キレのある低域から輝くような高域まで高い解像度で再現
ゼンハイザーから有線タイプのカナル型イヤホン、「IE 600」が発売された。価格はオープンプライス、実勢価格は約99,880円。
自社で独自開発したTrueResponseトランスデューサーを搭載。同社シングルダイナミックドライバーならではの、低域から高域まで滑らかな音のつながりを実現したという。
早速、その主な特徴をチェックしていこう。
素材からこだわる
ドイツのへレウス社が提供するアモルファスジルコニウム素材「AMLOY-ZR01」をハウジングに採用。通常のメタルよりも頑丈でありながら伸縮性があり、同社によれば、気温の変化に強い特性を持つ同素材をイヤホンのハウジングに使用するのは極めて稀なことだという(注意:ジルコニアとはまた違った素材となる)。
アモルファスジルコニウム素材をハウジングに採用
同素材は腐食に強いため経年劣化しにくく、長い年月に渡って高いパフォーマンス、つまりハイエンドサウンドを奏でることが可能。またアモルファスジルコニウムはNASAの火星探査機のドリルにも使用されるほどの素材であり、その耐久性や堅牢度がうかがえる。高品質なイヤホン内部のパーツを保護するという観点からも優れていると言えるだろう。
加えてアモルファスジルコニウム素材はアルミやプラスティックよりも『重さ』があるために、外からの音を遮断することに優れている。このため周囲の音に左右されにくく、イヤホンからのサウンドを楽しめる、と同社では説明している。
超高性能3Dプリンターで形成されたハウジング
細部までこだわったハウジングの形成には超高性能3Dプリンターを用いて、パウダーの状態から製造。正確無比なレーザーを照射してレイヤーごとに効率よく積層していく粉末焼結積層造形法により、イヤホンにおける最も重要な部分の一つである筐体を形成した。
繊細な音を描き切るためのデュアルレゾネーターチャンバー
IE 600のノズルに詰め込まれたゼンハイザーのこだわりの音響技術である、マスキングによる共振を排除するためのデュアルレゾネーターチャンバーを搭載。これにより高域を伸びやかにして活かし、繊細な音を再現していく。
デュアルレゾネーターチャンバーを搭載
今回は2つのチャンバーを配置することにより、余計な振動を減少させ、中高域の特定周波数帯域の耳に刺さるような音を抑制。これによりロー、ミッド、ハイの全体の周波数帯域に調和をもたらし、まとまりのあるサウンドを再現する。
ボーカルを近くに感じるIE 600
IE 600と既発売のIE 900との大きな違いは2kHz-3kHzの帯域にある。それぞれに搭載されたバックボリューム機構のサイズにより盛り上がる周波数帯域が異なっており、これによりIE 600はボーカルにより臨場感が創出され、アーチストとの〝近さ〟を感じることができるチューニングとなっているという。
一方、フラッグシップモデルであるIE 900は全帯域において高い再現性を保持している。互いに異なる色を持つ2つのイヤホンだけに、好みや気分に合わせての使い分けも可能だ。
IE 600の内部を分解した様子
エアコントロールでピュアサウンドを生み出すアコースティックバックボリューム
イヤホンという小さな世界に詰め込んだ技術はデュアルレゾネーターチャンバーだけでは終わらない。
無駄な音を排除し、クリアなサウンドを届けるために重要な役割を果たすのがアコースティックバックボリュームだ。
これはハウジング内のエアーの方向と量を調節し、低域と中域の分離感をスムーズにする機構で、これにより、不要な共振を取り除き、不快な音を低減。淀みないニュートラルで確かな存在感の低域と中域のサウンドを実現していく。
タフなのはハウジングだけじゃない
IE 600にもゴールドプレートのFidelity+MMCXコネクターが採用され、高い耐久性と安定感で上質なサウンドをサポート。ケーブルは8,000回以上の折り曲げにも耐えることができるパラアラミド繊維で強化したケーブルで、高い耐久性を誇る。
Fidelity+MMCXコネクター
「IE 600」の主な仕様
関連情報
https://ja-jp.sennheiser.com/ie-600
構成/清水眞希