愛犬と食べたい♪さつまいもの簡単レシピ&栄養素や注意点まとめ
さつまいもといえば、秋を代表する味覚のひとつ。
甘みが強いさつまいもはワンコからも人気がある野菜なので、日頃からおやつとして愛犬に与えている方も多いかもしれませんね。
今回は、そんなさつまいもを使った簡単手作りレシピや、さつまいもに含まれる栄養素の働き、与える時に注意したいことなどをまとめました。
野菜を愛犬に与えても大丈夫か迷ったときは、併せて以下の記事も参考にしてみてください。
監修:獣医師 古江加奈子
パーク動物医療センター副院長。福岡県獣医師会、福岡市獣医師会、日本獣医がん学会に所属。言葉の話せない動物を治療するうえで、動物たちに聞く代わりに飼い主から沢山のことを聞き、飼い主とのコミュニケーションを最重視するドクター。 |
さつまいもは犬に食べさせても大丈夫!
さつまいもは、基本的には犬に食べさせても大丈夫な食べ物です。
与える量やアレルギーなどに注意する必要はありますが、人間だけでなく犬にとっても健康上のメリットがある栄養素が豊富に含まれています。
犬は、味覚の中では甘味が一番感じやすいと言われているため、さつまいものように甘い野菜は普段から大好物という子も多いでしょう。
さつまいもを使った市販の犬用おやつやケーキはたくさんありますが、安く手に入って調理もしやすいので、手作りおやつの材料としてもおすすめです。
さつまいもの栄養素と犬の健康に期待できる効果
さつまいもは調理方法によって栄養成分が変わりますが、エネルギー源となる炭水化物の他、食物繊維やビタミン、カリウムなどが多く含まれている野菜です。
さつまいもの主な栄養成分(可食部100gあたり)※皮なし/蒸しの場合
エネルギー | 131kcal |
炭水化物 | 31.9g |
不溶性食物繊維 | 1.7g |
ビタミンC | 29mg |
ビタミンB1 | 0.11mg |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 1.5mg |
カリウム | 480mg |
さつまいもの主な栄養成分(可食部100gあたり)※皮なし/焼きの場合
エネルギー | 151kcal |
炭水化物 | 39g |
不溶性食物繊維 | 2.4g |
ビタミンC | 23mg |
ビタミンB1 | 0.12mg |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 1.3mg |
カリウム | 540mg |
【不溶性食物繊維】
さつまいもに豊富に含まれている「不溶性食物繊維」は、便のカサを増やすことで腸の蠕動運動を刺激し、排便をスムーズにさせる効果があります。体内に溜まった老廃物を吸着して排出するデトックス作用もあるため、腸内環境が改善され犬の口臭や便の臭いを和げる効果も期待できるでしょう。
【ビタミンC】
抗酸化作用を持つ「ビタミンC」は、通常は加熱によって分解されやすい成分ですが、さつまいもの場合はデンプン質に守られているため加熱しても壊れにくいのが特徴です。
犬にとってビタミンCは体内で生成できるため不足しやすいものではありませんが、肝臓の悪い犬や生成機能が弱まった老犬などの場合、積極的に摂取したい栄養素といえます。
【ビタミンB1/ビタミンE/カリウム】
「ビタミンB1」は疲労回復や皮膚・粘膜の健康維持に、「ビタミンE」は体内の老化予防に、「カリウム」は利尿作用や代謝促進などに効果を発揮する栄養素です。
【その他の栄養素】
さつまいも特有の成分である「ヤラピン」は便を柔らかくする効果があることで知られています。食物繊維との相乗効果で、「さつまいもが便秘解消に良い」といわれる一因でもあります。
