猫のふみふみ、千差万別!
猫を飼っていると、たまに見ることのできるアクションに“ふみふみ”がある。
このふみふみ行動、たとえばお気に入りの毛布や飼い主のお腹を、パンをこねるように前脚でマッサージするように行う。そのため、見た目的にはとってもかわいいアクションなのだ。
基本的には安心しきっているときに見せることの多いふみふみ。しかし、一口にふみふみと言っても、色んなバリエーションがある。猫によってふみふみの際のアクションがちょっと違ったりものするのが面白いところである。
今日は、そんなふみふみスタイルの世界を説明していきたい。
甘えん坊キャットの甘えふみふみ
ふみふみという行為自体は、成長した猫でもいわゆる子猫返りしてしまった瞬間などに見せがち。飼い主に過剰に甘えてしまう個体や、親離れが早すぎた個体などは、ふみふみという行動を見せる頻度が高いという。
そしてふみふみの際は大抵精神的に落ち着いているのか、それとも眠いのか、ゴロゴロと喉を鳴らしている個体が目立つ。ゴロゴロ鳴きをしながら、前脚を使って毛布をこねこね、ふみふみ。
その表情は目を細めていることが多く、なんとも愛らしい、素敵な姿をしているため、スマホを取り出して動画撮影をする飼い主さんはきっと大勢いるはずだ。
むしろその瞬間を動画撮影しないなんて、もはや何のためにスマホを持っているのか? というレベルである(笑)。
飼い主さんに抱っこされて、ついエアーふみふみ
また、前脚で直接何かふみふみすることもないのに、ついつい手元がこねこねと動いてしまう猫もいる。たとえば飼い主さんに抱っこされて、すっかり落ち着き、眠たくなってきた猫などがこの行動を見せることが多い。
信頼している大好きな飼い主さんに抱きかかえられ、頭を撫でたりしてもらううちに気分が良くなって、前脚の先を閉じて、開いてのグーパーしぐさを見せるのだ。そう、これがエアーふみふみというヤツである。
エアーふみふみをしているときも、やはりゴロゴロと喉を鳴らしている猫は多い。こちらの場合も、とにかく安心しきって、最高のまどろみを味わっているということだろう。
ふみふみしつつのおしゃぶりは、ちょい危険?
さて。猫のふみふみはとても可愛らしい行動なんだけども、ちょっとだけ注意しておきたい場合もある。ふみふみはウールサッキングとも呼ばれる行動で、ウール。つまり羊毛などやわらかい繊維をしゃぶるという行動を指す。
そもそもふみふみをするのは、子猫が母猫のおっぱいを前脚で揉んでミルクの出を良くするための行為ともいわれている。なので猫の中には、大きくなっても子猫のときの行動の癖がたまに出てしまう個体もいるというわけだ。
そのしぐさは可愛いので別に問題ないんだけど、ふみふみの際に毛布を噛む、チュパチュパするという場合はちょっとだけ注意が必要となる。毛布によってはふみふみ、チュパチュパに長い間耐えられず、ほどけてしまうものもある。また、ふみふみの際に布地などを噛む猫の場合、いつの間にか布を食べてしまっていることも。
こういうことが起きないように、ふみふみをしている際は誤飲しないかどうかを逐一チェックすることも大事。飲み込んでお腹の中で詰まってしまうと面倒だ。ある程度ふみふみ、チュパチュパに耐えた毛布はお役御免とし、飼い猫に新しい毛布を使わせてあげたい。
ウールサッキング自体、そこまで珍しい行動ではないので、飼い主さんのこまめなチェックは必要だろう。
ちなみに、猫によっては毛布をチュパチュパせず、飼い主さんの指をおしゃぶり代わりにチュパっちゃう子もいる。ちょっと指先がくすぐったいとは思うが、飼い猫がそういうことをするんであれば、甘んじて受け入れてあげよう。このとき、前脚もエアーふみふみしているケースが多い。甘えたくて仕方がないのだろう。
オス猫は毛布を噛みながらのふみふみも
それから、オス猫を飼っていると、たとえ去勢していても時折毛布を噛んで唸りながら、前脚、後ろ脚をちぐはぐに使ってのふみふみをしている様子を見かけることがある。
これはオス猫がメス猫の首を噛んで大人しくさせるという、繁殖の際に見られるネックグリップと呼ばれる行動の名残。
前述のような子猫返りが原因ではない、また別のふみふみスタイルとなる。去勢をするのが遅れたオスがこういう行動を見せることがあるが、特に害はないので邪魔などせず、したいようにさせておくのがいいだろう。毛布を噛んだままふみふみするので、どうしてもそのままずるずる引きずってしまい、リビングとかに毛布が出てしまうこともあるかもしれないが……。
おわりに
と、このように、一口に“ふみふみ”といっても、色々とバリエーションはあるものだ。猫によって披露するふみふみスタイルは微妙に違うところが面白いところである(一生涯しない猫もいるけど)。
我が家ではエアーふみふみをする猫もいればネックグリップふみふみをする猫もいる。また、布団でうつ伏せになって寝ていると、腰の上に乗ってゴロゴロいいながら優しくふみふみマッサージをしてくれる猫もいる。まさに千差万別で、どのふみふみであろうと、とても素晴らしいアクションなのだ。
文/松本ミゾレ