『自動車税(種別割)』は、自動車を所有している人が、年に一度請求される税金です。早く支払おうと思っていても、忙しくて納付期限が過ぎてしまう場合もあるでしょう。自動車税を滞納すると一体どうなるのか、督促の流れや対処法などを紹介します。
自動車税はいつまでに納める必要がある?
自動車を所有していると『自動車税(種別割)』がかかります。課税されるタイミングや、いつまでに納めるべきなのかを見ていきましょう。
毎年4月1日時点の所有者に対して課税
自動車税(種別割)は『4月1日時点での自動車の所有者』を対象に、1年分が課税されます。
1年分を一度にまとめて支払う仕組みですが、年の途中で『抹消登録』をした場合は、その翌月から月割りで還付される決まりです。
年度途中で新規に登録した場合は、登録の翌月~翌年3月までの自動車税を月割りで課税されます。
また、車検切れであっても課税対象になり、納税通知書が届いているのに車検切れだからといって支払いをしないと、滞納することになってしまうので注意が必要です。
盗難や所在が不明になっているなどの事情がある場合、地域によっては『自動車税課税保留制度』によって保留になるケースもあります。
ただし、あくまでも保留であって、税金が免除されたわけではない点を押さえておきましょう。
参考:自動車税種別割課税関係についてのQ&A – 総務部札幌道税事務所
参考:自動車が盗難されたのですが、税金はどうなりますか。/千葉県
参考:<自動車税種別割>車検が切れていますが、自動車税種別割はかかるのですか。|徳島県庁コールセンター すだちくんコール
納付期限は原則5月31日
『自動車税(種別割)』の納付期限は、都道府県の条例で定められており、原則として『5月31日まで』に納めなければなりません。当日が土日祝日となる場合は、6月上旬までに納付します。
なお、地域によっては若干のズレがあり、青森県・秋田県の納付期限は6月30日までです。納付期限が分からない場合は、納税通知書の期限を確認したり、住んでいる都道府県のホームページを確認したりすることをおすすめします。
納付期限内に支払わなかった後の流れ
『支払いをしようとしたら納税通知書の期限が切れていた』『うっかり忘れたまま長期間放置してしまった』という場合もあるでしょう。
『自動車税(種別割)』の支払いが納付期限に間に合わなかったとき、一体どうなるのか流れを紹介します。
期限から20日後以降に「督促状」が発送
『地方税における猶予制度』の特例を受ける場合を除き、納付期限が過ぎているのに自動車税(種別割)が支払われない状態が続くと、約20日後に『督促状』が届きます。
この20日という期限は『法律で定められた日数』です。5月31日が期限となっている場合、6月20日以降に順次督促状が送付されるでしょう。
中には、郵便だけでなく電話やショートメールなどを使って、督促する自治体もあります。
また、自動車の登録が多い地域では処理に時間がかかるので、発送が遅れて到着が7月上旬になるケースもゼロではありません。
参考:令和3年度自動車税種別割の督促状を発送しました。岐阜県
参考:滞納したときは 新潟市
参考:総務省|新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方税における対応について
督促を無視すると「催告書」が送付
一度目の督促状を無視すると『二度目の督促状』が送られてきますが、それでも無視を続けていれば、今度は『催告書』が送付されることになります。
催告書は、督促状とは違い『内容証明郵便』で送られてくるのが一般的です。内容証明郵便は、送られた内容と日時を郵便局が証明するため、「催告書が届いていなかった」という言い逃れは通用しません。
催告書には、支払いがなければ『法的措置』を取ると記されています。届いた時点で、速やかに支払いましょう。
参考:催告書について 横浜市
「資産の差し押さえ」が行われる可能性も
催告書が届いても支払いを拒否すると、一体何が起こるのでしょうか?催告書を無視すれば、通知された通り法的措置によって『資産の差し押さえ』が行われます。
まず『差押予告通知書』が届き、それでも支払いがされなければ、自宅に自治体の職員がやって来て差し押さえ予告がされるのです。
そこで支払い能力がないと分かれば、預金や給与などが差し押さえられます。会社員の場合は、裁判所から会社に連絡が行き給与を差し押さえられるので、自動車税を滞納した事実を知られてしまうでしょう。
