猫のひげは縁起がいい?“猫と縁起”にまつわる日本と海外のジンクス
「猫のひげは縁起がいい」と聞いたことはありますか?自然に抜けた猫のひげは、お守りとしてもっていると金運が良くなるなど縁起がいいものなのだそうです。
他にも、黒猫は厄を除けてくれる、カギしっぽは幸せを運ぶなど、猫に関連する「縁起」は世界中にたくさんあります。というわけで今回は、“猫と縁起”にまつわるジンクスや言い伝えをまとめました。
ハチワレや三毛猫など「猫の毛色」にまつわる縁起
まずは、ハチワレ模様や三毛猫など、猫の毛色に関する縁起の話です。
①ハチワレ猫は末広がりで縁起がいい
ハチワレ猫は、額の模様が漢字の「八」を連想させるため縁起が良いといわれています。
「八」の字といえば末広がり。末広がりは裾に向かって永遠に広がっていくように見えることから、日本では昔から繫栄の象徴になっています。
②三毛猫は商売繁盛のシンボル
オスメス問わず、商売繁盛の象徴とされているのが三毛猫です。招き猫のモデルになっていることからも、昔から縁起がいいとされていたことが分かりますね。
特にオスは染色体の関係で3万匹に1匹程度の確率でしか生まれないことから、出会えたらそれだけでも超ラッキー!幸運を運ぶと信じられているのです。
他にも、三毛猫の三色「黒・白・赤(茶)」がそれぞれ魔除け・清潔・健康を表す色であることや、八と同じく「三」が日本では昔から縁起が良い数字とされていたことなどが由来といわれています。
③黒猫は病を退ける
黒猫のことを縁起が悪い不吉なものとしているのは、主にアメリカやヨーロッパの一部地域です。
反対にイギリスやニュージーランドでは古くから幸運の象徴として扱われていて、船乗りの家で黒猫を飼うと無事に航海を終えて帰ってくると信じられていたとか。
日本でも昔から黒猫は縁起がいいと言われ、家に幸運を運ぶ「福猫」として古くから魔除けや幸運のお守りの役目をしてくれていました。有名な「黒猫が前を横切ると縁起が悪い」というのは、黒猫自体が幸運の象徴のため「横切られる=幸運が去ってしまう」という意味からきているという説もあります。
江戸時代には「黒猫を飼うと結核が治る」という迷信が流行り、これを信じた新選組隊士・沖田総司が黒猫を飼っていたという逸話も残っています。さらに病を退けることから、「恋の病に効く」なんて言い伝えもあったそうですよ!
招き猫には違いがある?
三毛猫の話で少し出てきましたが、日本で猫の縁起物といえば「招き猫」が浮かびます。昔ながらの招き猫というと、小判を持って片手を上げている三毛猫を連想しますよね。
しかし最近では色々な種類の招き猫が作られています。上げている手や、猫の色で意味が変わるのを知っていましたか?
縁起がいい招き猫の意味 【右手】…お金を招く 【左手】…人や縁を招く 【上げている手の位置が高い】…遠くから幸運を招く 【白猫・三毛猫】…開運招福 【黒猫】…厄除け・魔除け 【金・黄色】…金運 【赤】…病気除け・長寿 【ピンク】…恋愛運・結婚運 |
招き猫を置くときは、自分が求める縁起を担いで選んでみてはいかがでしょうか。
※招き猫の手や色の意味は地方やお店によっても異なります
ひげやカギしっぽなど「猫の体」にまつわる縁起
続いては、ひげやしっぽなど、猫の体の特定の部分にまつわる縁起です。
①猫のひげは金運アップのお守り
日本では、猫のひげは金運アップのお守りになるといわれています。猫を飼っている方なら分かりますが、猫のひげというのはとても大切な体の一部ですし、そうそう抜けるものではありません。
正確な由来は不明ですが、商売繁盛や幸運の象徴である猫から抜けたという希少価値から、「縁起がいいもの」とされているのが定説のようですね。
ひげをお財布や手帳に入れて持ち歩く以外にも、最近では「猫のひげ専用お守りケース」なんてものも販売されているので愛猫家の方々にはおすすめです。
ちなみにヨーロッパでは、猫のひげは金運ではなく恋愛運アップの縁起物とされているのだとか!英語で「cat’s whiskers(猫のひげ)」は「他人より優れている・最高のもの」を表す単語の一つでもあり、猫のひげは世界各国でラッキーチャームとして扱われていることが分かりますね。
②カギしっぽは幸運をひっかけてくれる
「カギしっぽの猫は幸運を運ぶ」というのは、もともとヨーロッパの方から伝わったジンクスだといわれています。
昔の日本では、しっぽの長い猫は猫又になって人を襲うと信じられていたので、しっぱが短い猫の方が縁起がいいとされていました。
