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『虫の居所が悪い』という言葉を、聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、正確な意味をよく分かっていない人もいるかもしれません。意味を間違えて困ったことにならないように、言葉の意味や使い方、さらには類語もチェックしましょう。
「虫の居所が悪い」とはどんな意味?
『虫の居所が悪い』は、昔から使われている言葉ですが、ピンと来ない人もいるはずです。間違えて使用しないように、正しい意味を押さえておきましょう。
機嫌が悪く怒りっぽい状態
『虫の居所が悪い』とは、ちょっとしたことでも怒るような「機嫌が悪い状態」になっていることを意味します。トゲがあることを言ったり、ツンツンした態度を取ったりしている人の様子を指す言葉です。
例えば、普段は朗らかな人でも、何か気に障ることがあったときに怒りっぽくなる場合があるでしょう。そんなときに『虫の居所が悪い』と表現します。
機嫌を損ねていることのたとえであり、本物の虫が関係しているわけではありません。
「虫の居所が悪い」の由来とは?
『虫の居所が悪い』の『虫』は、昔の中国の道教において「体内にいるとされていた虫」のことです。体内にいるといっても、寄生虫のような本当の虫ではありません。
人の感情が揺り動かされたり病気になったりする理由は、体内に3匹の虫がいて悪さをしているからだと考えられていました。虫はそれぞれ違う場所におり、人にさまざまな影響を与えるとされていたようです。
虫のせいにする考え方を、無責任なように思う人もいるかもしれません。しかし、科学が発展していない時代には、感情や病気について詳しく分かっていなかったこともあり、こうした考え方が受け入れられたのでしょう。
「虫」が付く慣用句は多い
『虫の居所が悪い』と同じように、『虫』が使われている慣用句はたくさんあります。
例えば、自分にとって都合のよい考え方をすることを『虫がいい』といいます。「虫がよすぎる考えだと思うが、許してほしい」というセリフを、聞いたことがある人もいるでしょう。
ほかにも、何となく悪いことが起こりそうな予感を『虫の知らせ』といい、こちらもよく使用されます。
どちらも、体内にいる『虫』に由来する言葉です。意外と多くの言葉に使われているので、意味や使い方を覚えておきましょう。
「虫の居所が悪い」の使い方と例文
よほどできた人物でない限り、負の感情を全く表に出さないことは難しいものです。日常で『虫の居所が悪い』人に出会う可能性は十分にあり、実際に使用する機会が多い言葉だといえます。
ここでは、具体的な使い方と例文を見ていきましょう。
自分や相手の機嫌を表現するときに使う
『虫の居所が悪い』という言葉は、機嫌が悪い人に対して使用する言葉です。自分の機嫌が悪いときにも使用でき、自分でもなぜイライラしているのか原因がよく分からないシーンなどで使用されます。
イライラしやすい人にとっては便利な言い回しですが、あまり使いすぎると相手に気を使わせたり、萎縮させたりしてしまう恐れがあるので注意しましょう。
また、相手の状態を判断するシーンでもよく使われます。例えば、機嫌が悪い人がいることを、誰かと共有したいときにも使えるでしょう。
「虫の居所が悪い」の例文
『虫の居所が悪い』の意味や使い方が分かったところで、具体的にどのように使えばよいのでしょうか?正しい使用方法を理解するために、例文をチェックしましょう。
【例文】
- 原因はよく分からないが、今日は何となく虫の居所が悪く気分がスッキリしない。
- 〇〇さんの虫の居所が悪いみたいだから、言葉遣いに気を付けた方がいいよ。
- 何もしていないのに、なぜか彼女に怒られた。虫の居所が悪かったのかな。
- 今日は天気が悪いせいか、虫の居所が悪い人が多いみたいだ。
相手の機嫌が悪いことを推測するときに使うことが多いため、『虫の居所が悪い』と面と向かって本人に言うと角が立つので注意しましょう。
「虫の居所が悪い」の類語
日常やビジネスシーンなどでは、誰かの機嫌が悪い状況に偶然出くわすことがあります。『虫の居所が悪い』の類語やその使い方を知っていると、よりシチュエーションに合った表現ができるでしょう。
ご機嫌ななめ
『ご機嫌ななめ』は、『虫の居所が悪い』と同じ意味で使用できる言葉です。「不機嫌ですね」と言うよりも若干柔らかいニュアンスになるので、機嫌が悪いという直接的な表現を避けたいときに役立ちます。
子どもの態度をたしなめたいときや、あまり深刻な印象を与えたくないときなどに使用するとよいでしょう。
ただし、機嫌が悪い人は、自分の状態を指摘されるとかえって怒りを深めることがあります。使いどころを間違えないように注意しましょう。
【例文】
- 今日の彼女はご機嫌ななめな様子で、何を言っても笑ってくれない。
- 課長がご機嫌ななめみたいだから、うまく立ち回るようにしよう。
腹の虫が治まらない
『腹の虫が治まらない』は、「腹が立って仕方がない様子」を表しています。『虫の居所が悪い』と同じように、体内の『虫』が関係している慣用句です。
ただ怒っているというよりも、「どうしようもなくイライラして抑え切れない気持ち」を表現したい場合に使えます。
少々機嫌が悪いというときに使用するのではなく、どうしても許せないことが起きたときに大きな怒りを表現する目的で使用しましょう。
【例文】
- あまりのひどい仕打ちに、腹の虫が治まらない。
- 彼は腹の虫が治まらない様子で、ドアを開けっ放しにしたまま出て行ってしまった。
構成/編集部