて横表示に対応すべきなんですよ。

法林氏:「Surface Duo 2」みたいな大きな画面の端末ですよ。

「Surface Duo 2」

石野氏:大きな画面の端末の方が活かせるんですよね。

房野氏:確かに見やすいですね。iPadでもいいですかね?

石野氏:いや、横長じゃないと。

法林氏:そしてAndroidじゃないと。

房野氏:スケジューラアプリは横表示に対応していないので、開いた時に横長になるGalaxy Z FoldやSurface Duoがいいということなんですね。この2モデルを持っている人は、ぜひインストールすべきですね。

石野氏:なぜ小さいBALMUDA Phoneでも見やすいものを作らなかったのかなと。

2代目もソフトバンクから出る?

法林氏:やっぱり値付けって難しいと思ったね。あの作り方で、こういう売り方だと、この値段になっちゃうよねって僕は思った。コストがかかってしまうように、色んな条件が積み重なってしまった結果。CPUとメモリと画面サイズと画面の方式を単純に積み重ねると、もっと安くできるでしょと思うんだけど、BALMUDA Phoneはそうじゃないものの積み重ねが多すぎた。

石野氏:そうですねぇ。それでも台数が多ければコストダウンできたかもしれないですけど。

法林氏:最初にいきなり100万台作れるものでもないので、ちょっと厳しいかなって思いました。

石野氏:初号機でチャレンジし過ぎた。

法林氏:まぁねぇ。

石川氏:とりあえず、先日の決算では計画より上振れたので良かったなと。損をしたのはソフトバンクだろうなという感じがする(笑)

房野氏:ソフトバンクは本当に次のBALMUDA Phoneも扱うでしょうか。

法林氏:ソフトバンクは基本的になんでも扱うから。最初はね。

石野氏:まぁ、次に期待かな。初号機はソフトバンクの投げ売りが始まってしまったのが、なんかちょっと……

房野氏:今回の割引はちょっと早すぎじゃないかと思いました。

石野氏:初速を見ればどのくらい売れるかキャリアにはわかるでしょうから、たぶん、このまま当初の値段で計算していると、1年経っても在庫が捌けないと思ったんじゃないでしょうか。

法林氏:ソフトバンクが売る分は知れてますよ。ソフトバンクがこれから売っていくにしても、ちょっと厳しいと思うし、だったらバルミューダで買えばいいんじゃないのという気がするので。ソフトバンクで売れない理由は、14万円で売ってるから。バルミューダでは10万円で売ってるわけだから、ソフトバンクでは買わないわけですよ。

こんな“BALMUDA Phone 2”に期待!

石野氏:BALMUDA Schedulerを公開して、反響が大きければ、これを軸にアプリに合った端末を“BALMUDA Phone 2”として作っていくのがいいかなって思います。せっかく公開するんだったら、反響をちゃんと吸収してほしいなぁと。

法林氏:今のスマートフォンは、チップセットや画面サイズ、メモリ容量でしか評価されていない。メーラーやカレンダーアプリは一番使うものなのに、全部Google謹製で、しかもGoogleがそれを強制的に使わせる状況になっている。Googleは本来、オープン志向の会社のはず。そう考えれば、Android向けにもっとカレンダーアプリが出てきてほしい。Windowsだって、WindowsのカレンダーアプリにGoogleアカウントを設定すればカレンダーが見られるんだし。

房野氏:Macもそうですよね。

石野氏:ただ、Galaxy Z Fold3の純正カレンダーは、これはこれで見やすいですよ。

法林氏:Galaxyはずっとカレンダーを自前で作っているんでね。

石川氏:大画面がいいってことかな(笑)

石野氏:そういうことになっちゃうんですかね。スマートフォンって、情報に接する窓みたいなものじゃないですか。窓だったら、それは大きい方がいいですよね。だからみんな、どんどん大きくしていってるわけじゃないですか。

