自動車を保有している人に対して課される税金が『自動車税』です。大きく三つの種類があり、中でも毎年支払いが生じる『自動車税(種別割)』について詳しく解説します。支払い義務者が決まるタイミングや、税金がいくらになるのかも見ていきましょう。
自動車税とは?
『自動車税』は、自動車を持っている人に課せられる税金です。毎日、自動車を使用している人はもちろん、たまにしか自動車を使用しなくても、保有している限り納税の義務があります。
自動車税は、支払いのタイミングに応じて、大きく3種類あります。それぞれの自動車税について、しっかりと押さえていきましょう。
自動車を保有している人に課される税金
『自動車税』は、自動車を保有している人にかかる税金で、下記のように三つに大別できます。
- 『自動車税(環境性能割)』:自動車を取得したときにかかる税金(旧:自動車取得税)
- 『自動車税(種別割)』:一般的に『自動車税』といわれているもので、毎年納める税金
- 『自動車重量税』:自動車の新規登録時や車検時に支払う税金
『自動車税』といった場合、いわゆる『自動車税(種別割)』を指すケースが多く、毎年、都道府県税として納めます。
なお、軽自動車の場合には『軽自動車税』として徴収されます。
参考:自動車の税って何があるの?|大きく変わった、クルマの税。
4月1日時点の保有者に対し課税
『自動車税(種別割)』が確定するのは『毎年4月1日』で、1年分の税金を納める義務があります。
たとえ年度途中で自動車を手放す予定があっても、一旦は1年分の税金を納めてから還付を受ける必要があります。
もし、3月31日までに名義変更が行われている場合、自動車税を支払うのは『変更後の保有者』です。
参考:都税:自動車税種別割 | 都税Q&A | 東京都主税局
原則5月31日までに支払いが必要
『自動車税(種別割)』が確定すると『納税通知書』が発行され、対象者に送付されます。
一般的に、納税通知書の送付時期は5月ごろで、支払い期限は『原則5月31日』です。ただし、県によっては支払い期限が異なることもあり、独自の締切が設定されているケースもあります。
また、金融機関の休業などでずれ込むこともあるため、納税通知書が届いたら締切をチェックすることが重要です。
自動車税の税額はいくら?
では、『自動車税(種別割)』の税額は、どうやって決まるのでしょうか?排気量ごとの基本的な金額や、減税制度についても見ていきましょう。
自動車の排気量に基づき決定
『自動車税(種別割)』の金額は、排気量によって変動します。2019年度(令和元年度)の税制改正に伴い、自動車税も制度始まって以来の改正がなされています。
自家用乗用車の場合、初回登録した年月日が『2019年10月1日』を境に適用される税率が異なるため注意しましょう。
≪2019年9月30日までに初回新規登録をした車≫
- 1000cc以下:2万9500円
- 1000超1500cc以下:3万4500円
- 1500超2000cc以下:3万9500円
- 2000超2500cc以下:4万5000円
- 2500超3000cc以下:5万1000円
≪2019年10月1日以降に初回新規登録をした車≫
- 1000cc以下:2万5000円
- 1000超1500cc以下:3万500円
- 1500超2000cc以下:3万6000円
- 2000超2500cc以下:4万3500円
- 2500超3000cc以下:5万円
どちらの場合も、排気量が上がるにつれて、自動車税の金額が増加していきます。
参考:総務省|地方税制度|2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります
環境性能に優れた新車は減税の対象
排気量を削減し、環境に配慮していると認められた自動車には、国が定めた減税制度が適用されます。『エコカー減税』『グリーン化特例』などがあるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
『エコカー減税』は、自動車の新規登録時や車検時に支払う税金『自動車重量税』が軽減される制度です。電気自動車・燃料電池車・プラグインハイブリッド自動車・天然ガス自動車・クリーンディーゼル乗用車など、環境に配慮した車種が対象となります。
基準を満たした場合は、自動車重量税が免税・軽減され、大幅に税金を節約できる仕組みです。
『グリーン化特例』は、電気自動車・燃料電池車・プラグインハイブリッド自動車・天然ガス自動車・クリーンディーゼル車が対象です。基準を満たした『翌年度のみ』自動車税が『最大75%減税』されます。
