ハイエナって、何なんだ?
サバンナに生息する動物の中で、ライオンやゾウと並んでよく知られている動物に、ハイエナがいる。見た目は地味だけど妙に知名度があるのは、きっと自然ドキュメンタリー系の番組で目にする頻度が昔から高いからだろう。
ハイエナは狩りもするが他の肉食動物が食べ終わったあとの、残った骨や肉なども好んで食べる習性をもっており、骨なんてかみ砕いてまるごと飲み込むほどには貪欲だ。消化器も優秀で、多少腐ってるものでも問題なく食べてしまう。さらに骨を保存食にすることもあり、巣穴に持ち込むという知恵まで有している。こうして直接狩りをしない場合でも、生命維持を図ることが出来るというのがハイエナの強みだろう。
しかしそのハイエナって、見た目は犬に似ているけども、食べ終わったあと、未消化物を吐き出すという習性も見せることがあり、そこは猫に近い。果たしてハイエナって、犬と猫、どっちに近い生き物なのか。
今回はちょっと、そこに注目していきたい。
ハイエナは猫の仲間だけど、ウルフと呼ばれる種類もいる!
まず率直にハイエナの分類について最初に書いてしまうと、彼らはジャコウネコの近縁となる。一応猫亜目のハイエナ科に分類されているが、猫亜目の中にはハイエナ科、マングース科などの分類がなされており、犬猫どちらに近いかと言えば、これは猫ということになる。
見た目は犬っぽいし、犬のように首輪をつけられて人に飼育されているハイエナもいるため混乱してしまうんだけど、どちらかと言えば彼らは猫に近いってわけだ。
しかしハイエナ科は現在4種類が確認されており、その中にアードウルフという名前のハイエナもいる。猫に近い種類なんだけど、見た目が犬の近縁であるオオカミっぽいからウルフと呼ばれているわけだ。
もっともこのアードウルフは狩りをしないし肉も食わない。珍しいことにこのアードウルフは主にシロアリなどの昆虫を食べることに特化しており、他のハイエナのような強いアゴも消化器官も有していない。ただし見た目は他のハイエナによく似ているため、牧場付近などでは家畜を守るために、人から追い払われることもしばしばあるようだ。ちょっと可哀想なハイエナである……。
ハイエナの中には、ネコ科そのものの狩りをするものも
4種いるハイエナのうち3種は他の動物の肉を食べる習性があるが、中でもブチハイエナはまさしくネコ科のイメージ通りの狩りを得意とする。ハイエナと言えば食事風景を指して「ほかの動物から横取りしたものを食べてる」とか「食べ残しを漁ってるスカベンジャーだ」みたいなことを言われがち。
しかしブチハイエナは口にする肉のおよそ半数は自力で捕獲したもので、むしろそれをライオンなど自分よりさらに上位の肉食獣に奪われてしまうことも少なくないという。またブチハイエナは相当な早食いでも知られている。さっさと獲物を食べないとライオンに横取りされる可能性が高くなるわけなので、合理的と言えば合理的ではある。
他にもシマハイエナやカッショクハイエナなども存在しているが、この2種は身体もそこまで大きくないので、他の動物の食べ残しを平らげるという食性を見せるのがほとんど。いわゆる一般的なハイエナのイメージ像にピッタリ当てはまるのは、これらのハイエナたちだろう。
おわりに
ちなみに現代社会においては、ハイエナと言えば「ほかの人の功績を奪って自分の昇進に利用する」みたいな意味合いで表現されることが多いもの。「ハイエナみたいな人だ」というのは、ほぼほぼ悪口で使われている。
さらにパチンコをする人には昔からおなじみの表現として「ハイエナ」ってものがある。これは他人がお金を突っ込んでも出なかった台を、その後に座ってさっさと大当たりさせる人に向けて投げつけられる言葉だ。
他人が散々お金を使った台でさっさと当てちゃう。そういう人はやっぱり嫌われてしまうもので、ハイエナ扱いされがち、というわけだ。
文/松本ミゾレ