石川氏:Surface Duo 2はめちゃめちゃ便利ですよ。

法林氏:ね。

石野氏:やっぱり画面は大きい方がいいってことですかね。でも、BALMUDA Phoneのカメラがめちゃくちゃきれいに撮れるとかだったら、コンパクトの端末でいいかと思うんですけどね。

法林氏:BALMUDA Phoneのカメラは及第点ギリギリすぎるんですよ。もうちょっと頑張ってほしかった。

石野氏:ギリギリに達していないというか……

法林氏:初期出荷の時の、あの青かった写真は……久しぶりに「メシマズカメラ(C)石野」を思い出したね(笑)

石野氏:(笑)改善されたというので、最新のソフトウエアに更新して撮ってみたんですけど、ものによっては料理が食品サンプルみたいにギトギトした感じになっちゃうんですよ。本当においしい写真を求めているのかと。

石川氏:料理がおいしく撮れるとか言わなきゃいいのにと思った。

 BALMUDA Phoneを良しとするユーザーはたぶんいると思っています。スマートフォンにいろんなもの求めず、とにかく連絡手段であればいいと。メッセンジャーがちょこっと使えて、スケジュールが確認できて、電話がメインっていう人向けに、もっとプレミアムなものが何かあるんじゃないかという気がするんですよね。

法林氏:値段を無視して言うと、「俺はGalaxyじゃなきゃ/Xperiaじゃなきゃ嫌だ」ということを言わないような人で、基本的な機能は使えるものを考えた場合、デザインは賛否両論あるけど、例えば京セラさんの地味な端末とBALMUDA Phoneが並んでいて、「どう?」と言われたらBALMUDA Phoneを取る人は一定数いると思うんですよ。値段を聞いたら心が変わるかもしれないけど。

石野氏:値段……そこなんですよねぇ。

法林氏:そういう選択肢としてBALMUDA Phone、僕は悪くないと思う。アプリに関してはしっかり作り込んでいる。ずれた評価が多いなと痛感しています。

石川氏:でも、社長が元ミュージシャンで、音にこだわって着信音をたくさん作ったというなら、なぜモノラルスピーカーなんだろうと。

法林氏:そういうところはたくさんあるよね。

石川氏:とにかく音にこだわるんだと。着信音もめちゃくちゃきれいに聞こえると。さらに、通話の音もめっちゃきれいに聞こえる、大人のコミュニケーションにこだわったものを提供するのだったら納得できる。BALMUDA The Brewは、コーヒーがおいしいという体験価値にお金を払う。で、スマートフォンは音に対する体験価値にお金を払う方向に持っていけたら、だいぶ違ったんじゃないのかなって思った。最初はこういう出来だったけれど、第2弾、第3弾と作ったらすごくいいものができそうな気がするし、軌道修正できる人が周りに集まってきたので。

法林氏:業界をわかっている人が入ってきたのは、結構大きなポイント。

石野氏:軌道修正しすぎると、普通のスマートフォンになっちゃう危険性も……

法林氏:そこはしっかり、戦ってくださいって話だよね。

石野氏:バルミューダには頑張って欲しいな。Xiaomiのスマートフォンとかを見ていると、BALMUDA Phoneみたいな、記録には残らないけど記憶に残るスマホも欲しいなと感じます。

法林氏:Xiaomiの端末が記録に残る?

石野氏:Xiaomiの端末は記憶には残らないけれど、あの値段であのスペックだったら、記録には残るかもしれないなと。でも、ああいう端末ばかりだとつまらないので、バルミューダには頑張って欲しいんですけど、いかんせん、初号機の頑張る方向がミートしなかったと。

石川氏:スマートフォンでいきなり大ヒットは無理だよ。

石野氏:フォローすると、BALMUDA Phoneはそんなに大ヒットを狙っていないし、計画台数はちゃんと売れている。

法林氏:バルミューダは、BALMUDA Phoneの認知が発表後2週間で35%って言ってたっけ。

石野氏:みんな、バルミューダは知っていますよ。みんな大好き。

……続く!

次回は、新型「iPhone SE」について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子


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