参考:自動車関係税制について (エコカー減税、グリーン化特例 等) – 国土交通省
参考:「エコカー減税」、「グリーン化特例」が延長! | 大きく変わった、クルマの税。
環境負荷が高い車は重課税がかかる
日本では、環境に配慮する目的で2002年に『自動車税種別割のグリーン化』を制定しています。環境負荷の低い新車の税金を優遇し、古い車に対しては税金を加算する制度です。
ガソリン車は13年以上、ディーゼル車は11年以上経過すると重課税の対象になります。基準は『自動車の新規登録からの年数』です。
2022年3月時点で、13年・11年以上経過した自動車には『旧税率』が適用されており、自家用乗用車には『約15%』の重課税が加算されます。
例えば、排気量1000cc以下の場合、2万9500円の自動車税に約15%が加算され、『3万3900円』となります。排気量1000超1500cc以下の車は、3万4500円が『3万9600円』に上がるなど、古い車を保有していると毎年の負担が増加するでしょう。
軽自動車の場合はより重課税が高く、加算される税率は『20%』です。ただし、ハイブリッド車の場合は、13年以上経過しても重課税されることはありません。
参考:自動車税(種別割)のグリーン化税制/京都府ホームページ
参考:総務省|地方税制度|平成28年度から軽自動車税の税率が変わります
自動車税の支払い方法
『自動車税(種別割)』には支払い方法が複数あるので、現金以外で支払いたい人も柔軟に対応できるでしょう。支払い方法によって納税証明書の発行方法が異なるため、その点には注意が必要です。
利用できる支払い方法は5つ
『自動車税(種別割)』には『現金払い』『口座振替』『クレジットカード』『一部のスマホ決済サービス』『一部の電子マネー』など、大きく5種類の支払い方法があります。
現金払いの場合、金融機関・都道府県の納税窓口・コンビニ・郵便局で支払いを受け付けています。口座振替にも対応しているため、翌年以降自動で引き落としをしたい場合は、口座振替を活用しましょう。
また、キャッシュレス決済に対応する都道府県も多くあり、クレジットカードや一部のスマホ決済サービスでも支払いが可能です。一部のコンビニでは、税金の支払いに電子マネーを使える店舗もあり、自動車税の支払い方法は多様です。
納税証明書の取得方法に注意
『自動車税(種別割)』を納税すると、原則『納税証明書』が発行されます。納税が完了していない車両は、車検ができません。車検の際に提示が必要になることもあり、重要な書類といえるでしょう。
ただし、現金払い以外で自動車税を納税すると、納税証明書の発行に手続きが必要になります。自治体によってルールは異なりますが、発行までに時間がかかることも多いでしょう。
また近年では、現金払い以外で納税した場合、納税証明の電子化によって、車検時の納税証明書の提示が省略されます。しかし、納税証明の電子化も時間がかかるため、『納税証明書がすぐに必要な場合は現金払い』が適しているといえます。
年度途中に購入・売却した場合の税金はいくら?
『自動車税(種別割)』は、年度途中に購入・売却すると金額が変わります。売却する場合は、還付の対象になるかも確認をしておきましょう。
購入時にその年の自動車税を一括支払い
年度途中に自動車を購入した場合、購入時に『自動車税(種別割)』を支払います。1年分ではなく月割で計算され、自動車税が発生するのは購入の翌月からです。
購入した月によって税額が変わるため、年度の後半に購入するとその年の自動車税は安くなります。
また、購入の翌月から自動車税が発生するため、月末より月初めに購入する方が少し有利です。末日に購入するとすぐに税金が発生してしまいますが、月初めに購入すると翌月までの約1カ月間は税金が発生しません。
購入日を少しずらすだけで約1カ月分もお得になるので、購入する日時は見計らうのが賢い方法といえます。
売却する場合は還付を受けられる
自動車を売却する場合、支払った1年分の『自動車税(種別割)』の中から還付を受けられるケースがあります。
それは、年度途中での売却前に、自動車の『抹消登録』を行った場合です。抹消登録は『運輸支局』で手続きを行うことができ、『一時抹消登録』の場合は手数料として350円かかります。
抹消登録後に売却をし、自動車税の還付がある場合は『還付通知書』が届きます。
なお、抹消登録を伴わない売却の場合、買取先が税金分を上乗せして買い取ってくれることがほとんどです。
しかし、税金分を上乗せするかどうかは義務ではありません。そのため、買取額に税金分が含まれているのか、自動車税の通知が来た場合に返金されるのかは売却の際に確認しましょう。