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『金持ち喧嘩せず』は昔からあることわざですが、どのようなシーンで使われるのか分からない人もいるでしょう。
詳しい意味や語源を知れば、正しく使えるようになります。社会人として知っておきたい、使い方や例文などをチェックしましょう。
ことわざ「金持ち喧嘩せず」の意味とは?
『金持ち喧嘩せず』は、優れた人物に出会ったときや、争いごとを仲裁するときなどに聞く機会があります。どんな意味がある言葉なのか、見ていきましょう。
金持ちは利益に敏感だから争わないこと
『金持ち喧嘩せず』とは『裕福な人や有利な立場にある人は争わないこと』を意味しています。
金持ちになれるくらいたくさんのお金を稼げる人は、利益に敏感で自分が損する方法は選びません。金持ちは、自分の立場が危うくなるような喧嘩をしても、損しかないことを知っているので争いごとを避けます。
このように『争わない方が有利な立場を失わずに済み、結果的に得になる』ということが分かっているという意味で使われます。
言葉の語源は麻雀から
麻雀にはさまざまな格言があり、『金持ち喧嘩せず』もその一つです。麻雀は4人で勝負するゲームで、多くの点数を獲得した人が勝利します。
金持ちは、最も多くの得点を手にした1位のプレイヤーを指し、有利な状態にあればリスクを冒してまで賭けに出る必要はありません。
手が悪いときはさっさと降りてゲームを進め、『勝ち逃げ』をした方が得策です。リスクマネジメントをうまく行うことで、それだけ金持ちになれる様子が語源となっています。
ことわざ「金持ち喧嘩せず」の使い方と例文
『金持ち喧嘩せず』の使い方は、コツをつかめばそれほど難しくありません。間違った意味で使用しないように、詳しい使い方と例文をチェックしましょう。
無益な争いはしないことをたとえて使う
無益な争いをしないことのたとえとして、『金持ち喧嘩せず』を使いましょう。得るものが何もないのに喧嘩をしても、周囲からの評価が下がってしまうだけです。
また、本当に金持ちな人だけでなく、人格者に対しても使用されることがポイントです。態度に余裕がある人や、周囲から尊敬されている人の振る舞いを見たときに使用しましょう。
ただし、本人に向かって直接言うと嫌味に思われる場合があります。やたらと使うのはやめた方が無難です。
【例文】
- さすが〇〇先生、つまらない煽りは全く相手にしない。まさに金持ち喧嘩せずだな。
- 水をかけられても怒らないなんて、金持ち喧嘩せずというのは本当ですね。
- わが社の社長は、金持ち喧嘩せずを体現したような人だ。
自分や相手を戒めるときに使う
『金持ち喧嘩せず』は、人の振る舞いを見て使うだけでなく、自分や相手を戒めたいときに使うこともできます。
『金持ち喧嘩せず』という考え方に従って『怒りを鎮めた方が得である』と、自分や他者を諭したいときにも出番がある表現です。
ただし、会社などで上司に使うと失礼にあたる場合があるので、目上の人へ直接使用するのは避けた方が無難でしょう。
【例文】
- つまらない喧嘩で時間を無駄にするな。金持ち喧嘩せずというじゃないか。
- 金持ち喧嘩せずだ。こんな小さなことで腹を立てるのはよそう。
- 私たちの店は、古くから地元の人々に愛されている。金持ち喧嘩せずというし、近所に出店されたからといって焦る必要はない。
一緒に覚えておきたい類語と対義語
『金持ち喧嘩せず』と似たような意味で使える類語や、反対の意味で使える言葉を知っていると、よりその場に合った言い回しができます。一緒に覚えておきたい類語や対義語を見ていきましょう。
金持ち舟に乗らず
『金持ちはリスク管理に優れている』と表したいときに、『金持ち舟に乗らず』といいます。金持ちはリスクを避けるため、船に乗らないという意味です。
船に乗ると、転覆や沈没などで危険な目に遭う可能性がゼロではありません。お金があれば船賃を出すことは難しくないですが、リスクを考えると安易に乗らない方が安全だといえます。
『金持ち喧嘩せず』と同じで、『立場が危うくなるようなことはしない』という意味で使われる言葉だと覚えておきましょう。
【例文】
- 社長の慎重な様子を見たか?金持ち舟に乗らずというのは本当だ。
- 金持ち舟に乗らずだ。多少遠回りしても、安全な道を進もう。
衣食足りて礼節を知る
『衣食足りて礼節を知る』は『着るものや食べものの余裕があれば、礼儀や節度をわきまえることができる』という意味のことわざです。
寒さに震え満足に食事ができない状態では、生きることに精いっぱいで、人を思いやる心を持てなくなっても不思議はありません。生活に余裕を作ることの大切さを表現したいときに使いましょう。
【例文】
- 衣食足りて礼節を知るというが、十分に満たされているのに道徳心が足りない人もいる。
- 起業当時はガツガツしていた彼も、成功した今ではすっかり変わった。衣食足りて礼節を知るというのは本当だな。
貧すれば鈍する
『貧すれば鈍する』は『貧しくなると、どんなに優れた人物でも才能や高潔さを失ってしまう』という意味です。『金持ち喧嘩せず』とは反対の意味で使われます。
余裕のある生活をしていたときは、周囲から「才能がある人物」と言われていたのに、金銭的な余裕がなくなり、その人の知力・判断力などが衰えたように感じられたときに使用しましょう。
【例文】
- 生活に追われ、創作活動に身が入らなくなった。貧すれば鈍するとはこのことだ。
- 貧すれば鈍するとは思われたくないので、振る舞い方には注意している。
構成/編集部