あなたは「シビックプライド」という言葉を聞いたことはあるだろうか。
「シビックプライド」とは、その都市に対する市民の誇りを指す概念。「郷土愛」とは異なり、都市をより良い場所にするために、自分自身が主体となって関わるという当事者意識が前提として存在する。
そんな「シビックプライド」が高い自治体を調べる実態調査がこのほど、読売広告社により実施された。調査対象エリアは、関東圏(1都6県)、関西圏(2府4県)における人口10万人以上の151自治体で、調査対象者は対象エリアの自治体に住む 20歳~64歳の男女となる。
総合ランキング 関東1位は東京都「中央区」、関西1位は兵庫県「西宮市」
■<総合1位(関東1位)> 中央区(東京都)
2021年 東京オリンピック・パラリンピックにおける選手村などでも注目を集めた中央区が前回8位からさらに順位をあげて1位になった。今回調査では、居住する街への評価や街との関わり方に関して、「お気に入りの場所がある」「街の散策や散歩をする」「なじみのお店を通じた人づきあいがある」といった項目で、他自治体よりも高い傾向がみられた。
また、ウェルビーイング指標(Better Life Index)の構成要素の1つとしてもあげられる住宅に関する評価においても上位となっており、ファーストプレイスとしての住まい、サードプレイスとなるお気に入りの散策先やお店の存在、などが高評価を支えているポイントのようだ。
■<総合2位(関西1位)> 西宮市(兵庫県)
教育・文化、街の景観、利便性など様々な項目で高い評価を得た西宮市が前回に引き続き2位となった。今回調査では、そのような環境面の評価に加え、「もっと良い街にしたい」「市民として発言できる機会が確保されている」といった市民の街づくりに対する意識の高さも目立った。
総合ランキング 上位のトピック
■コロナ禍が生んだ新たな価値観が、自身が住む街の評価のきっかけに
3位に入った藤沢市をはじめ、鎌倉市(9位)茅ヶ崎市(16位)といった神奈川県湘南エリアの自治体が前回から順位をさらにあげて上位にランキングしている。なかでも藤沢市や茅ヶ崎市は、街に対する気分として「ゆったり、のびのびできる、健康的な、ワークライフバランスのとりやすい」などが他自治体よりも高い評価となっている。
コロナ禍によって、都心と自然豊かな郊外のデュアルライフ(二拠点生活)や、プライベート活動を大事にするライフスタイルなどに注目が集まったことが、すでにそこに住んでいる市民が、自分達のライフスタイルや街の価値を改めて感じるきっかけになったと思われる。
■進む在宅ワークによる地元経済圏の利用から街の魅力を実感
立川市(13位)、世田谷区(18位)、中野区(24位)といった東京西部のエリアでランクアップが目立っている。コロナ禍以前は、ベッドタウンとして寝るだけの街として利用していた人が、在宅ワークの推進などにより1日をともに暮らす街として利用しはじめたことで、はじめて自分の住む街の魅力に気が付いたケースも多かったことが考えられる。 今回調査では、立川市、中野区とも「飲食店が充実している」が他自治体や前回調査よりも高い評価となった。
■行政として明確な特徴をメッセージし続ける街の評価が浸透
行政としても子育て支援に積極的に取り組む明石市(14位)や流山市(32位)のランキングが前々回*、前回調査からあがりつづけている。今回調査でも、「安心して子育てができる」は明石市、流山市とも他自治体を上回る評価となっている。
なお、この2市は「環境や人口問題など社会課題に積極的に取り組んでいる」に関しても他自治体を上回っており、単に自分がサービスの受け手として感じる“子育てのしやすさ”が評価されるだけでなく、行政としての姿勢を評価する傾向があるといえそうだ。
*一部調査設計が異なるため参考値
<調査概要>
調査方法:インターネット調査
調査対象者:以下対象エリアの自治体に住む 20歳~64歳の男女
調査対象エリア:関東圏(1都6県)、関西圏(2府4県)における人口10万人以上の151自治体
調査内容:
・現在 住んでいる街(自治体)に対する意識
ー街に対する意識(愛着、誇り、共感、継続居住意向、他者推奨意向、地域とのつながり など)
ー街の環境評価(インフラ、街並み、治安、地域イベント、育児環境、SDGs(ジェンダー平等)など)
ー街に対して感じる気分や気持ち
・居住歴 ・ウェルビーイングに関する評価 ・生活満足度 など
有効回収数:15,300s ※各自治体100s以上
調査時期:2021年12月17日~12月22日
出典元:株式会社読売広告社
構成/こじへい