カギしっぽもボブテイルも日本ではそう珍しくありませんが、ヨーロッパの猫はほとんどが長いしっぽを持っているため、そもそも尾が曲がった猫を見かけること自体がとても稀だといいます。
滅多に出会わないカギしっぽの猫は、曲がったしっぽの先に幸運をひっかけてきてくれる縁起のいい猫として広まったのです。
③黒い肉球は頭が良くて狩り上手
肉球が黒い猫もまた、縁起がいいとされています。
昔からの言い伝えで、肉球が黒い猫は頭が良くて狩りが上手といわれることから、猫にネズミ捕りの仕事をしてもらっていた時代には重宝されてきました。作物に害をなすネズミをたくさん駆除してくれることから、財産の守り神のような存在=縁起がいいとなったのではないでしょうか。
ちなみに、猫の肉球は毛の色に関係しているため、黒い肉球をしている猫は黒やキジトラなど暗い色の毛並みの子が多かったはずです。目立ちにくい毛並みであることに加え、肉球も黒だったためネズミにも気づかれにくく、「狩り上手」の称号を手に入れたと考えられるでしょう。
④靴下猫・白足袋猫の縁起には諸説アリ
靴下をはいているみたいに、足先だけ白い猫は「靴下猫(ソックス猫)」と呼ばれています。海外の一部では見かけるとラッキーな猫とされているという情報もありましたが、由来や詳細については解説されていませんでした。
日本の場合、靴下を白足袋に見立て「白足袋は慶弔に用いられるため縁起が悪い」とされている説もあり、黒猫と同じように縁起がいい・悪い両方の主張が混在しているようです。
また、足先が白い猫は狩りの時には目立ってしまうので、ネズミ捕りには不利だったことから昔の日本では敬遠されがちだったという話です。
くしゃみなど「猫の行動」にまつわる縁起
最後に、猫の行動にまつわる縁起の話です!
①猫のくしゃみが1回聞けたら幸運の前兆
イタリアには、「猫のくしゃみは幸運の前触れ」という言い伝えがあります。猫が1回くしゃみをすると富をもたらし、花嫁が結婚式の日に猫のくしゃみを聞くと幸せな結婚生活をおくることができるのだとか。なんだか素敵な言い伝えですよね。
ただし、3回続けて猫のくしゃみを聞くと家族の誰かが風邪をひくといわれているのでご注意を!
しかしそもそも、猫が続けて何度もくしゃみをしているなんて猫風邪や鼻炎の症状かもしれないし、ジンクスよりも猫自身の体調を気にしてあげたほうが良さそうですよね…
②玄関の前に知らない黒猫がいたら家が繁栄する
黒猫は縁起がいいといわれている国では、自宅の玄関に知らない黒猫がいるのは幸運の知らせです。その家に福を呼び込み、繁栄をもたらしてくれるとされているためです。
また、玄関先で見かけただけでなく、黒猫が家の中に入ってきたり家に住みついたりするとさらに縁起がいいといわれているそう。黒猫の飼い主さんにとっては嬉しいジンクスですよね!
③猫のしっぽを踏むと婚期が遅れる
こちらは「縁起がいい」わけではないのですが、ちょっと興味深かったのでおまけとして。フランスには、独身の女性が猫のしっぽを踏むと1年婚期が遅れるという迷信があります!
「1年」というのがやたらとリアルだし、これは猫と暮らす独身女性にとっては死活問題ですね…
1回踏むたびに1年結婚できなくなると考えると、愛猫のしっぽにはより一層の注意が必要でしょう(笑)
他にも、「猫を抱いて川を渡るのは縁起が悪い」など、フランスには猫にまつわるちょっと変わった言い伝えも多いです。
縁起はともかく…猫はねこ!
猫にまつわる縁起や、日本や海外の言い伝えをまとめてご紹介しました。
日本では、「神社に行った時に猫と出会うと縁起がいい」など、そもそも猫自体を神様や神様の使いのように尊いものとする風習も多いです。余談ですが、あるときメルカリで「猫のひげ」という商品名で出品者さんの飼い猫のひげが売られていて驚いたことがあります(笑)
一方で、ヨーロッパの一部の国や、韓国などではほんの数年前まで猫を悪魔や妖怪のように扱い、嫌われたり虐待されたりしていました。動物愛護団体などの活動によりそのような偏見は大分減っているといいますが、現代でも国や地域によって猫に対する接し方は全く違うのです。
同じ猫なのに、縁起が良かったり悪かったりと、人間勝手な話ですよね。
というわけで、縁起やジンクスはあまり気にせず、いいことが起きたら「ちょっとラッキー♪」ぐらいに考えておくのが一番でしょう。
たとえどんな模様やしっぽをしていても、狩りが下手でも、くしゃみをしても、彼らがただのネコチャンであることに変わりはないのですから!
文/黒岩ヨシコ
※こちらでご紹介しているジンクスや言い伝えには諸説あります