遊ばせる時間を決めておくと、お互いに疲れない
コロナで自宅時間が長くなったのでペットを迎えたが、大変過ぎて後悔している…。そういう話をよく耳にしいます。捨てるのは言語道断でありえないですが、「大変過ぎてノイローゼ寸前になった」経験は、初めて子猫を迎えた時に経験しているので、その大変さはわかります。2代目の猫と暮らして数年たつ今、当時のことを振り返ると、「あんなにキリキリする必要はなかったな」と思うことも多く、経験不足の私達に引き取られたばっかりに怒られどおしだった初代猫に、謝りたい気持ちでいっぱい。
▲わが家の初代猫・きなこ。生後3か月くらいでわが家に来ました
一番神経がまいったのが、「遊んで」攻撃でした。まだ子猫だったので、遊びたい盛りだったのでしょう。一日中、「遊んで」「遊んで」とせがまれ、ドアを閉めると、ドアに体当たりしてさいそく。トイレに入ってもトイレのドアに体当たり。仕事にならないのでケージに入れると、悲し気な声でずっと呼ぶので、心が痛んで結局仕事が手につかず…。日中、会社でのびのびと仕事をした後、子猫がおとなしくなった夜に帰ってくる夫が憎くて、ものすごく深刻な夫婦喧嘩にもなりました…。
▲きなこは目の前のものをはらい落としながら歩く子で、この子を迎えてからは家の中が泥棒に荒らされた後のような散らかりようが常態化…
▲遊びのおねだりを無視すると、してはいけないことをして気をひこうとするので、とにかく大変でした…
2代目の愛猫も「遊んで」攻撃はすごかったのですが、私達も少し学びました。猫は習慣を死守する動物なので、その習性を利用し、遊ぶ時間を「朝食の後20分間」と決めたのです。今は朝食後にブラッシング&マッサージ、その後、じゃらしでプレイ、というルーティンが定着し、私たちが朝食を終えると愛猫は自分から、ブラッシングをするクッションに乗って待つようになっています。初代の猫の時に、この方法を知っておきたかった…。
▲2代目猫のドーラはもう5歳。「遊んでー」オーラを出す時もありますが、時間がだいたい決まっているので、お互いのストレスはそんなにありません
猫を遊ばせるなら、空腹時がベター
このようにわが家では「朝食後のプレイタイム」が定着しているのですが、最近出た飼育本によると、猫を遊ばせるのは食前がベターだと書いてありました。何でも、猫は食欲が満たされると狩猟欲が減るので、あまり遊びに興味を示さなくなるとか。
▲食後の満腹時には、じゃらしへの食いつきが悪くなることも…
それに対して空腹の時は、じゃらしへの食いつきもよくなるので、遊ばせるのもラク。またおもちゃの獲物をゲットするなどして達成感を得ると、それによって食欲が増すそうです。いろいろな意味で、「運動は食前」がベターなんですね。
一方、食後にいきなり激しく遊ばせると、胃の中の未消化の食べ物を戻してしまうこともあるそうです。吐きやすい傾向がある子の場合、遊び時間を固定するなら食前、もしくは食後数時間がよさそうですね。また猫は夜行性なので、晩御飯を食べた後に狩猟本能が盛んになり、飼い主と遊びたがる場合もあるそうです。こういう場合も、食後すぐではなく、少し時間をあけてから遊んであげるのが健康にはいいそうですよ。
成猫の場合、遊び時間は短くてもいい
子猫は1日中遊びたがりますが、成猫の場合は遊びの集中力が持続するのは5分間程度。そこで集中して遊ばせてあげると、あとは新聞や雑誌を読んだり、テレビを見たりしながらの「ながら遊び」でも満足するようになります。
わが家の2代目猫も、人間でいえば中年。そのせいか、“遊んで攻撃”もあっさりしてきて、忙しくてとりあわずにいると、自分でお昼寝スポットに行ってふて寝するようになりました。だから、飼育経験のない初心者が猫を迎えると聞くと
「成猫がいいですよ…!」
と強くおすすめしたくなります。成猫には成猫のかわいさがあるし、保護猫カフェやシェルターにいる成猫は人間との暮らしに慣れていますから…。
文・桑原恵美子
◎参考資料
「ネコのカラダにいいこと事典」(臼杵 新 監修/世界文化社)