給与がなく現金を差し押さえられない場合は、家財道具を処分して未納分と滞納分を捻出します。自動車が処分の対象になることが多く、動かせないようにロックした後に公売にかけられて滞納分を徴収するのです。
自動車税を滞納するリスク
『自動車税(種別割)』を滞納しても、何もよいことはありません。金銭的な問題だけでなく、社会人として不可欠な信用問題にも関わってきます。自動車税を滞納するリスクについて見ていきましょう。
延滞金が発生する
納付期限が過ぎても支払いがないと『延滞金』が発生します。支払いが遅れれば、それだけ損をするのです。延滞金率は、その年によって微妙に異なるので、管轄の税事務所のホームページを確認しましょう。
令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間に該当する場合、期限から1カ月までは『2.4%』、1カ月以上過ぎた場合は『8.7%』です。
延滞金の額をもっと詳しく知りたい人は『自動車税額×延滞日数×延滞金率÷365日』で計算してみましょう。放置すればするほど、支払いが大変になってしまうことが分かります。
また延滞金は、納付期限の翌日から発生していますが、1000円未満の延滞金は支払いの義務はありません。期限までに支払えなかった場合でも、気付いたときにすぐ支払えば延滞金が発生しないので、早く行動した方が賢明です。
車検を受けることができない
車検は、2年に1回実施する義務がありますが、『自動車税(種別割)』を滞納していると車検を受けられません。車検を受けるには『納税証明書』が必要となり、滞納があると発行されないのです。
また、納税証明の電子化に伴い、普通自動車の自動車税を納付している人は提示を省略できるようになりました。しかし、未納分があるとシステムに反映されるので車検を受けられません。
車検切れの車で公道を走れば交通法の違反となり、罰金や懲役刑の対象になってしまいます。車検を受けるためにも、必ず自動車税を支払いましょう。
将来ローン審査に悪影響が出る可能性も
自動車税(種別割)を滞納しても、ブラックリストに個人情報が載ってローン会社の間で共有されるわけではありません。滞納した事実は、都道府県でのみ扱われる情報となります。
しかし、クレジットカードを作る際などに問題はなくても、将来住宅ローンなどを組む際に納税証明書の提出を求められる可能性があります。
滞納していた事実が明らかになった場合、審査に全く影響がないとは言い切れません。「住宅ローンも同じように滞納されるのではないか」と思われ、『不利な状況』に追い込まれても仕方ないでしょう。
自動車税を支払えない場合の対処法
『自動車税(種別割)』を払うあてがない場合、どうすればよいのでしょうか?何もせずに時間が過ぎて差し押さえとなった場合は、周囲からの信用を失ってしまいます。
支払えないと気付いた時点で、早めに対策を講じましょう。自動車税を支払えないときの対処法を紹介します。
分割払いができないか相談する
納税通知書が届いても支払える見込みがない場合は、速やかに都道府県の税事務所へ行き、自動車税(種別割)を支払えない旨を相談しましょう。理由によっては、分割払いが認められる場合があります。
分割払いするには『一括払いが困難な理由』が必要です。例えば、本人や生計を共にする家族が、重病になったときや自然災害に見舞われたときなど、どうにもならない状況であると認められれば分割払いに対応してもらえるでしょう。
ほかにも、事業の失敗や突然の解雇などの理由が該当します。ただし、分割払いが認められたとしても延滞金は免除されないので、支払い総額は大きくなることがポイントです。
なお、軽自動車の場合は、市区町村が分割払いに対応していないため、分割払いができません。
クレジットカードで支払う
『一括払いが困難な理由』が明確にない場合は、分割払いが認められません。そんなときは、クレジットカード決済で分割払いする方法があります。
クレジットカードの『分割払い手数料』は発生しますが、自動車税(種別割)自体は一括で納付できるので、延滞金は発生しません。
ただし、納付先がクレジットカード決済に対応していないと使えないので、注意しましょう。住んでいる都道府県のホームページを見れば、クレジットカード決済ができるか確認できます。
参考:都税クレジットカード納付 | 都税Q&A | 東京都主税局
構成/編集部