他にも、さつまいもにはポリフェノールの一種で強い抗酸化作用を持つ「クロロゲン酸」という成分も含まれています。
ただし、クロロゲン酸はさつまいもの皮付近に多く含まれているため、摂取させたい場合には皮付きのまま短時間で調理して、後から皮をむいて食べさせるのが良いといわれます。
【獣医師×管理栄養士考案】愛犬と一緒に食べられるさつまいもレシピ
手作りおやつやごはんにおすすめな、犬と人間が一緒に食べられるさつまいもレシピをご紹介します。
獣医師さんと管理栄養士さんが考案した栄養バランスが良いメニューばかりなので、ぜひ作ってみてください。
①スイートポテト
簡単に手作りできて見た目にも可愛いスイートポテト。レンジでふかしたさつまいもをマッシュして、材料を加えてトースターで焼くだけの手軽なおやつです。
【材料(2人分+2㎏犬)】
さつま芋 200g(185g+15g(一口大サイズ)) 豆乳 50㏄(45㏄+5㏄(小さじ1)) 無塩バター 5g(4.5g+0.5g(小指爪程度)) 卵黄 1個分(16g+2g(耳かき2杯分程度)) ごま 3g(2.8g+0.2g(少々)) はちみつや粉糖 適量(ヒトのみ) |
②さつま芋と胡麻の蒸しパン
鍋や深めのフライパンがあれば作れる蒸しパンは、朝ごはんや小腹が空いたときにぴったり。さつまいもは腹持ちが良く、アンチエイジングや美肌効果が期待できるため飼い主とっても嬉しいおやつでしょう。
【材料(2人分+2㎏犬)】
さつま芋 100g(90g+10g) 小麦粉 100g(90g+10g(大さじ1)) ベーキングパウダー 5g(4.5g+0.5g(耳かき一杯程度)) 豆乳 100㏄(90㏄+10㏄(小さじ2)) 卵 1個(45g+5g(小さじ1程度)) ヨーグルト 30g(25g+5g(小さじ1程度)) ごま 10g(9g+1g(ひとつまみ)) はちみつ 適量(ヒトのみ) |
③大学芋
さつまいもで作るおやつといえば、欠かせないのが大学芋!油で揚げずに作れるレシピなのでヘルシーです。
【材料(2人分+2㎏犬)】
さつま芋 200g(180g+20g) 水 50㏄(45㏄+小さじ1) はちみつ 小さじ1(小さじ8/9+1/9) ごま 小さじ2(小さじ1・4/5+1/5) はちみつ 小さじ2(ヒトのみ) バター 10g(ヒトのみ) |
④さつま芋きんとん
さつまいも本来の甘みが味わえる芋きんとんは、柔らかくて口の小さなワンコでも食べやすいおやつです。ケーキのデコレーションなどに使うのも良いですね。
【材料(2人分+2㎏犬)】
サツマイモ 200 g(170+30〈ゴルフボール大〉) 水 150 ㏄(130+20) 無塩バター 10 g (9+1) 豆乳50㏄(40+10) はちみつ 15 g(ヒトのみ) |
⑤秋鮭とさつまいものクリームシチュー
さつまいもや鮭をはじめ、秋の味覚がたっぷり入った栄養価の高いクリームシチュー。鮭は抗酸化成分を豊富に含んでいるので、老犬にもおすすめの手作りごはんです。
【材料(体重10kgの犬1食分)】
鮭切り身 50g さつまいも 30g 人参 10g かぼちゃ 15g しめじ 10g ブロッコリー 10g 片栗粉 1〜2g 豆乳 50cc 水 80cc オリーブオイル 5cc |
⑥かぶと秋鮭のはさみ蒸し
鮭とさつまいもを使った、メインのおかずにもなる手作りメニュー。見た目はとってもおしゃれですが、切って蒸すだけなので作り方は簡単です。
【材料(体重10kgの犬1食分)】
かぶ 80g 鮭 80g さつまいも 80g 胡麻 小さじ1/2 |
量や皮に注意!愛犬にさつまいもを与える時に気をつけること
栄養豊富で美味しく食べられるさつまいもですが、誤った与え方をしてしまうと愛犬の体調不良に繋がってしまう恐れがあります。
愛犬にさつまいもを食べさせる時に気をつけたいことをまとめました。
①生のままはNG!加熱して皮を取り除いて与える
生のさつまいもは消化されにくいため、生のまま与えてしまうと消化不良による下痢や嘔吐などの症状を起こしてしまうことがあります。犬に与えるときは必ず加熱調理してからにしましょう。
また、さつまいもの皮も消化には良くないので、取り除いた方がベターです。蒸す、焼く、煮るなどで柔らかく調理し、皮をむいて食べやすいサイズにカットしたものを食べさせてあげてください。
②与える量に注意して食べ過ぎないようにする
さつまいもは野菜の中でも炭水化物が豊富でカロリーも高いため、食べ過ぎると肥満に繋がってしまいます。
一度に大量に食べさせるのは特にNGで、たとえ加熱調理したさつまいもでも食物繊維の摂り過ぎで下痢や消化不良を起こす危険があるので注意してください。
1日に与えても良い量の目安は、体重5kgの犬でおおよそ24~26g程度です。
③人間用のさつまいも加工品(おやつ)は避ける
犬用のさつまいもボーロやクッキーなどのおやつであれば量を守れば問題ありませんが、人間用のさつまいも加工品を与えるのはおすすめできません。
一般的に、市販のさつまいもチップスやスティック、芋けんぴ、芋羊羹、大学芋などの人間のお菓子には、砂糖や塩、油などが多量に使われているため、犬にとっては過剰摂取となってしまいます。
スーパーで売られている焼き芋や、原材料がさつまいものみの干し芋などであれば与えても大丈夫ですが、焦げた部分や皮は取り除き、量にも注意しましょう。
④アレルギーに注意する
さつまいもはアレルギーが発症しにくい食べ物といわれますが、他の食べ物と同様に、発症のリスクはゼロではありません。
特に初めて食べさせるときは少量からスタートし、愛犬の様子をよく観察しながら与えてあげてくださいね。
さつまいもを食べた後に体をかゆがったり、目が充血している、下痢・嘔吐をするなどの症状が見られた場合にはアレルギーの可能性があります。
万が一、愛犬がさつまいもでアレルギーを起こしてしまったら、すぐにかかりつけの動物病院へ連れて行きましょう。
腎臓病・心臓病・シュウ酸カルシウム結晶ができやすい犬は食べない方が良い
さつまいもはカリウムが豊富な食べ物なので、過剰摂取すると高カリウム血症を引き起こしてしまう恐れがあります。
健康に問題のない犬に量を守って与えている分には、カリウムは腎臓から排出されるので心配ありません。
しかし腎機能が衰えている犬だとその排出が上手く行われず、少量のさつまいもでも高カリウム血症を起こしてしまう危険があります。
カリウムが体内に留まり、血液中のカリウム濃度が高くなると、不整脈など重大な心臓疾患に繋がる恐れもあります。腎臓病や心臓病を患っている犬や、獣医師からカリウム制限を言い渡されているような場合にはさつまいもは与えない方が安心です。
また、さつまいもに含まれる「シュウ酸」は、シュウ酸カルシウム尿結石の原因として知られている成分です。皮に多く含まれているため、皮を剥いてからゆでこぼすことで取り除くことができるといわれますが、シュウ酸カルシウム結晶ができやすい体質の犬にさつまいもを食べさせるのは避けた方が良いでしょう。
愛犬と一緒に秋の味覚を味わおう
さつまいもの簡単レシピや、さつまいもに含まれる栄養素の働き、犬に与える時の注意点についてまとめてご紹介しました。
ちょっとした御褒美おやつや、記念日のごちそうに、愛犬と一緒に秋の味覚さつまいもを味わってみてはいかがでしょうか。
文/黒岩ヨシコ